Intel Core 2 Duo は 64ビットCPU

2006年7月 リリース
Intel Core 2 Duo T7700
Intel Core 2 Duo T7700
Intel Core 2 Duo は、開発コード Yonah (ヨナ)  こと Core Duo を発展させたCPUである。絶対性能で Pentium D を超え、Pentium 4NetBurstアーキテクチャー から決別する意味で、このCPUから内部アーキテクチャは Coreマイクロアーキテクチャー であるとアピールするようになった。
Core Duo に引き続き、イスラエルのIntel Design Center (IDC) が開発を担当した。
Intel Core Duo
Core 2 Duo の最初の製品は、開発コード Merom (メロン)  と呼ばれ、次の3点が大きな改良ポイントである。
  • パイプライン強化(同時4命令実行)
  • Macro Fusion実装(最大5命令実行)
  • 内部64ビット処理(EM64T)
MacBook Early 2008
MacBook Early 2008
内部アーキテクチャとしては高速化が期待されたが、実際には、OSやアプリケーションの最適化を待たねばならず、また、64ビット処理は、とりあえず64ビット化したというレベルであり、2008年(平成20年)8月に購入した MacBook 上ではそれほど体感速度が上がったとは感じられなかった。

Core 2 Extremeから登場

Core 2 Extreme X6800
Core 2 Extreme X6800
インテルの Core 2 Duo への意気込みを表すかのように、最初に単品販売が始まったのは最上位製品の Core 2 Extreme X6800(最大動作クロック数2.93GHz、FSB 1066MHz、2コア、VT対応)で、国内販売価格は13万円前後という高級品だ。
ベンチマーク性能では、前世代の Core Duo T2400(1.83GHz、2コア)の約3倍、Pentium 4(3.83GHz)の6倍以上。ライバルの AMD Athlon 64 FX-62(2.8GHz、2コア)の1.1倍という結果を残している。
Conroe ブロックダイアグラム
Conroe ブロックダイアグラム
Conroeのダイ
Conroeのダイ
Core 2 Duo の最初のコアとなった Conroe (コンロー) は、ALU(整数演算ユニット)を1コアあたり3ユニットを備える。無制限で同時4命令実行できるわけではないが、NetBustの2ユニットを上回る。

x86系CPUは、x86命令を内部命令μOPs(マイクロプログラム)に変換(デコード)して実行する。これは、複雑なx86命令をRISCライクなμOPsに置き換えることで、アウトオブオーダー型の命令スケジューリングが容易になるからだ。
一方で、多くのμOPsが生成され、CPU内部リソースが浪費されるというデメリットがあった。
そこで、Pentium M 以降、命令によってはμOPsに分解せず、パイプラインで扱えるようにした。インテルは、これをμOPs Fusionと呼んだ。
Intel Core 2 Duo T7700
Intel Core 2 Duo T7700
Conroe では、さらに、複数のx86命令を1個の複合内部命令 MacroOPs として実行することができるようになった。

こうした改良により、Conroe のパイプラインは14ステージと、NetBurst の半分に抑えることができた。これによりクロック数を上げることは難しくなった代わりに、省電力かつコア数を増やすことで、NetBurst 以上の性能を発揮できるようになった。
Intel Core 2 Duo QX9770
Intel Core 2 Duo QX9770
パイプライン制御では、最大96個の命令をインフライト制御できるようになった。これは前世代の Yonah の64個に比べて50%増えたことになる。パイプラインが2倍ある NetBurst の126個よりは少ないものの、スケジューラがかなり改良されているとみられる。
Penrynのダイ
Penrynのダイ
SSE SIMD(Single Instruction, Multiple Data)演算ユニットも大幅に拡充された。4個の単精度(32ビット)浮動小数点データで構成される128ビットSIMDデータに対して、1サイクルスループットで1回の積和演算を実行できるようになった。これは、1クロック・サイクルにつき8個の浮動小数点演算ができることを意味する。これは YonahNetBurst の2倍になる。

消費電力では、Conroe のTDPが65Wと、NetBurst の半分に下がった。モバイル版の Merom は35Wと、Yonah の31Wから10%ほどのアップ。
第2世代 Penryn では、プロセスルールを45nmに微細化し、クロック数は Core 2 Quad QX9770 で3.2GHzに達した。
Kentsfieldのダイ
Kentsfieldのダイ
Conroe は最初からメニーコアを意識した設計になっている。
2つのダイを2つのFSBで結ぶ Kentsfield は合計4コア構成となり、Core 2 Quad を呼ばれた。ソケットはLGA775で、Core 2 Duo と共通。これは第2世代 Yorkfield となり、その後の Core i5 シリーズへ受け継がれる。
Intel Core 2 Quad Q6700
Intel Core 2 Quad Q6700
また、高周波動作の選別品は Core 2 Extreme として、その後の Core i7 シリーズへ受け継がれる。
メインストリームの Core2 DuoCore i3 シリーズへ、廉価版として登場した AllendaleWolfdale-L は、そのまま Pentium Dual-CoreCeleron として販売されてゆく。

主要スペック

項目 仕様
メーカー インテル
発売開始 2006年8月
コアプロセッサ Conroe
Kentsfield
Allendale
Merom
Yorkfield
Penryn
Wolfdale
プロセスルール 65~45nm
トランジスタ数 1.7~4.1億
コア数 2
スレッド数 2
動作周波数 1.06~3.33GHz
データバス 64ビット
1次キャッシュ 命令:32KB×2
データ:32KB×2
2次キャッシュ 6MB
ソケット LGA 775
Socket M
Socket P
Micro-FCBGA
命令セット x86
x64
物理メモリ 4GB
TDP 10~65W

CPUの歴史

発表年 メーカー CPU名 ビット数 最大クロック
1971年インテル40044bit750KHz
1974年インテル80808bit3.125MHz
1975年モステクノロジーMOS 65028bit3MHz
1976年ザイログZ808bit20MHz
1978年インテル808616bit10MHz
1979年モトローラMC68098bit2MHz
1979年ザイログZ800016bit10MHz
1980年モトローラMC6800016bit20MHz
1984年インテル8028616bit12MHz
1985年インテル8038632bit40MHz
1985年サン・マイクロシステムズSPARC32bit150MHz
1986年MIPSR200032bit15MHz
1987年ザイログZ28016bit12MHz
1987年モトローラMC6803032bit50MHz
1989年インテル8048632bit100MHz
1991年MIPSR400064bit200MHz
1990年モトローラMC6804032bit40MHz
1993年インテルPentium32bit300MHz
1994年IBM, モトローラPowerPC 60332bit300MHz
1995年サイリックスCyrix Cx5x8632bit133MHz
1995年AMDAm5x8632bit160MHz
1995年サン・マイクロシステムズUltraSPARC64bit200MHz
1999年IBM, モトローラPowerPC G432bit1.67GHz
1999年AMDAthlon32bit2.33GHz
2000年インテルPentium 432bit3.8GHz
2001年インテルItanium64bit800MHz
2003年AMDOpteron64bit3.5GHz
2003年インテルPentium M32bit2.26GHz
2006年SCE,ソニー,IBM,東芝Cell64bit3.2GHz
2006年インテルCore Duo32bit2.33GHz
2006年インテルCore 2 Duo64bit3.33GHz
2008年インテルCore i9/i7/i5/i364bit5.8GHz
2017年AMDRyzen64bit5.7GHz
2020年AppleM1/M264bit3.49GHz

参考サイト

(この項おわり)
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