医学と医療は違います

水町重範

発言者

  水町重範 (みずまち・しげのり) 水町重範
  水町クリニック院長
   
  2007年9月5日

場面

医学と医療は違います。(4ページより)
医学もまた科学であり、それゆえ時には人に冷酷な宣告をもたらす。そこに情は含まれ得ず、ただ細胞が生きていさえすれば「生」あると認めるのが医学の持つ非情の側面といえる。 しかし、私たちが目指す「医療」は違う。 意義ある「生」や、意志をもって「生」を迎えんとすることこそが、私たちの医療の仕事なのだ。即ち、植物人間と化してからではなく、いかに意志ある「生」をもって医師と患者が対峙するかということなのである。それも「明日を生きる」という望みを捨てずに。(167ページ)
総理の随行医」(水町重範/大和書房/2007年09月)

コメント

水町重範氏は、歴代総理である岸信介、鈴木善幸、中曽根康弘らの主治医、外遊随行医等を務めた医師で、首相の外遊随行23回は歴代最高記録。

「科学」と「技術」は違います――と置き換えてみた。
私たちエンジニアが目指す「技術」は「科学」ではない。人々によりよい生活を送るためのサービスを提供するのが、私たち技術者の使命である。
「科学」は、ある意味、冷徹である。延命をはかる学問があれば、大量殺人を目的とした科学もある。だが、これらすべてを技術者が扱っていいかというと、そういうわけではない。常に、「人々によりよい生活を提供できるかどうか」という観点で学問を見分けなければならない。
それを忘れたとき、技術の暴走が起きる。
(この項おわり)
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