海堂尊の医療エンターテイメント

桜宮物語(現在)
表紙 チーム・バチスタの栄光
著者 海堂尊
出版社 宝島社
サイズ 単行本
発売日 2006年02月
価格 1,728円(税込)
rakuten
ISBN 9784796650793
東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の、通称“チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
 
ルールは破られるためにあるのです。そしてルールを破ることが許されるのは、未来に対して、よりよい状態をお返しできるという確信を、個人の責任で引き受ける時なのです (117 ページ)

これがデビュー作となるミステリー作家だが、本業は医師。舞台となる大学病院の描写は、非常に写実的である。それとは対照的に、登場人物がコミカルだ。
ストーリーは、ミステリーの王道である逆転に次ぐ逆転の展開。それが陳腐にならないのは、舞台と登場人物の描写のアンバランスさのおかげだろう。スターウォーズを背景にして名探偵コナンをやっているような感じである。

主人公は私と同じ年齢で、仕事は昼行灯。しかも一人称で書かれているものだから、時間を忘れて読みふけってしまった。後半部分は、アイザック・アシモフのミステリー SF「鋼鉄都市」に登場する刑事イライジャ・ベイリとロボット・ダニール・オリヴォーの掛け合い漫才を彷彿とさせる。
文句なく楽しめる作品だ。
(2006 年 9 月 16 日 読了)
表紙 ナイチンゲールの沈黙
著者 海堂尊
出版社 宝島社
サイズ 単行本
発売日 2006年10月
価格 1,728円(税込)
rakuten
ISBN 9784796654753
東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に発生する癌ー網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。
 
真実なんて、どうせ誰にもわからないんです。だって、人って自分自身のことすら、よくわかっていないんですからね (318 ページ)

東城大学医学部附属病院の看護師、浜田小夜は、忘年会の出し物で「アヴェ・マリア」を歌い優勝した。彼女が受け持つ小児科病棟には、網膜芽腫で眼球摘出を控えた子どもや、白血病で余命幾ばくもない子どもたちがいる。子どもたちのメンタルヘルスを不定愁訴外来に依頼したところ、ある子どもの肉親が殺害されバラバラにされるという痛ましい事件が起きた――。

前作「チーム・バチスタの栄光」に続き、“昼行灯”こと田口医師の、まったく冴えない主人公っぷりや、伝説の歌姫の緊急入院、厚生労働省の変人役人・白鳥調査官の乱入、白鳥にも勝るとも劣らない加納警視正の傍若無人ぶり――一癖も二癖もある登場人物がストーリーを混乱させる一方で、アニメの「カエル宇宙人」やファミレス「ジョーナーズ」が奇妙なリアル感を醸し出す。

著者の海堂尊は 1961 年(昭和 36 年)千葉県生まれで、本業は医師。本作では、社会問題にもなっている小児科業務の過酷さがストーリーに織り込まれている。

前作とは全く異なるストーリー展開で、前作を読んでいなくても楽しめるし、読んでいれば二倍楽しめる仕上がりになっている。
(2007 年 3 月 11 日 読了)
表紙 ジェネラル・ルージュの凱旋
著者 海堂尊
出版社 宝島社
サイズ 単行本
発売日 2007年04月
価格 1,728円(税込)
rakuten
ISBN 9784796657549
桜宮市にある東城大学医学部付属病院に、伝説の歌姫が大量吐血で緊急入院した頃、不定愁訴外来の万年講師・田口公平の元には、一枚の怪文書が届いていた。それは救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという、匿名の内部告発文書だった。病院長・高階から依頼を受けた田口は事実の調査に乗り出すが、倫理問題審査会(エシックス・コミティ)委員長・沼田による嫌味な介入や、ドジな新人看護師・姫宮と厚生労働省の“火喰い鳥”白鳥の登場で、さらに複雑な事態に突入していく。将軍(ジェネラル・ルージュ)の異名をとる速水の悲願、桜宮市へのドクター・ヘリ導入を目前にして速水は病院を追われてしまうのか…。そして、さらなる大惨事が桜宮市と病院を直撃する。
 
俺を裁くことができるのは、俺の目の前に横たわる、患者という現実だけだ (277 ページ)

東城大学医学部附属病院ICU の速水部長は、一人でも多くの救急患者を救うため、ドクター・ヘリ導入の悲願を抱いていた。そんな彼に不正取引の疑惑が――。

前作「ナイチンゲールの沈黙」とまったく同じ時間、同じ場所で、違う事件が展開していくという設定には感心させられた。さまざまな人の想いが凝縮する病院の中では、あり得る話だ。

