西暦1800年 - ボルタが電池を発明

動物電気説を否定
銅と亜鉛を用いたボルタ電池の仕組み
銅と亜鉛を用いたボルタ電池の仕組み
1791年、イタリアの科学者ガルバーニは、たまたま発電機の近くにあったカエルの筋肉が動くのを見て、生物の中に蓄えられている動物電気による現象だと推論した。
一方、フランスの科学者ボルタも同様の実験を行い、動物電気を否定。二種類の金属板の間に電気が発生することを突き止めた。
アレッサンドロ・ボルタ
アレッサンドロ・ボルタ
ボルタは最も電気を発生する金属片の組み合わせと溶液を求めて実験を繰り返し、ついに1800年、銅と亜鉛の金属板を希硫酸につけるという「ボルタ電池」を発明する。
電圧の単位として使われている「ボルト」は彼の名にちなんで命名された。

ボルタの電池は放電が進むとプラス極の表面に水素ガスが発生し、1時間ほどで電気が流れなくなるという欠点があった。また、危険な硫酸を使っていることも問題であった。
1868年、フランスの科学者ジョルジュ・ルクランシェは、プラス極に二酸化マンガンを加えることで水素ガスを吸着させ、発電量を一定にすることに成功した。これが今日でも使われている「マンガン乾電池」である。

一方、ボルタの電池を使って電気分解を行ったイギリスのデービー卿(ファラデーの師匠)は、1801年、その逆反応として燃料電池を実現できることを発見した。

1801年、パリに招かれたボルタは、第一統領となっていたナポレオン・ボナパルトの前で電池を用いた実験を行った。ナポレオンは、ボルタに勲章と伯爵の爵位を贈った。
1814年、イギリスの化学者ハンフリー・デービーは、助手のマイケル・ファラデーとともにボルタを訪れる。伯爵の礼装で迎えたボルタを、後に電磁誘導を発見する若きファラデーは、「年配ながらかくしゃくとしており、気さくに話をする人」と日記に記している。
バグダッドで、紀元前250年頃に製造されたとされる土器の壺が発見された。壺の中には銅製の筒と鉄の棒がはめ込まれていたことから、電池として使われていたのではないかと考えられている(バグダッド電池)。

この時代の世界

1675 1725 1775 1825 1875 1800 ボルタが電池を発明 1745 1827 ボルタ 1799 ロゼッタ・ストーンの発見 1790 1832 シャンポリオン 1804 ナポレオンが皇帝になる 1769 1821 ナポレオン・ボナパルト 1763 1814 ジョゼフィーヌ 1814 ウィーン会議 1815 神聖同盟 1773 1859 メッテルニヒ 1789 1799 フランス革命 1754 1793 ルイ16世 1755 1793 マリー・アントワネット 1749 1791 オノーレ・ミラボー 1758 1794 ロベスピエール 1755 1824 ルイ18世 1757 1836 シャルル10世 1773 1850 ルイ・フィリップ 1759 1806 ウィリアム・ピット 1812 1814 米英戦争 1796 種痘の実施 1749 1823 ジェンナー 1781 天王星の発見 1738 1822 ハーシェル 1738 1820 ジョージ3世 1732 1809 ハイドン 1756 1791 モーツァルト 1770 1827 ベートーベン 1774 質量保存の法則の発見 1743 1794 ラヴォアジェ 1771 「ブリタニカ百科事典」の完成 1762 1814 フィヒテ 1749 1832 ゲーテ 1724 1804 イマヌエル・カント 1766 1834 トマス・マルサス 1770 1831 ヘーゲル 1736 1813 ラグランジュ 1801 小惑星ケレスの発見 1746 1826 ジュゼッペ・ピアッツィ 1758 1840 ハインリヒ・オルバース 1766 1844 ジョン・ドルトン 1776 アメリカ独立宣言 1773 ボストン茶会事件 1775 1783 アメリカ独立戦争 1743 1828 トーマス・ジェファーソン 1812 1814 米英戦争 1810 1821 メキシコ独立戦争 1753 1811 ミゲル・イダルゴ 1783 1824 イトゥルビデ 1787 寛政の改革 1758 1829 松平定信 1782 1787 天明の大飢饉 1773 1841 徳川家斉 1767 1786 田沼時代 1723 1803 前野良沢 1730 1801 本居宣長 1774 解体新書 1733 1817 杉田玄白 1753 1806 喜多川歌麿 1745 1818 伊能忠敬 1792 大黒屋光太夫がロシア女帝に謁見 1751 1823 大黒屋光太夫 1755 1829 鶴屋南北 1794 1795 東洲斎写楽の活動 1765 1831 十返舎一九 1760 1849 葛飾北斎 1775 1844 間宮林蔵 1776 1843 平田篤胤 1809 間宮海峡の発見 1783 1842 柳亭種彦 1797 1832 鼠小僧次郎吉 1793 1837 大塩平八郎 1793 1841 渡辺崋山 1771 1840 光格天皇 1767 1848 曲亭馬琴 1802 1822 「東海道中膝栗毛」の出版 1782 1850 道光帝 1815 神聖同盟 1777 1825 アレクサンドル1世 Tooltip

参考書籍

電池が一番わかる

電池が一番わかる


(京極一樹/技術評論社/2010年1月)

電池の歴史から乾電池や充電池のしくみや特性の説明に加え、燃料電池、太陽電池などの開発状況を解説している。また、電気自動車のしくみも紹介している。
(この項おわり)
header