乳幼児へのイオン飲料の与えすぎに注意

2017年6月11日 更新
スポーツドリンク
乳幼児が感染症にかかり、発熱・発汗で失われた水分を補給しようと、イオン飲料やスポーツドリンクなどを与え続け、健康状態が悪化したという報告が、2016年(平成28年)までの10年間で少なくとも24例あったことが、日本小児医療保健協議会などの調査でわかった。

イオン飲料やスポーツドリンクなどは糖やミネラルを含むが、糖をエネルギーに変換するのに必要なビタミンB1が含まれないため、栄養が偏ったためとみられる。最悪の場合、意識障害や脚気、浮腫などを起こし、知的障害や運動障害が残る。
こうした飲み物を継続して多量にとらないよう専門家は注意を呼びかけている。
朝日新聞,2017年6月11日

日本小児医療保健協議会の報告

日本小児医療保健協議会の栄養委員会によると、1986年(昭和61年)以降の報告で、7カ月~2歳11カ月の33人がビタミンB1不足のため、意識障害や浮腫などを起こし、1人が死亡していた。33人のうち24人は07年以降の報告だった。
33人中12人に知的障害や運動障害が残った。分析できたうち、飲んでいた期間は最短1カ月、最長は1年11カ月。約9割が1日1リットル以上飲み、大半は離乳食をほとんど食べないか少量しか食べていなかった。飲み始めた理由は「かぜなどの感染症にかかった」が最多。「子どもが好む」や「水分補給」「離乳食が進まない」と続いた。

日本小児科学会雑誌のバックナンバーで、「イオン飲料多飲による脚気の1歳児」「多量のイオン飲料摂取によりWernicke脳症を呈した乳児」などの報告がなされている。また、「ビタミンB1投与が著効した脚気心の幼児例」という報告もある。
(この項おわり)
header