睡眠と健康 2015年版

2015年11月29日 更新

休日の寝だめや夜更かしは要注意

睡眠
米ピッツバーグ大学の研究によると、睡眠サイクルが毎日バラバラだと、代謝機能の問題が起こりやすいことに加え、太りやすい体質になることが明らかになりました。休日に寝だめや夜更かししている方は注意が必要です。
細胞の脂肪蓄積や、腸の栄養吸収、インスリン分泌機能は、すべて周期的なリズムで動いています。睡眠サイクルが不定期だと、代謝のサイクルだけがズレてしまい、結果的に太りやすい体質になるといいます。さらに平日と休日の睡眠時間の差が開けば開くほど、代謝機能の病気を発症しやすいことが明らかになりました。

レム睡眠とノンレム睡眠を切り換えるスイッチ

レム睡眠とノンレム睡眠を切り替えるスイッチの役割を果たす脳の部位をマウスで発見したと、筑波大国際統合睡眠医科学研究機構と理化学研究所の研究チームが発表した。
スイッチがある脳幹には、睡眠と覚醒の切り替えを担う部位も隣接して存在することも分かった。
スイッチを人為的に操作してレム睡眠を妨げると、その後のノンレム睡眠で記憶を形成して脳機能の回復を促す働きが低下することが判明した。
時事通信,2015年10月23日

年間3兆円の損失

日本人の平均睡眠時間は7時間50分と、OECD加盟国中2番目の短さ。
睡眠不足からくる集中力、パフォーマンスの低下、さらには交通事故や産業事故などにも関係しており、経済的損失の推計は年間約3兆円を超えるという数字もあります。
世界各国の平均睡眠時間
2009年(平成21年)のOECDのデータによると、日本人の平均睡眠時間は7時間50分で、韓国に次いで世界第2位の短さ。よく寝ているフランスに比べると1時間も短いのです。

国民生活時間調査(NHK放送文化研究所)によると、「90%以上の人が就寝する時間」は、1941年(昭和16年)には午後10時50分だったのが、年々遅くなり2000年(平成12年)には、午前1時になっています。

こうした睡眠習慣の夜型に加え、深刻な睡眠障害も増えています。
製薬会社「MSD」が昨年夏、20~79歳の男女7827人を対象に「不眠に関する意識と実態調査」を行った。これによると、約4割に不眠症の疑いがあったといいます。

睡眠で累積疲労を予防

心療内科医で、累積疲労という病名の名付け親で堀史朗さんは、「累積疲労は、体の疲労が心の疲労にも移行する。放置すると、パニック障害や、うつ病、過労死にもなる怖い病気」と指摘する。
睡眠は体の細胞を修復し、疲れをとる成長ホルモンが分泌する大切な時間だ。だが、短時間の睡眠では成長ホルモンの分泌が十分でなく、疲れがとれないで、累積疲労に陥ってしまう。
堀さんは、「仕事などで平日の睡眠時間が不十分な人は、週末など休める時は少しでも長く寝てください。成長ホルモンの不足を取り返し、疲れを早く解消すべきです」とアドバイスする。
讀賣新聞,2015年8月17日より

参考サイト

(この項おわり)
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