
目次
カーボンリサイクルコンクリート

T-eConcrete+T-3DP(大成建設)
コンクリートの原材料であるセメント製造プロセスでは、石灰石から大量のCO2が排出され、世界のCO2排出量の8%を占めているとされています。カーボンニュートラル社会の実現に向けて、大成建設などが研究開発に取り組んでいるのがカーボンリサイクルコンクリートです。
セメントの主原料の石灰石は、石灰石鉱山から採掘されています。それは化学式で表すとCaCO3であり、酸化カルシウムCaOと二酸化炭素CO2が結合してできたものです。
酸化カルシウムは、焼却灰や製鉄所から生じる副産物(スラグ)等に含まれており、暗化に入手できます。これに二酸化炭素を加えることで、人工的に石灰石をつくることができます。
この人工的に石灰石を主原料とすることで、CO2の排出を抑制するだけでなく、大気中のCO2をセメントとして固定することができます。大成建設が同時開発した T-eConcrete は、一般的なコンクリートと比較して、CO2排出を 160~350kg/m3削減できるといいます。
さらに3Dプリンティング技術「T-3DP」を組み合わせることで、様々な用途や機能形状、大きさなど、多彩なデザインと機能を有する部材の製作が可能となります。
酸化カルシウムは、焼却灰や製鉄所から生じる副産物(スラグ)等に含まれており、暗化に入手できます。これに二酸化炭素を加えることで、人工的に石灰石をつくることができます。
この人工的に石灰石を主原料とすることで、CO2の排出を抑制するだけでなく、大気中のCO2をセメントとして固定することができます。大成建設が同時開発した T-eConcrete は、一般的なコンクリートと比較して、CO2排出を 160~350kg/m3削減できるといいます。
さらに3Dプリンティング技術「T-3DP」を組み合わせることで、様々な用途や機能形状、大きさなど、多彩なデザインと機能を有する部材の製作が可能となります。
リサイクル鉄鋼

電気炉
鉄鋼を製造するには、石炭などで鉄鉱石を還元し、精錬する過程で大量のCO2が排出され、世界のCO2排出量の7~8%を占めているとされています。
そこで、建造物の解体時に発生する鉄スクラップをリサイクルすることで、CO2排出削減を目指します。現在、国内の鉄スクラップの8割がCO2排出の少ない電気炉でリサイクル鉄鋼として蘇っています。
そこで、建造物の解体時に発生する鉄スクラップをリサイクルすることで、CO2排出削減を目指します。現在、国内の鉄スクラップの8割がCO2排出の少ない電気炉でリサイクル鉄鋼として蘇っています。
木造ハイブリッド

木造ハイブリッド構造の賃貸オフィスビル(第一生命保険、清水建設
樹木は光合成によってCO2を吸収する。木材は、ある意味、CO2を固定した建築資材です。

清水建設では、木材と鉄骨、コンクリートの合理的な組み合わせを可能にした「ハイブリッド木質構法「シミズ ハイウッド」(Shimizu Hy-wood)」を開発しました。
木材の弱点であった耐火性にも配慮し、また、建材が軽量化することで耐震性に優れるというメリットも打ち出しています。

清水建設では、木材と鉄骨、コンクリートの合理的な組み合わせを可能にした「ハイブリッド木質構法「シミズ ハイウッド」(Shimizu Hy-wood)」を開発しました。
木材の弱点であった耐火性にも配慮し、また、建材が軽量化することで耐震性に優れるというメリットも打ち出しています。
プラスチックのケミカルリサイクル

電気炉
日本環境設計(JEPLAN)は、プラスチックのケミカルリサイクルを事業領域としており、川崎市にペットボトルのケミカルリサイクル工場を保有しています。
わが国では1年間に販売されるペットボトルの約86%がリサイクルされるが、里作為クルを繰り返すウチに不純物を取り除くことができなくなり、数回のリサイクルで焼却するか埋め立て廃棄しなければなりません。
わが国では1年間に販売されるペットボトルの約86%がリサイクルされるが、里作為クルを繰り返すウチに不純物を取り除くことができなくなり、数回のリサイクルで焼却するか埋め立て廃棄しなければなりません。
JEPLANのケミカルリサイクル技術「BRING Technologyは、PETを分子レベルまで分解することで微細な不純物を除去し、石油由来のPET樹脂と同等品質の再生樹脂に蘇らせることができ、新たな石油資源の使用削減とCO2排出削減に寄与しています。
ペロフスカイト太陽電池