今回も、“昼行灯”こと田口医師や厚生労働省の変人役人・白鳥調査官が大活躍。さらに、白鳥の部下で現場の足を引っ張る姫宮嬢や、速水医師をめぐる恋物語と、シリーズを重ねる毎に登場人物の人間味が濃くなってきたように感じる。

著者の海堂尊は 1961 年(昭和 36 年)千葉県生まれで、本業は医師。本作では、社会問題にもなっている「医療崩壊」問題を暗に織り込んでいるように感じられる。速水医師は、厚生労働省出身の病院事務長・三船に向かい「あんたたち官僚の血脈が目指す医療システムは、近い将来必ず崩壊する」と断じ、災害現場を飛び回るヘリに向かい「取材のヘリは飛ぶのに、ドクター・ヘリはどうして桜宮の空を飛ばないんだ」と叫ぶ。

これは、小説の中だけの話だろうか。
(2007 年 7 月 17 日 読了)
表紙 イノセント・ゲリラの祝祭
著者 海堂尊
出版社 宝島社
サイズ 単行本
発売日 2008年11月
価格 1,620円(税込)
rakuten
ISBN 9784796666763
 
国家は滅びることがあっても、医療は滅びない (347 ページ)

映画化された「チーム・バチスタの栄光」から 2 年後、今回は厚生労働省が舞台。昼行灯の呼び名が定着した主人公、田口医師をめぐり、一癖も二癖もある人物が暗躍する。しかも今回は、医療事故も殺人事件も起こらない。それでいながら、終盤の厚生労働省審議会における論理の応酬は、探偵ミステリー小説のノリである。

著者の作品発表のペースは速い。「チーム・バチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」から本書にいたる、田口医師が主人公をつとめるシリーズを本伝と呼ぶなら、「螺鈿迷宮」「ジーン・ワルツ」「ひかりの剣」は外伝と呼べるだろう。本作は、そんな外伝の登場人物が乱入し、しかも「ジーン・ワルツ」で触れられていた重大事件が並行して進んでいるという状況(これは次回作で明らかにされる模様)。まるでシャーロック・ホームズでワトソン博士が語っているエピソードのノリである。

一方、医師のストライキを先導したとして行政サイドから疎んじられている彦根医師であるが、およそ半世紀前、本当に医師ストライキを実現した者がいる――後の日本医師会長、武見太郎である。牧野伸顕伯爵の娘婿として、吉田茂首相と結び、当時の厚生省と堂々と渡り合った巨魁である。

物語のプロットは、著者のノンフィクション「死因不明社会」に基づく。実は非常に深刻な社会問題に触れている。

「国家が滅びることはあっても、医療は滅びない」(347 ページ)――本作品で、著者が言いたかった一言ではないだろうか。病理医という本業が光る作品である。

追伸――終盤で厚生労働省解体という議論が噴出するが、つい最近(もちろん本作品の発表後)、この話題はメディアを騒がせた。結局、なし崩し的に終息したわけが、霞ヶ関では一体何があったのだろう。本作品を読んで、あらためて詮索したくなる。

著者が予言者だとは言うつもりはないが、現実社会というのは意外に論理的に動いており、その論理をクールに見つめた結果がこのシリーズなのかもしれない。だとすると、霞ヶ関には白鳥室長のような型破りな官僚が本当にいるのかも(笑)。
(2009 年 6 月 7 日 読了)
表紙 アリアドネの弾丸
著者 海堂尊
出版社 宝島社
サイズ 単行本
発売日 2010年09月
価格 1,543円(税込)
rakuten
ISBN 9784796677417
東城大学病院で再び殺人事件が!「この事件はすべてが不自然すぎる。絶対にどこかがおかしいんだ」東城大学病院に導入された新型MRIコロンブスエッグを中心に起こる事件の数々。さらには、病院長に収賄と殺人の容疑がかけられてしまう!殺人現場に残されていた弾丸には、巧妙な罠が張り巡らされていた…。不定愁訴外来の担当医師・田口公平が、駆けつけた厚生労働省のはぐれ技官・白鳥圭輔とともに完全無欠のトリックに挑む。
 
司法の闇は深い。人が作り出した世界なのに、自然界の闇よりも、人工物の社会の闇の方が深いというのは、いったいどういうことなのだろう (407 ページ)

映画化もされた『チーム・バチスタの栄光』でデビューした、現役医師による“自称”メディカル・エンターテインメント・シリーズの新刊。
東城大学病院に導入された新型MRI「コロンブスエッグ」の周囲で、次々に死亡事件が起きる。ついには高階病院長に収賄と殺人の容疑がかけられてしまう。タイムリミットは 72 時間。はたして、グチ外来の田口医師と厚生労働省の型破り官僚・白鳥は高階院長を救い出すことはできるか!?

