社員を疑う

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社員監視システム

社員のモラルやスキルが低いのでルールが守れないのだ。システムでセキュリティを守ればいい――こう考える経営者もいます。こうした経営者のために、監視カメラやパソコンの活動監視システム、果てはメールの検閲システムまで、様々なシステムが市販されています。
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しかし、こうしたシステムはセキュリティ対策だけではなく、他の用途にも流用ができます。
たとえばパソコンの稼働時間を元に社員の勤怠管理や能力評価を行ったり、メールを監視することによって社内外の人脈を把握することができてしまいます。まさに「社員監視」社会(週刊ダイヤモンド 2009 年 1 月 10 日号)です。
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こうなってくると、社員のプライバシーは無いも同然です。
つまり、個人情報を守ろうとして導入した仕組みが、逆に、社員のプライバシーを奪うという皮肉な結果になりかねません。
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ルール作成上のポイント

犯罪を起こすのが“ヒトの心”によるものである以上、ルールによる管理を行うべきです。監視システムを導入するにしても、それは最小限にすべきです。
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ルールを守るのは社員ですが、一口に社員といっても様々な職種・性別・年齢の方がいます。正社員だけでなく、派遣社員やパート/アルバイト社員もいるでしょう。
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ルール作成上のポイントは、その内容より、どの社員をターゲットにしているかということです。
正社員だけが守ればいいのか、パート/アルバイトまで含めた全社員に守らせるのか。退職社員はどうするのか。男性でも女性でも守れるルールになっているか――こういった観点からチェックしながらルールを作っていかないと、作っただけで守られないルールになってしまいます。
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ルール案を作成したら、社員に配布し、意見を聞くというのもいいでしょう。
この時、おざなりなアンケートにしないで、各部署の上長が直接社員からヒアリングするくらいの手間をかけるべきです。こうすることで、各部署の上長に会社の方針を伝えるという効果も生まれます。
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次の章では、こうしたルールの基盤になる「プライバシーポリシー」の作り方について説明します。

参考書籍

  • 特集「『社員監視』社会」(週刊ダイヤモンド 2009 年 1 月 10 日号)

参考サイト

(この項おわり)
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