ペロフスカイト太陽電池(積水化学)
2024年(令和6年)11月に経済産業省は、次世代の太陽光発電の切り札と位置づけているペロフスカイト太陽電池について、2040年(令和22年)に約20GWを導入する目標を立てました。これは、一般家庭550万世帯分の電力供給力に相当します。
積水化学などが開発しているペロフスカイト太陽電池は、シリコン系太陽電池の10分の1程度と軽く、薄く、柔軟性もあり曲面に設置することもできます。また、プリンタによってパネルを〈印刷〉することもできます。
積水化学などが開発しているペロフスカイト太陽電池は、シリコン系太陽電池の10分の1程度と軽く、薄く、柔軟性もあり曲面に設置することもできます。また、プリンタによってパネルを〈印刷〉することもできます。
エネルギー変換効率も向上しており、シリコン系太陽電池と同等か、それを超える25%の変換効率を達成したという報告も出ています。
ペロブスカイト太陽電池主な材料であるヨウ素は、日本が世界第2位のシェアを占めており、サプライチェーンを海外に依存せずに確保できるため、経済安全保障の観点からもメリットがあります。
ただし、現時点では耐久性が低く、大面積での運用が難しいこと。寿命が短いという課題もあります。
ペロブスカイト太陽電池主な材料であるヨウ素は、日本が世界第2位のシェアを占めており、サプライチェーンを海外に依存せずに確保できるため、経済安全保障の観点からもメリットがあります。
ただし、現時点では耐久性が低く、大面積での運用が難しいこと。寿命が短いという課題もあります。
ブルーカーボン

沿岸・海洋生態系が光合成によりCO2を取り込み、その後海底や深海に蓄積される炭素のことを、ブルーカーボンと呼びます。2009年(平成21年)に公表された国連環境計画(UNEP)の報告書「Blue Carbon」において紹介され、吸収源対策の新しい選択肢として世界的に注目が集まるようになりました。
具体的には、海草藻場、マングローブ林、塩性湿地などの沿岸域の生態系が、大気中のCO2を取り込み、有機物として土壌や植物体内に蓄えるプロセスです。これらの生態系は、温室効果ガスの削減に貢献する重要な役割を果たしており、気候変動対策として注目されています。
ブルーカーボンの利点は、炭素の吸収能力が高いことだけでなく、生態系の多様性保全や沿岸域の防災機能を強化する点にもあります。例えば、マングローブ林は高潮や津波から陸地を守り、海草藻場は魚類の産卵や幼魚の成育場として機能します。
しかし、これらの生態系は人間の開発や気候変動の影響で減少しています。特に、沿岸の埋め立てや農業開発などが生態系を脅かしています。このため、ブルーカーボンの保全と再生は喫緊の課題です。国際的な取り組みとしても、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の下で、ブルーカーボンを活用した気候変動対策が推進されています。

ブルーカーボンは、気候変動の緩和だけでなく、自然と人間社会が共生する未来を実現する鍵となる概念です。そのため、個人や地域レベルでも関心を持ち、行動を起こすことが重要です。
ブルーカーボンの利点は、炭素の吸収能力が高いことだけでなく、生態系の多様性保全や沿岸域の防災機能を強化する点にもあります。例えば、マングローブ林は高潮や津波から陸地を守り、海草藻場は魚類の産卵や幼魚の成育場として機能します。
しかし、これらの生態系は人間の開発や気候変動の影響で減少しています。特に、沿岸の埋め立てや農業開発などが生態系を脅かしています。このため、ブルーカーボンの保全と再生は喫緊の課題です。国際的な取り組みとしても、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の下で、ブルーカーボンを活用した気候変動対策が推進されています。

ブルーカーボンは、気候変動の緩和だけでなく、自然と人間社会が共生する未来を実現する鍵となる概念です。そのため、個人や地域レベルでも関心を持ち、行動を起こすことが重要です。
帯水層蓄熱利用

帯水層蓄熱利用とは、地下に存在する帯水層(地下水を多く含む地層)を利用して熱エネルギーを蓄えたり取り出したりする技術です。この仕組みは、夏季や冬季に発生する余剰エネルギーを地下に蓄え、必要な時期に再利用することで、エネルギーの効率的な利用を実現します。主に冷暖房や産業用プロセスの熱供給に活用されています。
具体的には、夏場に冷房で発生する廃熱を帯水層に送り込み、地下に蓄熱します。冬になると、その蓄えた熱を地上に引き上げ、暖房や給湯に利用します。また、冬場には冷たい地下水を蓄え、夏季の冷房に利用することも可能です。この双方向の熱交換により、年間を通じたエネルギーの最適化が図れます。
帯水層蓄熱利用のメリットは、化石燃料の消費を抑え、CO2排出量を削減できる点です。また、自然エネルギーを活用するため、再生可能エネルギーとしての評価も高いです。さらに、システムは地中に設置されるため、地上スペースを必要とせず、景観や環境に与える影響も小さいとされています。

