プログラム電卓「FX-502P」でプログラミングを学ぶ

1979年 購入
FX-502P
カシオのプログラム電卓「FX-502P」を購入した。

それまでに使っていた関数電卓でハレー彗星の軌道計算を行おうとすると、数回の予報を出すのに、のべ10時間以上かかる。計算式がとても長い上、計算途中をメモに書かなければならないので、いくらデータ入力が早くしても計算時間の短縮は難しそうだった。いくら趣味とはいえ、これはしんどい。
FX-502P プラグラムライブラリー
ふと雑誌を読んでいたら、「プログラム」なるもので自動的に計算してくれる電卓が発売されたというニュースが目にとまった。
これが、パパぱふぅとプログラミングの出会いである。
定価で24,800円。その後、ポケットコンピュータ、パソコンと買っていくことになるのだが、価格対性能比では最も優れたガジェットの1つである。とはいえ、中学生の小遣いで簡単に変える代物ではなく、親に購入資金を出してもらった。
FX-502P プラグラムライブラリー
表示が液晶であるおかげで、消費電力も激減した。関数電卓では軌道計算を1回行うだけで電池が無くなってしまったが、こちらはそういうこともない。
同梱されていた厚さ2センチほどの分厚いプログラム・ライブラリも勉強になった。数学からゲームまで、さまざまな例題プログラムが掲載されていた。アルゴリズムの基礎をこれで学んだと言っても過言ではない。
FX-502P プラグラムライブラリー
FX-502P の記憶容量は256ステップである。が、いくら豊富な関数が揃っているといっても、この記憶容量では軌道計算を一括して行うことはできない。そこで、プログラムを分割することになった。
ここで活躍してくれたのがカセットインターフェース「FA-1」である。FX-502P で記述したプログラムをカセットテープにSAVE/LOADしてくれるのがFA-1である。まだフロッピーディスクはなく、媒体はカセットだった(これ以前は紙テープ)。
FA-1 のおかげで、途中結果をメモリにたくわえ、新しいプログラムをLOADすることで、半自動ながらハレー彗星の位置予報ができるようになった。3回の位置予報を出すのに30分かかった。

その後、近似法で方程式の解を求めることができることを知り、夏休みの数学の宿題(忌まわしき因数分解のワーク)を早く終わらせることができた。これは重要な副作用である(笑)。大学まで、数学系の授業に電卓は手放せないものになってしまった。面度な計算を機械にやらせること――これが、コンピュータを使う目的であり、25年たっても基本的には同じ考えである。

また、FA-1 には音楽を演奏できるという謎のオプション機能があり(カセットにプログラムを記録するためにD/A変換を使うので、それを流用してみたのだろう)、これは、コンピュータにマルチメディア作業のサポートを求める発端にもなっている。

だが、悲しいことに、体育の授業か何かで席を離れていた際に、FX-502P は何者かに盗まれてしまった。自分にとっては FX-502P は学校の勉強道具の1つに過ぎなかったのだが、他人からはちょっと高価な商品と見られていたのだろう。

主要スペック

項目 仕様 コメント
表示桁数 10桁、液晶 数字のみ
搭載関数 50 初期のBASIC言語より豊富
記憶容量 256ステップ 天文計算するには少ない
消費電力 0.0008W いまのPCに比べたら圧倒的に少ない。
電源 G13型水銀電池×2個  
サイズ 71.0mm(W)×141.2(H)mm×9.6mm(D)  
重量 103グラム(電池を除く)  

参考サイト

これまでお世話になったコンピュータ

ぱふぅ家の歴代パソコン
(この項おわり)
header