タブレット「SMT-i9100」は電子書籍閲覧に最適なサイズ

2011年7月 購入
SMT-i9100 - Androidタブレット
Androidタブレット「SMT-i9100」(Samsung製,au by KDDIが販売)を購入した。今回は軽さ重視、性能は二の次――。

歳のせいか、メインのノートPC「Let's note CF-Y7D」を持ち運ぶのが重くてかなわない。昔は3kgのラップトップPCも平気で持ち歩いていたというのに。 ( ´_`) トホホ
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SMT-i9100 - Androidタブレット
「auの鬼っ子」「GALAXY Tabの廉価版」との酷評のあるSMT-i9100だが、実際、タブレットとしての使い勝手は「iPad」に劣るし、スマートフォンのような3Gデータ通信機能もない(WiFiとBluetoothは内蔵)。とはいえ、手帳代わりに使うのなら悪くはない。通信契約を結ばずとも本体のみ購入できる点も魅力だ。

画面が7インチ、1024×600ドットと比較的大きいので、縦位置にすればソフトキーボードを使いながらの入力もそれほど苦にならない。(iPadは9.7インチ、1024×768 ピクセル)
SMT-i9100 - Androidタブレット
充電器を兼ねているクレードルに置くと、こんな感じ。
ビデオを見たり、メモを見ながらPCに入力するのにちょうどよい。

ニュース、天気予報、ToDoリストを画面に表示させながら、インターネットラジオを聞くこともできる。
SMT-i9100 - Androidタブレット
背面に200万画素のカメラを備える。
本体が携帯電話やデジカメより大きいので、風景や人物を撮影するより、手書きメモやホワイトボードを撮影する機会が多くなりそうだ。(シャッター音あり)

Webブラウジング、PDFリーディング、動画再生(Flash, MP4, DivXなど)はストレスなく行える。むしろWindowsPCより速いくらいである。それほど性能の高いハードウェアとは思えないが、裏で携帯待ち受けタスクが動いていないせいかもしれない。

iPad との比較

SMT-i9100
  1. キーボードのないLinuxマシン
  2. 大判手帳としてビジネスユースもこなす
  3. 動画再生は苦手
iPad
  1. タブレットという新しいジャンルを確立
  2. 電子書籍を読むのに最適
  3. マルチメディア再生は得意
無理を承知で iPad と比較してみた。

iPadはタブレットというカテゴリを創出しただけあって、PC/Mac、携帯電話のいずれとも違う操作性を誇る。
これに対してSMT-i9100(というよりAndroidタブレット)は、廉価なLinuxマシンに過ぎない。無料アプリをインストールすれば、マウントしているフォルダを丸見えにできるし、常駐しているデーモンも見える。システムに対しては、多少の自己責任が必要だ。
その一方、PCのようにアプリや他のPCとの間で簡単にデータの使い回しができるので、ビジネスユースには都合がいい。

逆に、iPadは再生対応しているコーデックの種類が豊富なことが特徴だ。いままでiPadで再生できなかったマルチメディアファイルはなかったほどである。
これに対して、Androidは基本的にMPEG-4/H.264再生に対応していない。別の再生アプリを入れる必要がある。

Androidのようにアプリを入れれば様々なニーズに対応できるというのは、パソコンそのものである。
一方のiPadは、素のままでもかなり遊べる。

価格とスペックの問題

SMT-i9100の評判が悪いのは、価格設定とスペック開示の問題だと思う。

まず価格だが、本体のみだと定価5万円(実売3.2万円くらい)もする。先発のiPadより使い勝手が悪く、GALAXY Tab SC-01Cのような3G通信機能が無いのに重たい‥‥。
auは売る気が無いのかと思いきや、auショップや家電量販店のauタブレットコーナーの最前線に展示されている。
2011年(平成23年)7月現在、auには上位機種の「MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M」も販売されているが、これまた高価だ(6万円前後)。タブレット人気を完全に読み誤っている。