しかし、課題もあります。帯水層の地質や地下水の水質により、適用可能な地域が限定される点や、初期の設備投資が高額である点が挙げられます。また、地下水の過剰な利用が地域の水資源に影響を及ぼす可能性があるため、適切な管理が必要です。

帯水層蓄熱利用は、持続可能なエネルギー利用の一環として注目されています。今後の技術革新や制度整備により、さらに普及することが期待されています。
帯水層蓄熱利用のメリットは、化石燃料の消費を抑え、CO2排出量を削減できる点です。また、自然エネルギーを活用するため、再生可能エネルギーとしての評価も高いです。さらに、システムは地中に設置されるため、地上スペースを必要とせず、景観や環境に与える影響も小さいとされています。

しかし、課題もあります。帯水層の地質や地下水の水質により、適用可能な地域が限定される点や、初期の設備投資が高額である点が挙げられます。また、地下水の過剰な利用が地域の水資源に影響を及ぼす可能性があるため、適切な管理が必要です。

帯水層蓄熱利用は、持続可能なエネルギー利用の一環として注目されています。今後の技術革新や制度整備により、さらに普及することが期待されています。
洪水対策

神田川・環状七号線地下調節池の内部の様子
温暖化にともなう雨量の増加と洪水対策のため、東京都は地下に巨大な調節池を建設しています。
たとえば環状7号線の地下50メートルには、神田川や善福寺川の流量を調整するために、内径12.5メートルの巨大トンネルが長さ約4.5kmにわたって建設され、54万m3の水を蓄えることができます。
たとえば環状7号線の地下50メートルには、神田川や善福寺川の流量を調整するために、内径12.5メートルの巨大トンネルが長さ約4.5kmにわたって建設され、54万m3の水を蓄えることができます。
東京都は、2025年度末までに合計374万3の水を蓄えることができる調節池を整備する計画です。
また、東京都町田市では、鶴見川の源流域の里山を保全することで、保水力を高めようとしています。
感染症対策

ネッタイシマカ
米の品種改良

にこまる
温暖化により、米やトウモロコシの品質が低下しています。
稲の場合、もみ殻の中で米の粒が成長する時期の気温が高過ぎると、米粒が白く濁る白未熟粒や、偏平になって縦溝が深くなったり亀裂が入り割れやすくなったりする胴割れ粒などが増えます。これらの症状は検査等級の低下や砕けた米による精米ロスだけでなく、ひどい場合には食味も悪くします。
稲の場合、もみ殻の中で米の粒が成長する時期の気温が高過ぎると、米粒が白く濁る白未熟粒や、偏平になって縦溝が深くなったり亀裂が入り割れやすくなったりする胴割れ粒などが増えます。これらの症状は検査等級の低下や砕けた米による精米ロスだけでなく、ひどい場合には食味も悪くします。
かつて、日本の米は寒さに強くなるよう品種改良してきました。それが最近、暑さに強いことが品種改良の焦点になっています。
たとえば能研機構が2008年(平成20年)に登録した「にこまる」は、高温年でも白未熟粒の発生が少なく、ヒノヒカリ栽培地向けの後継品種として注目が集まっています。
たとえば能研機構が2008年(平成20年)に登録した「にこまる」は、高温年でも白未熟粒の発生が少なく、ヒノヒカリ栽培地向けの後継品種として注目が集まっています。
参考サイト
- 気候変動を食い止めろ!(全2回):NHK, 2024年11月18日
- Climate Tech(気候テック)とは・意味:IDEAS FOR GOOD
- 使えば使うほど二酸化炭素を削減!新たな未来をつくるカーボンリサイクル・コンクリートの秘密]:大成建設
- 鉄のライフサイクルとリサイクル:一般社団法人日本鉄鋼連盟
- 鋼材の脱炭素と資源循環に取り組む「ゼロカーボンスチール・イニシアティブ」を始動:大成建設
- BRING Technology:JEPLAN
- 木質構造を採用した中大規模建築向けのハイブリッド構法を開発:清水建設
- ペロブスカイト太陽電池とは?仕組みやメリットを解説:SMART ENERGY WEEK
- ペロブスカイト太陽電池に関するお知らせ:積水化学工業株式会社
- ブルーカーボン:環境省
- 東京都の調節池・分水路:東京都建設局
- 花王とアース製薬、タイにおいて“虫(蚊)ケア”領域で協業:花王
- にこまる:能研機構
(この項おわり)
これには、温室効果ガスの排出削減、環境保全、持続可能なエネルギー利用を促進するためのさまざまな取り組みが含まれます。気候変動の緩和や適応を目的とした技術的な革新を中心に、多くのスタートアップや企業、研究機関がこの分野で活動しています。