努力しても、できないものはできない

野依良治

発言者

  野依良治 (のより・りょうじ) 野依良治
  政府の教育再生会議座長、ノーベル化学賞受賞者
   
  2006年12月8日

場面

「規範意識・家族・地域教育再生分科会」第3回会合で、「人間の能力は違う。努力しても、できないものはできない。適性がある。」と発言した。

コメント

野依氏は、この後で「200人に1人、とてもよくできる子供がいる。それを伸ばさないといけない。才能ある子は国の宝だ」と発言している。これはエリート教育の発想だが、エリート教育が「悪」であると決めつける昨今の風潮はおかしい。

200人に1人、とてもよくできる子どもがいる。一方で、子どもが活躍していく分野は無限に広い。選択可能な職業だけでも200は超えるだろう。
ある分野では努力しても、できないものはできないだろう。しかし、視野を幅広く持てば、きっとエリートとなれる分野があるはずだ。なのに、大人は、なぜ国語・算数・理科・社会に限定して考えるのだろうか。

また、野依氏自身は、兵庫県芦屋市に生まれ、灘高校、京都大学工学部工業化学科を卒業するという、バリバリのエリートである。だが、この会合の席上では、「我々のころは、部活もやって、その後、休憩してご飯を食べて、勉強していた。塾も行っていない」と発言、論議を呼んでいる。

公教育を再生させる代わりに塾禁止とする。それくらいのメッセージを出していいのではないか。昔できていたことが何故今できないのか。我々は塾に行かずにやってきた。大学も誰でも入れるようになっている。難しくない。塾の商業政策に乗っているのではないか。

発言者による著作物

表紙 事実は真実の敵なり―私の履歴書
著者 野依良治
出版社 日経BPM(日本経済新聞出版本部)
サイズ 単行本
発売日 2011年04月
価格 2,200円(税込)
ISBN 9784532167721
湯川秀樹博士に憧れて歩んだ科学の道、ノーベル賞までの知られざる足跡、間近で目にした「科学者」としての天皇陛下ー。稀代の化学者が半生を語り尽くす。
 
表紙 研究はみずみずしく―ノーベル化学賞の言葉
著者 野依良治
出版社 名古屋大学出版会
サイズ 単行本
発売日 2002年10月
価格 2,420円(税込)
ISBN 9784815804497
研究成果を分かりやすく紹介した記念講演をはじめ、科学・社会・教育など多方面にわたる、ノーベル賞化学者からの熱きメッセージ。
 
(この項おわり)
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