見積もれと言われても見積もりようがない

岡野雅行

発言者

  岡野雅行 (おかの まさゆき) 岡野雅行
  岡野工業株式会社・代表社員
   
  2003年2月5日

場面

仕事を受けるときはこう言う。 「おたくのほうで、これいくらでできないかと言ってくれれば、できるかできないか、そこで判断するから、まず言ってくれよ。俺のほうからは絶対言わないよ」と。俺が見積もったとおりで通るならそれでいい。だけど、絶対通るわけがない。大企業はたとえ一銭でも安いほうがいいんだから。だから相手のほうから予算をどれだけとっているのか言わせるわけだ。これは駆け引きだな。 誰かが先にやっているなら「どこそこではこれぐらいの値段でやっていますよ」ということで比較できる。だが、まったく先例のない製品をつくろうというのだから見積もれと言われても見積もりようがない。すると、向こうも、「じゃあこっちで予算をとります。おおまかな数字でいいから値段をざっと出してくれ」と言ってくる(76ページ)
表紙 俺が、つくる!
著者 岡野雅行
出版社 中経出版
サイズ 文庫
発売日 2006年08月01日頃
価格 544円(税込)
rakuten
ISBN 9784806125013
穴の直径が60ミクロンの「刺しても痛くない注射針」、携帯電話の小型化に貢献したリチウムイオン電池ケースなど、誰にもできない技術とノウハウで日本のモノづくりを支えてきた金型プレス職人、岡野雅行。「何を言われようが、今、自分を信じて人と違うことをやっておけばいい」と言い切る男の、熱き“仕事の哲学”を味わう。
 

コメント

岡野雅行さんは、「誰にもできない仕事をする」をモットーに、向島で社員6人の町工場を経営する。携帯電話の小型化に貢献したリチウムイオン電池のケースをつくったことで有名になり、その後、穴の直径が60ミクロンの“刺しても痛くない”注射針を開発。

単なる職人かと思いきや、この言葉から、なかなかの商売人であることが分かる。
われわれIT屋は、見積根拠となる係数は持っている。それを使って見積はする――だが、まったく新規のシステムだったら、その係数がどこまでアテになるか分かったものではない。
お客さんの予算を聞き出すことができるかどうか――これに失敗すればデスマーチに陥る。

発言者による著作物

表紙 メシが食いたければ好きなことをやれ!
著者 岡野雅行
出版社 こう書房
サイズ 単行本
発売日 2008年09月
価格 1,540円(税込)
rakuten
ISBN 9784769609834
「痛くない注射針」をはじめノーベル賞ものの製品を発明・開発しつづける“世界一の職人”岡野雅行の、若い人たちの悩み・疑問に答える構成の最新刊が満を持して登場!人間関係のキモ、働くことの意味、常識の外に見えるもの、知恵とお金儲け、世渡り力、社会人になる前の経験…などについて、縦横無尽・融通無碍、愉快痛快の「岡野節」が冴える。
 
表紙 人生は勉強より「世渡り力」だ!
著者 岡野雅行
出版社 青春出版社
サイズ 単行本
発売日 2014年08月01日頃
価格 1,540円(税込)
rakuten
ISBN 9784413039239
“頭がいい”と“仕事ができる”は違うぞ!“世界一の職人”が教える、腕を生かす人づきあいの極意。
 
(この項おわり)
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