2020年 印象に残ったニュース

2020年12月31日 作成
西暦2020年(令和2年)は、新型コロナ・ウイルスに始まり、新型コロナ・ウイルスに終わった1年だった。外出や飲食会の自粛、リモートワークの拡大など暮らしに大きな変化が起き、レジ袋が有料化された。一方、小惑星探査機「はやぶさ2」の帰還や、ネット民の協力で習志野隕石が発見されるなど、科学の発展もあった。ドコモ口座をはじめとする電子決済サービス不正引き出し事件や、東京証券取引所でシステム障害が起き終日取引停止になる事故があった。

目次

新型コロナ・ウイルス感染拡大

COVID-19:1日あたり死亡者数の推移(全世界)
COVID-19:1日あたり死亡者数の推移(全世界)
1月7日、前年11月から中国の武漢市で発生している肺炎の原因が新型コロナ・ウイルス(SARS-CoV-2)によるものと特定された。感染は世界中に広がり、3月11日、WHOはパンデミックとの認識を示した。
東京オリンピックは延期となり、各国で入国制限やロックダウンが行われ、経済的ダメージが続き、2020年(令和2年)の世界GDP成長率は-4.4%になると予測されている。
12月8日、イギリスで一般向けのワクチン接種が開始されたが、効果は未知数である。
マスコミやネットを通じ、根拠のない噂やデマが氾濫するインフォデミックも問題となった。

はやぶさ2の帰還

はやぶさ2
はやぶさ2
12月6日、6年前の打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」が地球へ帰還し、小惑星「リュウグウ」のサンプルの入ったカプセルが回収された。想定を上回る5.4グラムのサンプルが入っていた。
2031年(令和13年)7月、小惑星1998KY26を接近探査するため、再び地球を後にした。

習志野隕石

7月1日、関東・東海地方の上空で火球が目撃され、SNSに動画や爆発音などの証言が次々に投稿された。7月13日、千葉県習志野市のマンションで岩石片が見つかり、隕石と判明した。
11月1日、国際隕石学会に「習志野隕石」として登録された。国立科学博物館によると、火球の軌道と隕石本体の両方が同時に見つかったのは国内では初めてであり、はやぶさ2のサンプルに匹敵する貴重な情報だとしている。

レジ袋が有料化

レジ袋が有料化
7月1日、海洋プラスチックごみ問題を受け成立した改正容器包装リサイクル法の施行により、プラスチック製買物袋を扱うスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店で、レジ袋の有料化が義務化された。
新型コロナ・ウイルス感染拡大の最中のことで、当初、レジでの混乱も見られたが、12月時点で、消費者の7割が受け取りを断っているようだ。一方、袋に使うフィルムの生産や原料の合成樹脂の輸入が減り、業界は受難の年となった。

調布市で道路が陥没

調布市で道路が陥没
10月18日、東京都調布市の住宅街で道路が陥没し、深さ5メートルの穴が開いた。地下に空洞も見つかっており、東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事と一致していることから、住民らは独自調査を開始。12月27日に調査の結果を公表し、陥没地点の周辺を中心に家屋や外の塀に被害があった家が58軒あったほか、騒音や振動などを体感していたのは100軒を超えたという。

電子決済サービス不正引き出し事件

ハッカー・ネットワーク犯罪のイラスト(セキュリティー)
2020年(令和2年)は、電子決済サービスの不正引き出し事件が相次いだ。
9月8日、ドコモ口座で不正引き出しが発覚し、15日までに2676万円の被害が確認された。
その後、PayPay、Kyash、LINE Pay、メルペイ、PayPalなどでも不正引き出しが確認された。
ドコモ口座開設に本人確認を行っていなかったことを問題視し、本人確認を行う手順が追加された。一方、新型コロナ・ウイルス感染拡大に伴うリモートワークの普及で、捺印を省略しようという社会的な動きもでてきている。
また、12月7日、PayPayのサーバが不正アクセスの被害を受け、2000万件以上の加盟店情報が流出した。12月25日、楽天もサーバが不正アクセスを受け、148万件以上の個人情報が流出した。これらはクラウドサーバの設定ミスによるものだった。

東京証券取引所でシステム障害

東京証券取引所でシステム障害
10月1日、東京証券取引所の株式売買システム「arrowhead」で障害が発生し、終日取引を停止した。
その後の調査で、システムを開発した富士通の製品マニュアルの不備によって、機器が故障した際の自動切り替え機能がオフになっていたことや、東証が切り替えのテストを行っていなかったことが明らかになった。
金融庁は東証と親会社の日本取引所グループに業務改善命令を出し、東証の宮原幸一郎社長が引責辞任した。また、富士通も役員5人の減俸処分を行った。

香港国家安全維持法

7月1日、香港で警察に拘束される男性
7月1日、香港で警察に拘束される男性
6月30日、中国の全国人民代表大会常務委員会は、香港国家安全維持法を香港特別行政区基本法の付属文書に追加する決定を全会一致で可決。同日から施行された。
翌7月1日、香港警察はこの法律に違反したとして民主化活動家10人を逮捕、約360人を拘束した。
その後も逮捕者は増加しており、海外へ脱出した人までも逮捕されている。
国際世論は一国二制度に反するものとして警戒を強めている。

