PDFファイルで黒塗りをしたはずの個人情報が漏洩してしまうケースが後を絶ちません。PDFの機能を間違って使っているためです。
事例
2006年8月、千葉市教育委員会のホームページ、PDF形式で公開されていた議事録で黒塗りにされた個人情報が、簡単に閲覧できる状態であったことが分かりました(So-netによる記事)。
また、2007年2月、最高裁判所の判例紹介のホームページに掲載された東京地裁の判決文で、黒く塗りつぶした約20カ所の閲覧制限部分が、簡単な操作で読み取れる状態になっていたことが分かりました(J-CATSニュースの記事)。
いずれの事例も、ワープロソフトで作成した判決文を、PDFに変換したものでした。ところが、個人情報の部分を削除するのではなく、Adobe Acrobatの図形や蛍光ペンによる黒塗り操作を施していただけでした。
これらのAcrobatの機能は、紙の文書にマジックペンで黒塗りすることと同じではありません。
ダメな対策:図形や蛍光ペンによる黒塗り
ここに、ここに当サイトの一部をPDF化したファイルがあります。
これを、Acrobat の図形塗りつぶし機能を使って黒塗りしたものがこのファイルです。
黒塗りの部分を選択・コピーし、メモ帳やワープロソフトにペーストしてみてください。簡単に元のテキストをペーストできてしまうことがわかります。
ワープロソフトやホームページなど、元々がテキスト情報を含んでいるものをAcrobat経由でPDF化した場合、漏れなくテキスト情報が反映されます。図形や蛍光ペンによる黒塗り操作を行っても、見た目上、黒い四角形を乗せるだけで、元のテキストは残ったままです。
紙の文書にマジックペンで黒塗りするのとは違うのです。
ダメな対策:パスワード保護によるコピー禁止
では、図形や蛍光ペンによる黒塗り操作を行った上で、パスワード保護機能を使ってテキストのコピーができないようにしてはどうでしょうか。
たしかに、簡単にコピー&ペーストを行うことはできなくなります。
しかし、PDFのパスワード保護機能は、それほど強いセキュリティ対策機能ではありません。ある程度のスキルがある者に解析されると、簡単に突破されてしまいます。そうなると、元の個人情報は盗み見られてしまいます。
有効な対策:Acrobat 8 の「墨消し」機能
Acrobatの最新版であるバージョン8に「墨消し」機能が加わりました。メニュー [アドバンスト]-[墨消し] から実行できます。
「墨消し」機能では、指定した部分を黒く塗りつぶすだけでなく、関連テキストやメタデータをすべて削除してくれます。
この機能を使えば、確実に個人情報を削除することができます。操作方法も簡単なので、この方法を使うのが一番安全です。
前述のPDFファイルに対し、「墨消し」機能を適用したのがこのファイルです。
多くの社員を抱える企業では、メーカーが用意している標準機能を使うのが一番です。複雑な方法では、操作に対応できず、従前の方法に戻ってしまう社員が発生するからです。。経費を惜しむことなく、Acrobat 8 にバージョンアップすることをお勧めします。
有効な対策:画像化、元ファイルの加工
お金がないのでAcrobatをバージョンアップできない、そもそもAcrobat以外のPDF化ソフト(クセロPDF、いきなりPDF)を使っているという個人やSOHO事業者の方も、手順は煩雑になりますが、確実に個人情報を削除してください。
最も簡単なのは、元ファイルを一度印字してもらい、マジックペンで黒く塗りつぶす。これをスキャナで取り込んでPDF化する方法です。時間はかかりますが、お金をかけずに個人情報を守ることができます。
しかし、これだとPDFファイルのサイズが大きくなってしまいます。そこで、次の方法は、元のワープロ・ファイルから個人情報を削除し、それをPDF化するものです。これであれば、そもそも個人情報が含まれていないわけですから、漏洩することもありません。
ただし、文書のレイアウトは崩れてしまうかもしれません。個人情報を部分を「■」に置換するなど工夫してください。
参考サイト
- 「黒塗り」が丸見え! 東京地裁赤っ恥(J-CASTニュース)
- 「黒塗り」だけでは不十分、PDF文書を公開する際には要注意(ITpro)
- ホームページ「部分黒塗りPDFファイル」事件(IT弁護士の目)
| 2007年09月29日更新 | ||
| <<前へ | <目次> | 次へ>> |
| 戻る | 【関連ページ】 | |