PFASの構造式
摂取すると発がんリスクが高まるという化学物質「PFAS」が、全国各地の水道水から検出され問題になっています。自然界でほとんど分解されないため「永遠の化学物質」とも呼ばれ、2026年(令和8年)4月には水道水の水質基準が新たに設けられました。
PFASとは
PFASとは、有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称で、1万種類以上の物質があるとされています。
PFASの用途
PFASの用途
物質によって様々な性質を持っており、たとえば、熱に強い、水や油を弾く、燃えにくい、汚れを防止するなどが挙げられます。身近なところでは、焦げ付きにくいフライパンの表面処理剤、自動車のコーティング剤、消火剤などに使用されています。
「永遠の化学物質」と呼ばれる理由
有機フッ素化合物は、炭素とフッ素が非常に強い力で結びついており、自然界では分解されず、海や土壌に蓄積することから、永遠の化学物質(Forever Chemicals)と呼ばれます。炭素とフッ素の結合は、自然界で最も強い化学結合の一つです。そのため、いったん環境中に放出されると、河川や地下水、工場跡地、廃棄物最終処分場などに長期間残り続けます。
人体への影響
PFASの人体への有害性
PFAS が人体に入ると、ホルモンの働きを阻害すると考えられています。甲状腺疾患や生殖機能の異常、肥満、心疾患、癌などのリスクを高める可能性があるとされていますが、環境省の専門家会議は2024年(令和6年)8月時点で因果関係は明らかになっていないとしています。
規制と水質基準
PFAS のうち、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は耐熱性や耐薬品性に優れ、撥水剤や泡消火剤として幅広く使用されていましたが、健康リスクが高いと考えられており、現在国内での使用・製造が原則禁止されています。
2020年(令和2年)4月、厚生労働省は水道水の PFOS と PFOA の合計濃度を50ng/L(50ppt)以下とする暫定目標値を設定しました。その後、水道行政を引き継いだ環境省が省令を改正し、2026年(令和8年)4月1日から、この50ng/Lが水道法に基づく正式な水質基準になりました。水道事業者には、おおむね3か月に1回以上の水質検査と、基準の遵守が義務づけられています。

アメリカでは、2023年(令和5年)3月に環境保護庁(EPA)が飲料水の規制案を公表し、2024年(令和6年)4月10日に全国一律の基準として正式に決定しました。PFOA と PFOS はそれぞれ4ppt(4ng/L)以下、PFHxS、PFNA、HFPO-DA(GenX)はそれぞれ10ppt以下で、水道事業者は5年以内に基準を満たす必要があります。
アメリカでは、2023年(令和5年)3月に環境保護庁(EPA)が飲料水の規制案を公表し、2024年(令和6年)4月10日に全国一律の基準として正式に決定しました。PFOA と PFOS はそれぞれ4ppt(4ng/L)以下、PFHxS、PFNA、HFPO-DA(GenX)はそれぞれ10ppt以下で、水道事業者は5年以内に基準を満たす必要があります。
国内の検出状況と汚染源
国内では各地の水道水から PFAS が検出されていますが、汚染源は特定されていません。東京・多摩地区や沖縄では米軍基地で使われている消火剤が汚染源だと考えられています。

岡山県吉備中央町では、2022年度に上水道から 1,400ng/L と、当時の暫定目標値の28倍の PFAS が検出されました。水源に放置されていた、PFASを吸着した活性炭が詰まった袋が汚染源だと考えられています。吉備中央町では、2024年(令和6年)11月25日から、全国で初めて公費による血液検査を始めました。

2020~2023年度の調査では、自治体や水道事業者14か所で暫定目標値を超える PFAS を検出しましたが、水源を切り替えるなどして、現在は目標値を下回っているということです。
岡山県吉備中央町では、2022年度に上水道から 1,400ng/L と、当時の暫定目標値の28倍の PFAS が検出されました。水源に放置されていた、PFASを吸着した活性炭が詰まった袋が汚染源だと考えられています。吉備中央町では、2024年(令和6年)11月25日から、全国で初めて公費による血液検査を始めました。
2020~2023年度の調査では、自治体や水道事業者14か所で暫定目標値を超える PFAS を検出しましたが、水源を切り替えるなどして、現在は目標値を下回っているということです。
河川にすむ細菌がPFASを除去
2026年(令和8年)7月15日、神戸大学バイオシグナル総合研究センターの乾秀之准教授らの研究グループは、PFASで汚染された大阪府内の河川の底質から7種類の細菌を単離し、PFAS の除去能力を確認したと発表しました。
単離した細菌は、PFOS を最大17.8%、PFOA を最大14.1%低減しました。また、産業廃棄物最終処分場の浸出水を使った試験では、複数の PFAS の濃度が低下し、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)は最大97%減少しました。

研究では、細菌が分泌する細胞外高分子(EPS)などへの吸着が PFAS 除去の重要な仕組みである可能性が示されました。汚染現場に生息する細菌を利用することで、活性炭吸着や膜分離などの従来法より低コストで環境負荷の小さいバイオレメディエーション(生物による環境浄化)技術につながることが期待されます。

ただし、濃度低下が PFAS の分解によるものか、別の PFAS へ変換された結果なのかは明らかになっておらず、吸着した PFAS の再放出リスクなども含め、実用化にはさらなる検証が必要です。
単離した細菌は、PFOS を最大17.8%、PFOA を最大14.1%低減しました。また、産業廃棄物最終処分場の浸出水を使った試験では、複数の PFAS の濃度が低下し、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)は最大97%減少しました。
研究では、細菌が分泌する細胞外高分子(EPS)などへの吸着が PFAS 除去の重要な仕組みである可能性が示されました。汚染現場に生息する細菌を利用することで、活性炭吸着や膜分離などの従来法より低コストで環境負荷の小さいバイオレメディエーション(生物による環境浄化)技術につながることが期待されます。
ただし、濃度低下が PFAS の分解によるものか、別の PFAS へ変換された結果なのかは明らかになっておらず、吸着した PFAS の再放出リスクなども含め、実用化にはさらなる検証が必要です。
参考サイト
- PFASに関する情報:東京都保健医療局
- 有機フッ素化合物(PFAS)について:環境省
- PFASに対する総合戦略検討専門家会議:環境省
- PFOS、PFOAに関するQ&A集:環境省, 2024年8月
- 「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」及び「水道法施行規則の一部を改正する省令」の公布等について:環境省, 2025年8月8日
- Per- and Polyfluoroalkyl Substances (PFAS):アメリカ環境保護庁(EPA)
- 円城浄水場有機フッ素化合物等の検出について:岡山県吉備中央町, 2024年4月26日
- あなたの町の水道水は?PFAS検出状況 全国マップ:NHK, 2024年6月12日
- 高濃度PFASを検出、岡山・吉備中央町が住民の血液検査を開始…公費で実施は全国初:読売新聞, 2024年11月25日
- 河川にすむ細菌が「永遠の化学物質」PFASを除去:神戸大学, 2026年7月15日
- Removal of perfluoroalkyl acids in industrial waste-landfill leachates by bacteria isolated from river sediments polluted with perfluoroalkyl acids:Journal of Water Process Engineering
(この項おわり)