次にスペック表であるが、購入前にauの公式サイトからダウンロードできる取扱説明書に目を通したのだが、「取り扱い上の注意」が長大である割に、スペック表はたったの1ページしかない。CPUが何なのかもわからない。
さらに悪いことに、発売当初にプレス発表したスペック値が間違いだらけで、いまだに訂正されていないサイトが多い。
このため中華iPadのような出自の悪い製品のイメージが漂うのだが、本体は韓国SAMSUNG製で、モリサワフォントを標準搭載している。画面の見やすさやデザインでもiPadにひけをとらない。使い勝手がiPadに劣るというのはAndroid 2.xの問題であって、ハードウェアやアプリケーションには太鼓判を押せる。
もしこれから購入しようという方がいたら、店頭で実機に触れてみてほしい。

au by KDDI様へ――Androidユーザーには私のようなPCマニアが多いので、取扱説明書やパンフレットの改版時には是非スペック表を見直していただきたい。
また、Tegra2やAndroid3.xを搭載したタブレットの参戦が近いので、「5万円」は考え直していただきたい。半額でも高いくらい。本気でWiFi展開するつもりであれば、SMT-i9100を橋頭堡として活用しない手はないと思う。

主要スペックの比較

項目 SMT-i9100 GALAXY Tab
SC-01C
MOTOROLA XOOM Wi-Fi TBi11M iPad 2
WiFiモデル
画面 7インチTFT液晶
1024×600
静電容量式タッチパネル
7インチTFT液晶
1024×600
静電容量式タッチパネル
10.1インチ

1280×800
静電容量式タッチパネル
9.7インチIPS液晶
1024×768
静電容量式タッチパネル
スピーカー ステレオ 約0.64W
※2Wは誤り
不明 不明 不明
本体サイズ
幅×高さ×厚み(ミリ)
199×129×13.9 190×120×12.1 247×169×12.9 241.2×185.7×8.8
本体重量(グラム) 約 480 約 382 約 700 約 601
連続駆動(時間) 約 6.5
※2時間は誤り
約 8.5 約 10
連続待受(時間) 約 150 約 1600 約 480
CPU 記載なし S5PC110
1GHz
Tegra 2
1GHz
Apple A5
1GHz
基本ソフト Android 2.2 Android 2.3 Android 3.1 iOS 4.x
主記憶 512Mバイト 512Mバイト
補助記憶 フラッシュメモリ
4Gバイト
フラッシュメモリ
16Gバイト
フラッシュメモリ
32Gバイト
フラッシュメモリ
16~64Gバイト
3G回線 なし FOMA回線 なし なし
WiFi IEEE802.11b/g/n IEEE802.11a/b/g/n IEEE802.11b/g/n IEEE802.11a/b/g/n
Bluetooth Ver3.0
A2DP,AVRCP,OPP,HID等
Ver3.0
A2DP,AVRCP,OPP,HID等
Ver2.1
Ver2.1
USBポート microUSB×1 microUSB×1 なし
メモリスロット microSDHC×1
最大32Gバイト
microSDHC×1
最大32Gバイト
microSDHC×1
最大32Gバイト
なし
外部画面出力 なし miniHDMI なし
カメラ 200万画素×1 320万画素×1
130万画素×1
500万画素×1
200万画素×1
×2
位置情報 GPS A-GPS WiFi+デジタルコンパス
加速度センサー 搭載 搭載 搭載
注意事項 SIMスロットはあるがau回線は使えない SIMスロットはあるがau回線は使えない iTunesが動作するPC/Macが必要

USBマスストレージ

SMT-i9100 - Androidタブレット
USBケーブルを接続すれば、PC側からUSBマスストレージとして扱うことができるようになる。ただし、データ領域は3Gバイト程度しかないので、データを入れるならば別途microSDカードが必須だ。

