西暦1762年 - 「社会契約論」「エミール」が発禁に

ルソーに逮捕状
ジャン=ジャック・ルソー
フランスの啓蒙思想家ルソーは「社会契約論」と「エミール」を出版するが、体制を批判する内容であったため、フランス政府は発禁処分としたうえ、ルソーに逮捕状を出す。

ルソーはスイスに逃れるが、ジュネーブでも両書は発禁処分となった。

ルソーは愛人との間に子供を5人もうけたが、すべて孤児院に捨てている。
人間的には問題の多い人物であるが、1770年に自伝『告白』(懺悔録)を書いて過ちを告白した。ところが期待した反応がなかったので、1778年に自伝的随筆『孤独な散歩者の夢想』を書いている。

自然に帰れ

ルソーの思想を「自然に帰れ」という言葉で表すことがあるが、彼の著作の中にこの言葉は登場しない。
ルソーは、格差の原因が体制にあることを指摘した。その結果、著作が発禁処分となり、逮捕状が出たわけだが、だからといって、彼は、世の中を自然の原始的な状態に戻せと主張したわけではない。自然とは、人間が生まれながらにして備えている善性のことである。

この時代の世界

1675 1725 1775 1825 1875 1762 「社会契約論」「エミール」が発禁に 1712 1778 ルソー 1748 「法の精神」の出版 1689 1755 モンテスキュー 1771 「ブリタニカ百科事典」の完成 1766 水素の発見 1731 1810 ヘンリー・キャヴェンディッシュ 1769 ワット式蒸気機関 1736 1819 ジェームズ・ワット 1723 1790 アダム・スミス 1759 大英博物館が開館 1784 メシエ天体カタログ完成 1730 1817 シャルル・メシエ 1738 1820 ジョージ3世 1759 1806 ウィリアム・ピット 1783 熱気球の発明 1745 1799 ジャック・エティエンヌ・モンゴルフィエ 1740 1810 ジョセフ・ミシェル・モンゴルフィエ 1732 1809 ハイドン 1756 1791 モーツァルト 1748 オイラーの公式 1707 1783 レオンハルト・オイラー 1774 質量保存の法則の発見 1743 1794 ラヴォアジェ 1781 天王星の発見 1738 1822 ハーシェル 1717 1783 ジャン・ル・ロン・ダランベール 1724 1804 イマヌエル・カント 1736 1813 ラグランジュ 1759 1805 フリードリヒ・シラー 1769 1771 クック船長が最初の太平洋探検へ 1728 1779 ジェームズ・クック 1737 1798 ガルバーニ 1756 1763 七年戦争 1740 1748 オーストリア継承戦争 1712 1786 フリードリヒ2世 1717 1780 マリア・テレジア 1710 1774 ルイ15世 1754 1793 ルイ16世 1755 1793 マリー・アントワネット 1749 1791 オノーレ・ミラボー 1758 1794 ロベスピエール 1732 1789 ジョージ・ワシントン 1773 ボストン茶会事件 1776 アメリカ独立宣言 1775 1783 アメリカ独立戦争 1735 1826 ジョン・アダムズ 1743 1828 トーマス・ジェファーソン 1749 シェーンブルン宮殿が完成 1741 1790 ヨーゼフ2世 1789 1799 フランス革命 1732 1789 ジョージ・ワシントン 1773 ボストン茶会事件 1776 アメリカ独立宣言 1775 1783 アメリカ独立戦争 1732 1789 ジョージ・ワシントン 1735 1826 ジョン・アダムズ 1743 1828 トーマス・ジェファーソン 1752 フランクリンの雷実験 1706 1790 ベンジャミン・フランクリン 1767 1786 田沼時代 1719 1788 田沼意次 1782 1787 天明の大飢饉 1737 1786 徳川家治 1787 寛政の改革 1758 1829 松平定信 1716 1783 与謝蕪村 1776 平賀源内によるエレキテルの実験 1728 1779 平賀源内 1723 1803 前野良沢 1730 1801 本居宣長 1745 1795 長谷川宣以 1774 解体新書 1733 1817 杉田玄白 1753 1806 喜多川歌麿 1745 1818 伊能忠敬 1792 大黒屋光太夫がロシア女帝に謁見 1751 1823 大黒屋光太夫 1755 1829 鶴屋南北 1794 1795 東洲斎写楽の活動 1765 1831 十返舎一九 1760 1849 葛飾北斎 1711 1799 乾隆帝 1728 1762 ピョートル3世 1729 1796 エカチェリーナ2世 1703 1787 ムハンマド・イブン=アブドゥルワッハーブ Tooltip

