言ったことが当たると、技術者としては正義。

浅木泰昭
浅木泰昭
浅木泰昭 (あさき やすあき) (1958年生まれ)

日本の自動車技術者、モータースポーツ解説者。元・本田技術研究所執行役員。広島県出身。

発言日:2025年4月5日

場面

NHKの番組『新プロジェクトX~挑戦者たち~ 走れ 挑戦の魂~F1 30年ぶりの世界一~』において、次のように語った。
若いとか年寄りとか、地位が上とか下とか無関係に、言ったことが当たると、技術者としては正義。
新プロジェクトX~挑戦者たち~ 走れ 挑戦の魂~F1 30年ぶりの世界一~」(NHK,2025年4月7日)

背景

浅木泰昭 (あさき やすあき) さんは、1981年(昭和56年)に本田技研工業(現・ホンダ)に入社し、研究所に配属になった。1982年(昭和57年)にF1エンジン開発チームに異動し、第2期ホンダF1で活躍した。当時のホンダは、若手がベテランに意見できるベンチャースピリッツが生きている時代だった。
その後、ホンダはF1を撤退し、浅木さんはレジェンドやオデッセイなどのエンジン開発に携わった。2004年(平成16年)に本社の商品企画室へ異動し、N-BOXの開発責任者となり、大成功を収める。

2017年(平成29年)、定年まで半年という時期に、ホンダF1の開発責任者に抜擢され、ホンダがF1から離れている間に導入されたパワーユニット(PU)と呼ばれるハイブリッド・エンジン開発の総指揮を執った。
若手は、浅木さんがF1エンジンを開発していた時代を知らず、軽自動車から来た企画屋というイメージを持っていたようだが、浅木さんがあちらこちらの開発チームに顔を出し議論をしていくうちにチームワークが深まっていった。浅木さんは、「若いとか年寄りとか、地位が上とか下とか無関係に、言ったことが当たると、技術者としては正義」という。

新型コロナ禍でホンダも経営が厳しくなり、2020年(令和2年)10月に突如、2021年(令和3年)シーズン限りでF1から撤退することを告げられた。開発チームは奮起し、2021年(令和3年)シーズンでは30年ぶりのタイトルを獲得した。2023年(令和5年)春、浅木さんはホンダを定年退職する。

発言者による著作物

表紙 危機を乗り越える力 ホンダF1を世界一に導いた技術者のどん底からの挑戦
著者 浅木 泰昭
出版社 集英社インターナショナル
サイズ 単行本
発売日 2024年03月26日頃
価格 1,760円(税込)
ISBN 9784797674453
F1最強パワーユニットと軽自動車「N-BOX」を 生んだ、稀代のエンジニアによる 唯一無二のリーダー論! ホンダに30年ぶりのF1タイトルをもたらしたパワーユニット開発の陣頭指揮を執り、9年連続で軽自動車販売トップを独走するN-BOXの生みの親でもある元ホンダ技術者が、プロジェクト成功の真の舞台裏を明かす。 第2期F1時代の奮闘エピソード、ホンダ創業者・本田宗一郎さんとの思い出、初代オデッセイ、N-BOXの開発秘話、どん底からのF1プロジェクト立て直し、F1復帰に向けた「蜘蛛の糸作戦」の全貌、アストンマーティン・ホンダの勝算など。 芸能界随一のF1ファン、堂本光一氏との スペシャル対談も収録! 〇目次 第1章 ホンダ入社と第2期F1 世界トップの現場で得た教訓と自信 第2章 V6エンジン開発と初代オデッセイ 閉ざされた出世の道と技術者人生最大の危機 第3章 N-BOXがヒットし続ける理由 コストではなくコストパフォーマンスの勝負 第4章 定年半年前に再びF1へ ホンダの未来のために若手に何を残せるか 第5章 F1復帰への「蜘蛛の糸作戦」 リーダーに不可欠な成功のためのストーリーづくり 第6章 未来のF1とホンダの新たな挑戦 アストンマーティン・ホンダは勝てるのか 第7章 ホンダの存在価値と日本の危機 尖った才能を持った変わり者を組織の中でどう活かすか スペシャル対談 堂本光一×浅木泰昭 なぜホンダはF1で再び世界一を獲れたのか? 浅木泰昭(あさき やすあき) 1958年生まれ、広島県出身。1981年、本田技術研究所に入社。第2期ホンダF1でエンジン開発を担当。その後、初代オデッセイ、アコードなどのエンジン開発に携わり、2008年から開発責任者として軽自動車のN-BOXを送り出す。N-BOXは、軽4輪車の新車販売台数で9年連続の首位獲得(2023年末時点)。2017年から第4期ホンダF1に復帰し、2021年までパワーユニット開発の陣頭指揮を執る。第4期活動の最終年となった2021年シーズン、ホンダは30年ぶりのタイトルを獲得する。2023年春、ホンダを定年退職。
 
(この項おわり)
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