ホメオパシー

2010年9月28日 更新

ホメオパシーとは

レメディ
ホメオパシーは、「同種療法」「類似療法」と訳されることもあるが、症状を起こす原因物質がその症状を取り去る物質になるという根本原則の上に成り立っている民間療法である。
たとえば風邪で発熱したとき、ホメオパシーでは熱を出す作用のあるものを体内に入れて共鳴させ、もっと発熱させる。そして、身体はこんなに熱が出ては大変だと気づき、何とか治そうとして自己治癒力を活発に活動させるという。

ホメオパシーでは、症状を増幅させるときに、ある作用を持つ植物・鉱物・昆虫などを徹底的に薄めた砂糖玉「レメディー」を使用する。レメディーは、元の物質がなくなるまで薄める「希釈・振盪」という特別な方法によって作られる。

ホメオパシーをめぐる事故

生後2か月の女児が死亡したのは、出生後の投与が常識になっているビタミンKを与えなかったためビタミンK欠乏性出血症になったことが原因として、母親が山口市の助産師を相手取り、損害賠償請求訴訟を山口地裁に起こしていることがわかった。助産師は、ビタミンKの代わりにレメディを与えていた。
読売新聞,2010年7月9日より

国立市の女性がホメオパシーを始めたのは3年前。離婚直後で精神的に不安定な時に友人に紹介された。昨春から体調を崩し、全身の痛み、強い肌荒れを訴え始めた。牧師が何度も病院受診を勧めたが、女性は「今までのホメオパシーの努力が無駄になる」と拒み続けたという。
5月に気を失いかけたすきに、母親が救急車を要請。搬送先で、初めて悪性リンパ腫と診断された。女性は、間もなく死亡した。
朝日新聞,2010年8月11日より

有識者と政府の動き

日本周産期・新生児医学会は8月5日、新生児の頭蓋内出血を防ぐため、ビタミンK2シロップ投与の重要性を再確認するよう、会員の産婦人科医や小児科医、助産師らに求める緊急声明を出した。緊急声明は長妻昭・厚生労働相にも提出、厚労省として積極的に指導するよう求めた。
日本周産期・新生児医学会の緊急声明【PDF】,2010年8月5日より
ホメオパシーに対し、日本学術会議は「科学的な根拠がなく、荒唐無稽としか言いようがありません」「例えプラセボとしても、医療関係者がホメオパシーを治療に使用することは認められません」とする会長談話を発表した。
この談話を受け、長妻昭厚生労働大臣は「本当に効果があるのかないのか、厚労省で研究していく」と述べた。同省は医学者らによる研究班を組織し、近くホメオパシーを含む代替医療に関するデータ集めを始めるという。
共同通信,2010年8月24日より

また、日本医師会と日本医学会も賛同を示し、「ホメオパシーが新興宗教のように広がった場合、非常に多くの問題が生じるという危機感を持っている」とコメントしている。
日本ホメオパシー医学協会関連の療法家育成組織「https://www.homoeopathy.ac/:title=ザ・ジャパン・ロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー]」のホームページ上での健康相談が、医師法に触れる疑いがあると指摘する声が、専門家から上がっている。
これに対し、[日本ホメオパシー医学協会は「薬を処方することは医業にあたる。しかし、薬でないもの(=レメディー)をすすめることは医業にあたらない。したがって違法であるとは考えない」と文書で回答。医師法については、「ホメオパシーを対象にはしておりません」としていて、「先生」に医師が含まれるのか明らかにしていない。
朝日新聞,2010年9月8日より

東京都は、「日本ホメオパシー医学協会」関連の販売会社「ホメオパシージャパン株式会社」に、薬事法に基づく立ち入り検査をした。同社の商品広告に特定の病気に対する効き目をうたったとみられる表記がみつかり、薬事法に抵触する可能性があるからだ。
ホメオパシージャパン社は立ち入り検査に関し「薬事法の解釈・運用も徐々に変化しているようであり、お互いの認識合わせをし、指導があればその都度、変更を行ってきている。今回もその一環。法律を順守した企業活動の徹底をはかっている」とコメントしている。
また、日本ホメオパシー医学協会は、ホームページに「レメディーは食品であり、医薬品ではない」「レメディー自身が病気や体の部位に効果があるという記載は×」などと記している。
朝日新聞,2010年9月8日より
琉球大学医学部が6年前から、助産師を目指す学生たちが通う保健学科の必須科目「助産診断・技術学」の中で年1回、3年生を対象にホメオパシーを教えていたが、来年度から取りやめることになった。
朝日新聞,2010年9月17日より
学術会議の唐木英明副会長は、ホメオパシーの利用者が減らないことに対し「現代医療のすき間を突かれている」と現代医療の側の問題点を指摘する。「ホメオパシー療法家は、利用者の悩みをきちんと聞いている。現代医療も心のケアをどうするのか真剣に考える段階に来ている」。
産経新聞,2010年9月28日より

参考書籍

表紙 まだ科学で解けない13の謎
著者 マイケル・ブルックス/楡井浩一
出版社 草思社
サイズ 単行本
発売日 2010年05月
価格 1,980円(税込)
ISBN 9784794217578
宇宙論から自由意志、セックス、常温核融合、地球外生命、代替医療まで、13の謎が巻き起こしうる科学革命の未来像を解説。
 

参考サイト

(この項おわり)
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