睡眠と健康 2013年版

2013年9月22日 更新

目次

睡眠が脳の老廃物を除去

米ロチェスター医療大学の研究チームが、深い睡眠にあるとき、脳細胞内の老廃物を排出する機能「Glymphaticシステム」が活発的に働くことを発見しました。Glymphaticシステムは、脳細胞内に脳脊髄液(CSF)が流入することで、トキシンなどのタンパク質が洗い流され排出されるというものです。

今回発見された脳のクリーニングメカニズムは、これらの脳疾患の解明と治療に貢献する可能性があるといいます。

朝に多い心筋梗塞、睡眠時無呼吸症候群が関係か

心筋梗塞が朝方に起きやすいのは、睡眠時無呼吸症候群が関係している疑いがあるとの研究結果を、長崎市立市民病院の中島寛・循環器内科部長が発表した。

2006~11年に同病院で治療した心筋梗塞の患者に対し、発病から2週間後、睡眠時の呼吸や脳波などを測定した。
その結果、無呼吸症候群の人は、午前6時~正午の発症率が38%と他の時間帯に比べて高く、「無呼吸」の程度が重い人の43%がこの時間帯に集中していた。無呼吸症候群でない人は、どの時間帯も25%前後と差がみられなかった。
讀賣新聞,2013年9月22日より

ネット依存の中高生が8.1%

睡眠
厚生労働省研究班の調査によると、ゲームや電子メールなどに夢中になりすぎてやめられず、インターネットへの依存が強いとみられる中高生は全国に約51万8000人(全体の8.1%)いることがわかりました。依存が強いほど睡眠に悪影響が出る実態も浮き彫りになりました。

ネット依存を調べる8つの質問


  1. ネットに夢中と感じるか
  2. ネットを使う時間を長くしなければならないか
  3. ネットをやめようとして失敗したことはあるか
  4. ネットを制限しイライラしたことがあるか
  5. 意図したより長時間ネットを使うか
  6. ネットのため人間関係や学校の活動を台無しにしたことがあるか
  7. ネットへの熱中を隠すため周囲にうそをついたことがあるか
  8. 不安や落ち込みから逃れるためにネットを使うか
※5問以上に「はい」と答えると「依存が強い」とされる。
讀賣新聞,2013年8月2日、産経新聞,2013年8月2日より

睡眠量と疲労感は関連しない

スウェーデンの調査によると、夜間の睡眠量と疲労感との間には、ほとんど関連性がないとのことです。
調査を率いたストックホルム大学ストレス研究所のトルビョルン・オーケルステット氏は「睡眠時間の長さは、十分な睡眠を取ったかどうかを分析するための尺度としては、適切ではない」と語っています。

今回の調査により、勤務日の平均睡眠時間は6時間55分で、休日にはこれに1時間加算されることがわかりました。オーケルステット氏によると、20歳の人は平均して8時間は睡眠を取るべきで、60歳の人は6時間で十分だとのことです。
「だが、一般的な平均値は存在しない」とオーケルステット氏は付け加えました。20歳の脳はまだ発達中なので「もっと長く眠っても、まだ日中に疲労を感じることもある」というのです。

長く眠るほど活力が増えるというわけではありませんが、少なすぎる睡眠は健康に影響するので禁物だとオーケルステット氏は述べています。睡眠不足は結果として、免疫系の弱体化、2型糖尿病、心臓病、体重増加、職場での事故や交通事故につながる恐れがあります。

満月の夜には熟睡できない

スイスの研究によると、満月の夜には、たとえ月を見ていなくても熟睡できないそうですう。

満月の夜の平均睡眠時間は新月の夜よりも19分少なく、眠りに就くまでにかかる時間は平均で5分長いという実験結果です。また、覚醒と睡眠を切り替えるホルモン物質であるメラトニンの量が、満月の夜には少ないことも示されました。
月を実際に目で見ることをしなくても、月の周期は人間の睡眠に影響を及ぼしているようです。

寝る前のスマホにご用心

夜に寝床でスマートフォンをよく使う学生は、大学の講義中に居眠りをしやすいという研究結果を、大阪バイオメディカル専門学校の吉村道孝講師(臨床心理学)が日本睡眠学会で発表した。
寝床では目とスマホの距離が近く、液晶画面から出る青色光(ブルーライト)が眠りの質に悪影響を与えている可能性があるという。
讀賣新聞,2013年7月1日より

仮眠の効果は限定的

夜勤中に仮眠することで眠気を解消できても、作業中のミスに気づかないことが多い。そんな結果を東京医科大などのチームがまとめた。
仮眠の効果は限定的で、仮眠後に「頭がさえている」と過信しないほうがよいという。
朝日新聞,2013年7月1日より

過眠に注意

R25編集部が25~39歳の男性103人に「睡眠に関する悩み」を調査したところ、最多の18人(17.5%)が、「しっかり寝ているつもりでも、一日中ずっと眠い」と回答したといいます。
睡眠総合ケアクリニック代々木の中村真樹院長によると、「日中に眠気が出てしまうのは、過眠と呼ばれる睡眠障害の症状である可能性がある」といいます。

原因は、睡眠中に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群や、眠りをコントロールする脳の機能に異常があるナルコレプシー特発性過眠症、入眠時に脚に不快感を覚えるむずむず脚症候群だといいます。
いずれの場合も器具や薬を使用して症状を改善することは可能ですが、まずは規則正しい生活を心掛け、十分な睡眠時間を確保するのが重要とのことです。
web R25,2013年1月20日より

参考サイト

(この項おわり)
header