安倍総理の辞任

辞意を表明する安倍総理
辞意を表明する安倍総理
8月24日、安倍晋三氏は、総理連続在職日数が2,799日となり、それまで最長だった大叔父の佐藤栄作(2,798日)を抜き歴代最長となった。昨年11月20日には、通算在職日数が2,887日となり、それまで最長だった桂太郎(2,886日)を抜き歴代最長となっていた。
しかし、持病が再発し、8月28日、辞意を表明する。9月16日午前の閣議において総辞職し、菅義偉 (すが よしひで) 官房長官が後継の内閣総理大臣に指名された。連続在職日数は2822日、通算在職日数は3188日だった。

Apple M1 発表

Apple M1
Apple M1
11月10日、Appleが自社設計のSoC(System on a Chip)「Apple M1」を搭載したMacintoshを発表した。Intelの汎用CPUとは異なり、電源管理やディスクの暗号化、AI処理など、Apple自身が必要ととしている機能をパッケージング化したことは、CPUの新しい姿を示した。ワット当たりのCPU性能は世界最高と言われている。

物故者

ピエール・カルダン
ファッションデザイナー。享年98歳。その幾何学的文様から、CGプログラムの参考にしたことがありました。
なかにし礼
作詞家、作家。享年82歳。ドリフの歌は面白いものばかりでした。
小松政夫
コメディアン。享年78歳。小松の親分さん!
ヴァレリー・ジスカールデスタン
1974年から1981年にかけて第20代フランス大統領を務めた。サミットを創始したことが記憶に残ります。享年94歳。
矢口高雄
漫画家。享年81歳。「釣りキチ三平」などの作品で知られる。
小柴昌俊
物理学者。享年94歳。講演を聞いてホッコリさせられました。
ショーン・コネリー
俳優。享年90歳。ジョーンズ親子の掛け合いが記憶に残ります。
まつもと泉
漫画家。享年61歳。きまぐれオレンジ☆ロード」などを手がけた。長い闘病生活、お疲れ様でした。
筒美京平
作曲家。享年80歳。「ブルー・ライト・ヨコハマ」「おれは怪物くんだ」から「青い炎シンドローム」まで記憶に残る曲は数知れず。
富田耕生
声優。享年84歳。マジンガーZのDr.ヘル、ゲッターロボの早乙女博士が記憶に残ります。
斎藤洋介
俳優。享年69歳。映画デビュー作「ヒポクラテスたち」が記憶に残ります。
岸部四郎
ミュージシャン、俳優。享年71歳。岸部シローの方が記憶に残っていますね。
渡哲也
俳優。享年78歳。
李登輝
台湾の元総統。享年97歳。親日家でした。
五島勉
作家。享年90歳。小学生だった私に『ノストラダムスの大予言』を紹介してくれた叔父が、先日他界。これも何かの縁でしょうか。
服部克久
作曲・編曲家。享年83歳。『新世界紀行 自由の大地』はオーケストラの名曲です。
川崎富作
医師。享年95歳。原因不明の子どもの病気「川崎病」を発見。
横田滋
享年87歳。めぐみさんは同い年です。それを想うと、何とも言えない気持ちです。
浅野孝已
ギタリスト。享年68歳。Rolandのギターシンセ開発に携わっていたことが記憶に残ります。
岡本行夫
外交評論家。橋本、小泉両政権で首相補佐官を務めた。享年74歳。新型コロナ・ウイルスに感染し、逝去。
久米明
俳優、声優。享年96歳。NHK『シャーロック・ホームズの冒険』でマイクロフト・ホームズの吹き替えをやっていたのが印象に残ります。
岡江久美子
俳優。享年63歳。「連想ゲーム」が記憶に残ります。新型コロナ・ウイルスに感染し、逝去。
藤原啓治
声優。享年55歳。マース・ヒューズ、藤本獅郎‥‥前半で退場し、後半で若手声優を活躍させる段取りはお見事でした。
大林宣彦
映画監督、文化功労者。享年82歳。『時をかける少女』が記憶に残ります。
C・W・ニコル
環境保護活動家、作家。享年79歳。スーパーニッカのCMが記憶に残ります。
志村けん
コメディアン。享年70歳。ドリフのメンバーになった時のことを鮮明に覚えています。新型コロナ・ウイルスに感染し、逝去。
加戸守行
前愛媛県知事。享年85歳。えひめ丸、加計学園騒動、お疲れさまでした。
宮城まり子
俳優で養護施設「ねむの木学園」を設立。享年93歳。「ドレミの歌」「手のひらを太陽に」が記憶に残ります。
野村克也
野球選手、監督。享年84歳。野球歴代2位の通算3017試合出場、同2位の通算657本塁打を放ち、監督としても南海、ヤクルト、阪神、楽天の通算24年間で歴代5位の1565勝を挙げた。
梓みちよ
歌手。享年76歳。「2人でお酒を」はアカペラで歌えます。
上原正三
脚本家。享年82歳。ウルトラQ~ウルトラセブンの脚本を手掛けた故・金城哲夫さんも沖縄出身――M78星雲は沖縄にあるのかもしれない。
渥美和彦
人工心臓や電子カルテなどを研究。享年91歳。漫画家の故手塚治虫さんと同級生で、漫画「鉄腕アトム」に登場する「お茶の水博士」のモデルの1人とされる。
(この項おわり)
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