今回は、3 テスラ MRI という最新鋭の医療機器を使ったトリックが目を見張る一方で、同じ作者によるドキュメンタリー『死因不明社会』がバックボーンを担っている。本職が病理医ということだけあって、医療と司法の間の齟齬を鮮やかに描き出している。
ちなみに、作者は病理医専従ではなくなり、2010 年(平成 22 年)3 月に「独立行政法人放射線医学総合研究所重粒子医科学センター・ Ai 情報研究推進室室長」という肩書きを持つにいたる。もしかしたら、作中に登場する医療界のスカムラージュ(大ぼらふき)こと彦根新吾先生は、作者自身がモデルなのでは。
(2011 年 6 月 1 日 読了)
表紙 螺鈿迷宮
著者 海堂尊
出版社 角川書店
サイズ 単行本
発売日 2006年11月
価格 1,728円(税込)
rakuten
ISBN 9784048737395
医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。東城大学の医学生・天馬は、留年を繰り返し医学の道をリタイア寸前だった。ある日、幼なじみの記者・葉子から「碧翠院桜宮病院に潜入できないか」と依頼を受ける。桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化した複合型病院で、終末期医療の先端施設として注目を集めていた。しかし、その経営には黒い噂が絶えないという。天馬は看護ボランティアとして桜宮病院に通い始めるが、ある時から疑念を感じる。「この病院、あまりにも人が死にすぎる」と…。『このミス』大賞受賞『チーム・バチスタの栄光』の新鋭が贈る最新メディカル・エンターテインメント。白鳥の最強の部下“氷姫”、ついに登場。
 
桜宮病院に入院すると生きて帰れない――ミステリー小説を装いながら、現代の終末期医療に疑問を投げかける内容だ。著者は、「チーム・バチスタの栄光」で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した海堂尊、現役の医師だ。

時間軸としては、この次の作品となる「ジェネラル・ルージュの凱旋」の後の話になる。「チーム・バチスタの栄光」に続く3作品の外伝という位置づけだ。東城大学医学部附属病院と同じ街にある桜宮病院が舞台で、落第医学生の天馬大吉が劇中の無理難題をすべて引き受ける。本シリーズにも登場する厚生労働省の変人役人・白鳥調査官や、歩く医学事典・姫宮嬢が活躍する。

作者の海堂尊は病理医――今回は、その本領発揮というところか。桜宮病院の院長が天馬に「ひとりひとりの患者の死に、きちんと向き合い続けてさえいれば、いつか必ず立派な医者になれる」と語る。これは、作者の経験に裏打ちされた言葉ではないだろうか。我が国は、離れた医療機関同士で病理画像やデータを共有できるシステムに助成金を惜しまない。だが、これが患者のための医療なのだろうか。

本シリーズのカバーリングは、「チーム・バチスタの栄光」の黄色にはじまり、「ナイチンゲールの沈黙」の青、「ジェネラル・ルージュの凱旋」の赤と、テーマに合わせた象徴的なカラーリングを施してきた。外伝である本作の表紙は「螺鈿(らでん)」だ。見る角度によって色が変わる螺鈿細工は、作者の終末期医療に感じるカラーなのであろう。
(2007 年 8 月 15 日 読了)
表紙 輝天炎上
著者 海堂尊
出版社 角川書店
サイズ 単行本
発売日 2013年01月
価格 1,728円(税込)
rakuten
ISBN 9784041103784
桜宮市の終末医療を担っていた碧翠院桜宮病院の炎上事件から1年後。東城大学医学生・天馬大吉は学校の課題で「日本の死因究明制度」を調査することに。同級生の冷泉と関係者への取材を重ねるうちに、制度自体の矛盾に気づき始める。そして、碧翠院の跡地にAiセンターが設立され、センター長に不定愁訴外来の田口医師が任命されたことを知る。時を同じくして、碧翠院を経営していた桜宮一族の生き残りが活動を開始する。東城大への復讐を果たすためにー。
 
螺鈿迷宮』の続編。
桜宮市の終末医療を担っていた碧翠院桜宮病院の炎上事件から 1 年後、東城大学の落第医学生・天馬大吉は勉学に対する態度を一変、優秀な同級生・冷泉深雪と「日本の死因究明制度」を調査することに。だが 2 人は取材を重ねるうちに、この制度の矛盾に気づいてゆく。
一方、碧翠院桜宮病院の跡地に Ai センターが設立され、センター長に不定愁訴外来の田口医師が任命された。碧翠院を経営していた桜宮一族の生き残りが活動を再開。東城大への復習の牙をむく。
天馬と冷泉を中心に、海堂ワールドの登場人物が総出演。

