深く掘るには幅がいる

土光敏夫

発言者

  土光敏夫 (どこう・としお) 土光敏夫
  石川島重工業社長、東京芝浦電気社長、臨時行政調査会会長
   
  1973/06/01

場面

「土光敏夫の哲学」(PHP研究所/2002年)171ページより。

会議の席上で、人材開発の問題がでて、能力の専門化と総合化のかねあいが論じられたことがある。
専門化というと「深く狭く」、総合化というと「広く浅く」なりやすい。そのときにいったのだが、「専門化が深くすすむのは当然だが、狭くなるとは不可解だ。ほんとうに深まるためには、隣接の領域に立ち入りながら、だんだん幅を広げていかねばならぬ。深さに比例して幅が必要になる。つまり真の専門化とは深く広くすることだ。そうして、この深く広くの極限が総合化になるのだ」と。

深いスペシャリストが広がる必要、広いゼネラリストが深まる必要は、無限にあるといわねばならない。

コメント

同じ技術職といっても、会社の中で、いずれジェネラリストとスペシャリストに分かれていく。ジェネラリストは“広く浅く”知識があり、ライン職に進んでいく。スペシャリストは、“狭く深く”知識があり、その分野のプロジェクトになくてはならない人材となっていく。
で、昔から不思議だったのだが、なぜ“広く深く”知識を持った人材はを育ててくれないのだろうか、ということ。こういった人材が育てば、ラインと現場の齟齬も発生しないし、一人で何でもやってくれるから会社としては助かるはずなのだが。

私は、別に会社のためではなく、人生は楽しく有意義に過ごしたいから、会社がどう考えようが、“広く深い”知識を持った技術者になりたい。

参考書籍

表紙 土光敏夫の哲学
著者 土光敏夫/PHP研究所
出版社 PHP研究所
サイズ 単行本
発売日 2002年06月
価格 1,620円(税込)
rakuten
ISBN 9784569622842
改革とは信念である!生涯にわたり“無私”を貫き通したその思想と言葉。
 
(この項おわり)
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