西暦1871年 - ドイツ帝国の成立/レイリー散乱の発見

ビスマルクの鉄血政策はじまる/殿様科学者の活躍

ドイツ帝国の成立

ドイツ宰相時代のビスマルク
1861年にプロイセン国王に即位したヴィルヘルム1世は、翌1862年、オットー・フォン・ビスマルクを首相に任命する。ビスマルクは、小国が分立していた当時のドイツを統一する演説を行う。のちに「鉄血演説」と呼ばれ、鉄血政策と呼ばれる富国強兵策をとり、武力でドイツ統一へ乗り出した。

1866年、オーストリアとの普墺戦争 (ふおうせんそう) に圧勝すると、翌1867年、ドイツ連邦からオーストリアを排除し、プロイセンを盟主とする北ドイツ連邦を新たに成立させる。ドイツから排除されたオーストリアは、オーストリア・ハンガリー帝国を成立させる。
フランスのナポレオン3世は強国ドイツの出現を恐れ、1870年、普仏戦争 (ふふつせんそう) が勃発する。これには北ドイツ連邦に加わっていない地域も参加しドイツの連帯感は増す一方、十分な準備の無いまま開戦したフランスは劣勢に立たされ、ナポレオン3世は捕虜となってしまう。
1871年、パリが陥落すると、ヴィルヘルム1世はヴェルサイユ宮殿でドイツ皇帝に即位し、ドイツ帝国が誕生する。一方、フランスではナポレオン3世の第2帝政が倒れ、第3共和制へ移行することになる。

この年に制定されたドイツ国憲法(通称「ビスマルク憲法」)は、形式上は立憲君主制であるが、宰相は皇帝にのみ責任を負うという内容であった。1889年に発布される大日本帝国憲法にも影響を与えたと言われている。

ビスマルクは、内政面では社会主義者を排除する一方で災害保険や養老保険などの福祉政策をとり(アメとムチ)、外交面ではフランスを孤立させるための同盟政策や露土戦争の処理を行うベルリン会議を成功させるなど、ドイツ帝国の地位の安定に奔走する。
しかし、1888年にヴィルヘルム2世が即位すると帝国主義政策に傾き、平和政策を掲げていたビスマルクは1890年に辞任する。

レイリー散乱

レイリー卿
レイリー卿
空が青く見えるのは、光の波長よりも小さな粒子によって太陽光が散乱されるためである――この現象をレイリー散乱と呼び、1871年、イギリスの物理学者、第3代レイリー男爵ジョン・ウィリアム・ストラットによって発見された。

レイリーは、1904年、「気体の密度の研究とアルゴンの発見」ノーベル物理学賞を受賞した。
男爵で広大な牧場を有する資産家のレイリーは、ノーベル賞の賞金を全額、母校ケンブリッジ大学に寄贈し、キャヴェンディッシュ研究所の拡張や科学書の購入費用に充てられた。
自前の資金で研究三昧の一生を送ったレイリーが手がけた研究は多岐にわたっていた。レイリー散乱やアルゴンの発見だけでなく、音響学、電磁気学、流体力学、熱放射理論と、当時の物理学の主要テーマを網羅している。
爵位を継いだ息子のロバートも分光学を専門とする科学者で、1921年、レイリー邸を訪れた物理学者の高嶺俊夫 (たかみねとしお) は、「富豪が道楽に実験物理の研究を私邸でやっている例は、日本では見られない」と驚愕したという。

この時代の世界

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(この項おわり)
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