チチブデンキの「おでん缶」

2006年2月26日 撮影
おでん缶
ちょっとした買い物で秋葉原を訪れたのだが、ラオックス・ザ・コンピュータ館(2007年9月20日に閉店))の各フロアに「おでん缶 」が並んでいて、こぱふぅが関心をもった。それなら“元祖”を買おうということで、道路を渡ってチチブデンキ(東京都千代田区外神田3-12-15;2015年(平成27年)5月20日店舗営業終了)へ向かった。
この日は小雨だったにもかかわらず、自販機の前は行列である。しかも家族連れが多い。
チチブデンキは東芝の専門店なのだが、パパぱふぅにとってはパーツ屋のイメージが強い。10年前だったら、チチブデンキの脇に家族連れが屯する風景など考えられなかった。
ところが、今日は売れるのが早いせいか、おでん缶 は人肌程度にしか温まっていなかった。それに、ラオックスの軒下で食べるのも悪いので、家まで持って帰って湯煎で暖めて食べることに。
おでん缶
パパぱふぅおでん缶 を食べた記憶がない。そこで調べてみたところ、チチブデンキおでん缶 の自販機が設置されたのは1995年(平成7年)のこと。すでに万世でステーキが食べられるほどの給料をもらっていた頃である。どうりで知らないわけだ。
パパぱふぅが学生の頃は、秋葉原にはカップラーメンの自販機はおろか、子どもの小遣いで買い食いできる店がなかった。自販機でコカコーラを買って、炭酸で腹を膨らませたものである。
おでん缶
おでん缶 メーカーの「天狗缶詰」(名古屋市)は、1923年(大正12年)、うずら卵の缶詰製造会社として創業した。1985年(昭和60年)、うずら卵の需要を増やしたいという狙いから開発されたのが「おでん缶 」だ。317ミリ・リットル缶には、うずら卵をはじめ、こんにゃく、昆布、大根などの具が入って、1缶200円(牛すじ入りは250円)。現在、全国に自販機が数十台設置されている。
チチブデンキおでん缶 自販機がブレイクしたのは「電車男」の影響が大きいと言われている。ドラマの中でおでん缶 の自販機が登場すると、それまでは1日数十缶の売り上げだったのが、平日300缶、休日は600缶を売り上げるようになったという。
アキバ系ビジネスは、インターネットを利用した“口コミ”が重要なファクターだ。波多野精紀・金沢工業大学客員教授によると、“口コミ”目安はGoogleで商品名を検索した場合にヒット件数が3万5000件~5万件。それ以上になるとマスコミにも取り上げられ、多くの人が知るようになるという。
ためしに「おでん缶」でググってみると、約38万件がヒットした(2006年3月26日現在)――「東京ばな奈」の10万件を軽く上回る数字である。

天狗缶詰は、1999年(平成11年)、いち早くネット販売をはじめているが、パパぱふぅは、おでん缶 が単なるアキバ系ビジネスではないと考えている。
天狗缶詰の基盤であるうずら卵の缶詰にこだわるという、「ビジネスが行きづまったら原点に戻る」を忠実に実行し、それから十数年をかけて年商を100億円にまで伸ばした。生産体制も徐々に拡充しており、現在はHACCPを取得した最新鋭の工場となっている。
電車男の影響を受けて他社が真似できるようなレベルのビジネスではない。

チチブ電気へのアクセス

【鉄道】
  • 秋葉原駅下車、徒歩5分。

近隣の情報

(この項おわり)
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