ミステリー仕立ての流れの中に、医療の素晴らしさを織り込んでいるのは現役医師ならでは。
医学生の天馬は患者・美智の臨終に立ち会い、「『午前 11 時 52 分、ご臨終です』自分の声を耳にして、僕の膝が崩れ落ち、動かなくなった美智の身体にしがみつく。これが、人が死ぬ、ということなのか」(204 ページ)というは、終末医療そのもの。
天馬は、焼死した碧翠院桜宮病院の巌雄院長が遺した言葉「死に学べ。そうすれば、いっぱしの医者になれるだろうさ」(139 ページ)を思い出す。
田口が記した美智のカルテの読んだ天馬は、「医療は、こんなことまでできるのか」(206 ページ)と絶句する。昼行灯の異名をとる田口が書いたカルテこそ、患者が生きた証だったのだ。

ヒロインの冷泉深雪はツンデレなのだが、ツインテールではなくツイン・シニョンというのはご愛敬。ラノベすらパロディにしてしまう海堂ワールドに脱帽。
(2013 年 3 月 31 日 読了)
表紙 ケルベロスの肖像
著者 海堂尊
出版社 宝島社
サイズ 単行本
発売日 2012年07月
価格 1,645円(税込)
rakuten
ISBN 9784796698580
「東城大学病院を破壊する」-送られてきた一通の脅迫状。田口&白鳥は病院を守ることができるのか。エーアイセンター設立の日、何かが起きる。愚痴外来の医師・田口公平&厚生労働省の変人役人・白鳥圭輔の凸凹コンビが、大学病院内で次々に起こる難事件に立ち向かっていく、大人気メディカル・エンターテインメント・シリーズ、いよいよフィナーレへ。
 
「この程度でギブアップか? お前の野望はそんなチャチなものだったのか」(347 ページ)

「東城大学病院とケルベロスの塔を破壊する」――1通の脅迫状が始まりだった。
愚痴外来の田口医師は新設される Ai センター長に就任。その元へ、『チーム・バチスタの栄光』から連なる小説群(桜宮サーガ)で活躍してきた登場人物が集う。

ケルベロスは 3 つの頭を持つ地獄の番犬。その弟は双頭のオルトロス――ここまではいい。しかし、彼らには 3番目の弟がいるという。名前は忘れられてしまっており、シロ、ロン、シンノスケ、ソウイチロウ、ネロ、ポチ、パウワウ、キョロ‥‥いきなり笑いの沸点を下げられてしまった。

厚労省の変人役人・白鳥圭輔の部下、姫宮が田口医師と初対面。無理数が好きなのかと聞く田口医師に対し、こくりと頷き、「ええ、好きです。割り切れない、ご無体なところが、とても」(40 ページ)。
東城大学病院の高階院長は、Ai センター長の田口医師の部下になると言いだし、「田口先生には、シンポジウムでは神輿になっていただきます。神輿はかつがれるもので、自分の意思ではどこへも行けません。その歯痒さ、もどかしさを思えば、まだ私にこき使われていた時の方が幸せだったと気づくでしょう」(54 ページ)とつぶやく。
ノーベル賞に最も近いと言われるマサチューセッツ医科大学の東堂医師は、9 テスラのマンモス MRI の運搬に陸上自衛隊の戦車を利用したうえ、「解剖は、破壊しない場所のことは何もわからないんです」と南雲監察医に宣戦布告する。

運命の 8 月 29 日、Ai センターでシンポジウムが開催される。そこで大事件が――黒幕は誰か。そして物語は大団円を迎える。

本書はミステリー小説でも医療小説でもない。『チーム・バチスタの栄光』のミステリー感や『イノセント・ゲリラの祝祭』での医療問題提起を期待してはいけない。本書は純然たるエンターテイメント小説なのである。
桜宮サーガで蒔かれてきたフラグが、本書で回収される。海堂ファンなら「なるほど」と楽しめるだろうし、本書が初めての読者はラノベとして楽しんでほしい。なにしろ登場人物は、みな中 2病なのだから。
そして新たなフラグがばらまかれる――登場人物たちの今後の人生は!?
(2013 年 11 月 20 日 読了)
表紙 カレイドスコープの箱庭
著者 海堂尊
出版社 宝島社
サイズ 文庫
発売日 2015年07月04日
価格 702円(税込)
rakuten
ISBN 9784800242372
閉鎖を免れた東城大学医学部付属病院。相変わらず病院長の手足となって働く“愚痴”外来・田口医師への今回の依頼は、誤診疑惑の調査。検体取り違えか診断ミスかー。国際会議開催の準備に向け米国出張も控えるなか、田口は厚労省の役人・白鳥とともに再び調査に乗り出す。「バチスタ」シリーズ真の最終章!豪華特典として書き下ろしエッセイ「放言日記」と桜宮市年表&作品相関図も収録。
 
この項つづく
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