英雄とは既に墓の中にいる偉大な人物を指す

イビチャ・オシム

発言者

  イビチャ・オシム イビチャ・オシム
  サッカー日本代表監督
   
  2006年8月9日

場面

オシム・ジャパンの初陣となったトリニダード・トバゴ戦のあと、2得点した三都主について、報道陣にこう語った。「彼だけが英雄ではない。私の考えでは、英雄とは既に墓の中にいる偉大な人物を指す。まだ三都主は生きている。ゴールを決めれば持ち上げられ、外すとけなされるのでは選手も気持ちよくない」

コメント

結果を重視する世相に対する痛烈な批判である。さらに、1週間後のイエメン戦の後で、「今はどんなに美しいプレーをしたかではなく、何勝したかが求められる時代。残念なことだが」と報道陣に語った。

スポーツは結果がすべてである。だが、勝利する者は、地道な努力を積み重ね、必要な犠牲を払ってきている。この事実を忘れ、評論家のような態度でいては勝利は覚束ない。
日本代表に勝ってもらいたいなら、サポーターもマスコミも、現場に入って、当事者の視点から応援しなければならない。
また、このことは、われわれ自身の生き方についても言えるだろう。世の中は結果がすべてだ。ゆえに、そこに至るまでの努力や犠牲が重要なのである。
自らの人生を一生懸命生きた者は、死んだ後に英雄と呼ばれるようになる。
(この項おわり)
header