「夢」の意味が分からない

野口健

発言者

  野口健 (のぐち・けん) 野口健
  アルピニスト
   
  2007年1月7日

場面

日本経済新聞の記事より。

コメント

野口健がマナスルの清掃に赴いた際、麓のサマ村の子どもたちに「将来の夢は?」と質問したところ、皆返事に困って黙り込んでしまったという。将来何になりたいといった選択肢がないのだ。学校教育が整備されていないことも大きく影響しているようだが、たいへん悲しい現実である。

一方、親の教育熱の高い日本の子どもたちはどうかというと、これまた同様の返事が返ってくるようである。こちらは、大人が「夢」を壊しているような気がしてならない。これも悲しい現実である。
佐賀新聞社が、2007年(平成19年)の成人の日に合わせて新成人に「将来の夢、目標はあるか」というアンケートを行ったところ、4分の1が「夢や目標がない」と答えたそうだ。また、「興味のある職業が見つからない」「仕事をこなすだけで精いっぱい」という回答もあり、日本の状況もお寒い限りである。

発言者による著作物

表紙 落ちこぼれてエベレスト
著者 野口健
出版社 集英社
サイズ 文庫
発売日 2003年01月22日頃
価格 682円(税込)
ISBN 9784087475364
「いい大学に行って、一流会社に入るだけが人生じゃない!」落ちこぼれだった著者は、植村直己の著書と出会い、人生の目標を見つける。波乱の少年時代から、7大陸最高峰世界最年少登頂記録を樹立した1999年5月のエベレスト登頂までを綴った、若きアルピニストの軌跡。夢を持ち、挑戦することの素晴らしさを伝える熱き自伝。
 
表紙 世界遺産にされて富士山は泣いている
著者 野口健
出版社 PHP研究所
サイズ 新書
発売日 2014年06月17日頃
価格 836円(税込)
ISBN 9784569820040
阿川佐和子さん推薦! 「名誉欲はないけれど好奇心が人一倍。善人にみえるが案外のB面好き。そんな野口健だから、その言葉には真実がある」▼▼美しい「日本の象徴」でいま起こっていることは、日本社会が抱える問題そのものだ!▼2013年6月、富士山は世界文化遺産に登録され、日本中が沸き立った。しかしその清掃登山に尽力し、「富士山が世界遺産になったらいいね」といいつづけてきた野口氏は第一報を聞いたとき、悔みに悔みきれなかったという。▼「清掃登山に全力を注ぐなかで、環境問題を超える富士山のほんとうの問題に気づいてしまった」。そう野口氏は語る。そこで彼がみたのは「日本の象徴」の背後で既得権にしがみつき、縄張り争いに奔走する「人間」の姿だった。▼そうしたなかでひたすら「世界遺産登録」だけを目的に準備が進められてきたことを、綿密な取材を重ねながら本書は描き出していく。そして、じつは今回の世界遺産登録にはユネスコからの「条件」がついていることを、どれだけの日本人が知っているだろうか。▼その「条件」をクリアできなかった場合、富士山は「危機遺産」入りもしくは世界遺産登録取り消しすらあり得るのだ! ならば、もつれた人間関係の糸をどう解きほぐし、日本の宝を「守る」ためにいま何をすべきなのか。▼そこで野口氏は「富士登山鉄道」など目から鱗のビジョンを次々に打ち出していく。そもそも江戸時代の富士山登山は「弾丸登山」どころか「スローな旅」だった。そうした「ほんとうの観光」のあり方をも描きながら、日本を代表するアルピニストが著した衝撃の一作。▼▼内容例:「それは義務か?」と開き直って怒る中国人/登山客の激増で環境汚染はさらに進む/山梨と静岡で山開きの日が違う!/八合目から上は浅間大社の私有地/山小屋にも渦巻く巨大な利権/「自然遺産」がダメなら「文化遺産」だ!/鎌倉は富士山の「ダミー」になったのか?/めざすべきゴールの違いーー毎日新聞との訣別/小笠原諸島の主役は「カタツムリ」/あと10万人の登山者を減らすために/なぜ登山鉄道がとっておきの秘策なのか/スイスのツェルマットに学ぶべきこと/高まりつづける「日本を知ろう」という気運/外国人の評価にあまり追随しないこと/いま僕たちがもつべきは大きな歴史観
 
(この項おわり)
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