また、SMT-i9100側はmicroUSBコネクタになる。やや窪んだ部分にあるので、microUSBの金属部分が7ミリ以上ないと干渉してしまう。

画面スナップショットの撮り方

SMT-i9100は、セキュリティを確保するため、単体で画面スナップショットを撮ることができないようになっている。PCとUSBケーブルで接続する必要がある。使用するUSBケーブルは、上述のマスストレージで利用したものと同じで良い。
以後、Windowsでの操作を説明する。
SMT-i9100 - Android SDK
まず、Java Platform (JDK) 7をダウンロードしてインストールする。
次に、Android SDKをダウンロードしてインストールする。
Android SDKマネージャを起動すると、左図のような画面になる。
SMT-i9100用のUSBドライバはメーカーが提供していないので、Google USB Driver packegeをインストールする。
すると、"C:\Android\android-sdk\extras\google\usb_driver\" というフォルダが作成されるはずである。
SMT-i9100 - Android SDK
この時点でWindowsのコントロールパネルからデバイスドライバを参照すると、左図のように「?」の状態になっている。ここで「?」を右クリックし、プロパティを選択。詳細タブをクリックで、プロパティ欄の「デバイス インスタンス パス」を表示させる。
SMT-i9100 - Android SDK
この値を "C:\Android\android-sdk\extras\google\usb_driver\android_winusb.inf" に書き込む。

【例】
%SingleAdbInterface% = USB_Install, USB\VID_04E8&PID_9102
%CompositeAdbInterface% = USB_Install, USB\VID_04E8&PID_9102&MI_01
SMT-i9100 - Android SDK
つづいてドライバの更新を実行し、"C:\Android\android-sdk\extras\google\usb_driver" を参照させれば、ドライバのインストールが始まる。
SMT-i9100 - Android SDK
SMT-i9100側は「USBデバッグ」にチェックを入れておく。
SMT-i9100 - Android SDK
Windows側で "C:\Program Files\Android\android-sdk\tools\ddms.bat" を実行。キャプチャボタンをクリックすると、左図のように画面のスナップショットを撮ることができる。

おまけ:中華 iPad とスペック記載

購入前の比較商品として中国製のAndroid(いわゆる中華iPad)をいくつか調べ、実機に触ってみた。結論から言うと、Linuxに対する深い知識があって物好きな人間でなければ中華iPadには手を出さない方がいい

7インチというサイズ扱いやすいのだが、いまはまだ商品の選択肢が少ない。
Amazonで“7インチ タブレット”と検索すると、ヒットするほとんどが中華iPadである。
外観はiPadに似せてあるが中身はAndroid。中にはGoogle公認を受けていないものまである。
多国語対応とうたっていても、漢字フォントは簡体字である場合が多く、日本語は文字化けする。それでなくても読みづらい。
スペックも偽りが多く、たとえば、ARM系の500MHzデュアルコア組込みプロセッサのことを「最新1Gzプロセッサ」などと記載しているものもあった。
画面解像度は800×600ドットのものが多く、液晶の品質も悪い。安価な製品では感圧式タッチパネルのものがあり、これだとマルチタッチができない。

だが、中華iPadの価格は1万円台である。それに比べたら、SMT-i9100の3.2万円は高いと思う。

また、これはタブレット全般に言えることだが、ノートPCやネットブックなどと違って詳しいハードウェアスペックがわからないものが多い。SMT-i9100に限らず、搭載CPUやメモリもわからないものが多い。
携帯電話と同じで仕様を記載していないのか、メーカーである韓国、台湾、中国の習慣なのかはわからない。
ロットによってCPUやメモリ量が変わるかもしれないので、パソコン雑誌のベンチマークテストを当てにしない方がいいと思う。

というわけで、本文の内容も欠けていたり間違っていたりするかもしれない。お気づきの点があれば、脚注に示す連絡先からご一報(またはツイート)いただきたい。

参考サイト

(この項おわり)
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