この国の魂と、相撲の神様が認めてくれたから、この結果があると思います。

白鵬

発言者

  白鵬 (はくほう) 白鵬
  大相撲 宮城野部屋
   
  2014年11月22日

場面

大横綱・大鵬から「鵬」の一字をもらった白鵬が、平成26年の九州場所で、大鵬の持つ32度の最多優勝に並んだ。

白鵬にとって、最大の転機は2011年(平成23年)3月11日、26歳の誕生日だった。
大相撲の八百長事件で春場所の中止が決まっていた、不祥事が続いた大相撲を嘆き、白鵬は投げやり気味に「もう、引退するんじゃないか」と言った。その数時間後、東日本大震災が起きた。

3カ月後、日本相撲協会は東北の被災地を巡回慰問した。横綱は「大地を鎮める」とされる四股を踏む。土俵入りでせり上がる白鵬の目には、何十人もの被災者の姿が飛び込んだ。家を、街を、親を、子を失った人たちが、避難所で無慈悲な労苦を背負わされている人たちが、自分を、拝んでいた。「生涯、忘れられない」と語る光景だった。
瞬間、自問したという。横綱とは、何か――。「横綱とは、日本の魂なのではないか。私は、日本の魂でなければならないのではないか」。
(この項おわり)
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