できるだけ“登場人物”を少なくする

宮本昌幸

発言者

  宮本昌幸 (みやもと・まさゆき) 宮本昌幸
  明星大学理工学部機械システム工学科教授,国土交通省航空・鉄道事故調査委員会委員
   
  2006年6月20日

場面

『図解・鉄道の科学―安全・快適・高速・省エネ運転のしくみ』(宮本昌幸=著/講談社ブルーバックス/ISBN:9784062575201)117ページより。
原文には「効率よく検討するには、本質的な要因だけをとりだし、できるだけ“登場人物”を少なくすることである」とある。電車のパンタグラフが、架線(トロリ線)から0.1秒程度離れてしまう「大離線」という問題の解決策について言及している部分である。

コメント

現役科学者らしい言葉である。
現代科学の基本は、物事を細かく分解することからはじめる。そして、個々の要素にする分析を行い、徐々に全体像を組み立てていく。

たしかに、カオス的な現象など、全体から入らなければならないケースもあるのだが、それでも最初は要素分解から着手するのがセオリーである。
この前工程をおろそかにして、ともかく問題解決をはかろうとする大人の何と多いことか! システム設計でも、いきなり全体から入ろうとする技術者がいるが、あれはやめてほしい。

発言者による著作物

表紙 図解・鉄道の科学―安全・快適・高速・省エネ運転のしくみ
著者 宮本 昌幸
出版社 講談社
サイズ 新書
発売日 2006年06月21日頃
価格 1,012円(税込)
ISBN 9784062575201
鉄のレールと車輪の間で起きている意外な現象や、なぜ交流モータでなければならないのか、新幹線車両の長く突き出した先頭形状の理由など、鉄道のしくみをその根本原理から解き明かす。
 
(この項おわり)
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