主な著作

表紙 社会契約論
著者 ジャン・ジャック・ルソー/桑原武夫
出版社 岩波書店
サイズ 文庫
発売日 1983年11月
価格 858円(税込)
rakuten
ISBN 9784003362334
これはもっとも徹底的な人民主権論を説いた書物である。国家は個々人が互いに結合して、自由と平等を最大限に確保するために契約することによって成立する。ルソー(1712-78)はこの立場から既成の国家観をくつがえし、革命的な民主主義の思想を提示した。フランス革命の導火線となった近代デモクラシーの先駆的宣言の書。
 
表紙 エミール(上)
著者 ジャン・ジャック・ルソー/今野一雄
出版社 岩波書店
サイズ 文庫
発売日 2007年10月
価格 1,210円(税込)
rakuten
ISBN 9784003362211
「万物をつくる者の手をはなれるときすべてはよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる」という冒頭の言葉が示すように、ルソー(1712-78)一流の自然礼讃、人為排斥の哲学を教育論として展開した書。ある教師がエミールという一人の平凡な人間を、誕生から結婚まで、自然という偉大な教師の指示に従って、いかに導いてゆくかを小説の形式で述べてゆく。
 
表紙 エミール(中)
著者 ジャン・ジャック・ルソー/今野一雄
出版社 岩波書店
サイズ 文庫
発売日 2007年10月
価格 1,243円(税込)
rakuten
ISBN 9784003362228
人間は立派な者として生まれるが社会が彼を堕落させる、という根本命題に立って理想的な自然教育の原理を述べたこの書物に、ルソーは自らの哲学・宗教・教育・道徳・社会観の一切を盛りこんだ。本巻は、その哲学篇で、ルソーの感情主義哲学を率直に吐露したものとして殊のほか有名な「サヴォワ助任司祭の信仰告白」を含む第四篇を収める。
 
表紙 エミール(下)
著者 ジャン・ジャック・ルソー/今野一雄
出版社 岩波書店
サイズ 文庫
発売日 2007年10月
価格 1,122円(税込)
rakuten
ISBN 9784003362235
自然と社会との対立や、自然の優位についてルソーがその処女論文「学問芸術論」以来一貫して主張してきた考えを教育論において全面的に展開した著作。エミールなる人間の教育方法とともに、その妻たるべき少女ソフィーの教育をも加えて、小説形式で述べた教育思想史上不朽の古典。巻末にルソーがスケッチ風に自画像を描いた「マルゼルブへの手紙」を収録。
 
表紙 人間不平等起源論
著者 ジャン・ジャック・ルソー/本田喜代治
出版社 岩波書店
サイズ 文庫
発売日 1982年11月
価格 924円(税込)
rakuten
ISBN 9784003362327
かつて人間は不平等のほとんど存在せぬ自然状態にあったが、歴史的な進歩という頽落の過程をへてついには「徳なき名誉、知恵なき理性、幸福なき快楽」だけをもつ存在に堕する。それが専制社会における人間の悲惨なのだ、とルソー(1712-78)は論じ、同時代の社会と文化を痛烈に批判した。いまも現代人に根元的な思索をうながしてやまぬ書。
 
表紙 孤独な散歩者の夢想
著者 ジャン・ジャック・ルソー/青柳瑞穂(仏文学)
出版社 新潮社
サイズ 文庫
発売日 2006年07月
価格 473円(税込)
rakuten
ISBN 9784102007013
十八世紀以降の文学と哲学はルソーの影響を無視しては考えられない。しかし彼の晩年はまったく孤独であった。人生の長い路のはずれに来て、この孤独な散歩者は立ちどまる。彼はうしろを振返り、また目前にせまる暗闇のほうに眼をやる。そして左右にひらけている美しい夕暮れの景色に眺めいる。-自由な想念の世界で、自らの生涯を省みながら、断片的につづった十の哲学的な夢想。
 
(この項おわり)
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