『スレイヤーズ』シリーズ

神坂一=著,あらいずみるい=絵

シリーズ概要

剣と魔法のヒロイック・ファンタジー世界をドタバタ・コメディにしてしまったライトノベルの元祖――1989年(平成元年)、「第1回ファンタジア長編小説大賞」準入選し、本編17巻(18年ぶりに16巻が刊行)、外伝・短編は30巻に及ぶ。さらに、コミック本、アニメ、ゲームなど、メディアミックスでも成功しているシリーズだ。
主人公リナ=インバースは、「悪人に人権はない」をモットーとし、「ドラゴンもまたいで通る」といわれるほど強力な黒魔術を操る自称「美少女天才魔導士」。物語は、彼女の視点で進む――。

目次

表紙 スレイヤーズ 第1巻
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年05月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263008
リナ=インバース「あたしは絶対死にたくない。だから、戦うときは必ず、勝つつもりで戦うのよ!」(218ページ)

あらすじ

第1巻は、リナが、後に相棒となる美青年剣士ガウリイ=ガブリエフを出会うところから始まる。赤法師レゾ、そしてレゾによって邪妖精、岩人形と合成された魔法剣士ゼルガディス=グレイワーズとの対立と協力関係を築きながら、魔王シャブラニグドゥを滅ぼす。
世界観の設定が緻密で、ストーリーもハードなのだが、登場人物のキャラクターが理想のヒーロー/ヒロインからは程遠く、ことごとく「お決まり (セオリー) 」をひっくり返してゆく。

シャブラニグドゥとの最終決戦を前に、リナは「『死ぬつもりで戦う』、なんてバカげてるわよ。だってそうでしょ? それを男の『意地』とか『ロマン』とか言うのなら、そんなくだんないもん捨てちゃいなさい!」(217ページ)と言い放つ――この生きる力こそ、作者・神坂一さんをサラリーマン生活から長者番付に載るほどのポジションへ格上げした原動力ではないだろうか。
表紙 スレイヤーズ 第2巻 アトラスの魔道士
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年05月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263015
ガウリイ=ガブリエフ「夜中に騒ぐと近所迷惑だぞ――」(103ページ)

あらすじ

魔王魔王シャブラニグドゥを滅ぼしたリナ=インバースと、連れの剣士ガウリイ=ガブリエフは、アトラス・シティに到着する。半年前、魔導士協会の評議長「白のハルシフォム」が失踪し、空席となった評議長の座をめぐり、2人の副評議長「紫のタリム」と「青のデイミア」が抗争を繰り広げている最中だった。
メシ屋で起こした乱闘騒ぎがもとで、2人はタリムを護衛する仕事を引き受けることになった。リナとガウリイを付け狙う2体の魔族――白い石の仮面を付けた「無貌のセイグラム」と、その従者ギオ=ガイア――ハルシフォム失踪事件の謎解きを進めていく2人は、偶然にもハルシフォム本人を保護する。だが、事件は思わぬ展開を見せ‥‥ハルシフォムは不死の研究をしていたのだが、その目的は果たして。ハルシフォムの助手ルビアの正体は?

第2巻は推理小説のような展開にみえるが、ドタバタ・コメディであることに変わりはない。リナとガウリイの夫婦漫才に磨きがかかる。セイグラムとギオ=ガイアという魔族が登場するが、これが後の物語への伏線となってゆく。
表紙 スレイヤーズ 第3巻 サイラーグの妖魔
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年05月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263022
2つ以上の価値観がそこに存在するならば、かならずどこかで衝突が生まれ、そこからは悲しみや敵意が生まれ落ちる。(158ページ)

あらすじ

リナとガウリイ、そしてゼルガディスには、いつの間にやら多額の賞金が懸けられた。手配書の主は赤法師レゾ――あれ?1巻で滅ぼされたのでは?
レゾの配下には、何度倒しても復活する魔導士ヴルムグン、ヌンサと見分けがつかない半魚人ラハニム、そして魔族ヴィゼアと多くのレッサー・デーモンたち。
リナ一行は、レゾを追ってサイラーグへ向かい、そこでゼルガディスや神官長の娘シルフィール、剣士ランツ、駆け出しの盗賊娘エリスが加わり、レゾと対決する。シルフィールは、サイラーグを瘴気から救った神聖樹 (フラグーン) 祝福の剣 (ブレス・ブレード) をリナ一行に渡し、ヴィゼアを滅ぼす。そして、ヴルムグンの正体は‥‥レゾを名乗る人物の正体とは――

戦いの中、リナは「2つ以上の価値観がそこに存在するならば、かならずどこかで衝突が生まれ、そこからは悲しみや敵意が生まれ落ちる」(158ページ)と思いをめぐらす。本巻は、そうした業を背負った生き物の哀しい物語である。
表紙 スレイヤーズ 第4巻 聖王都動乱
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年06月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263039
2つ以上の価値観がそこに存在するならば、かならずどこかで衝突が生まれ、そこからは悲しみや敵意が生まれ落ちる。(158ページ)

あらすじ

リナ、ガウリイは、シルフィールを親戚に元に送り届けるため、聖王国セイルーンの首都セイルーン・シティに向かった。セイルーンでは、第一王位継承者の暗殺未遂事件など、お家騒動が勃発していた。
ひょんなことから、「白馬の王子様」とは程遠い第一王位継承者フィリオネル殿下と、その娘アメリアに出会うことになる。
王宮へ帰還するフィリオネル殿下。彼の命を狙っていたのは、第二王位継承者クリストファ殿下だという。そして、クリストファに付き従う謎の男カンヅェル。リナを襲った手練れの暗殺者ズーマ――命を狙われていたのは、じつはリナの方だった!?

白馬の王子のイメージから懸け離れすぎたフィリオネル殿下と、正義の味方かぶれのアメリア姫。そして、中2病を拗らせたかのようなアルフレッド王子。アニメでもお馴染みのギャグキャラが勢揃いする一方、魔族や暗殺者がリナに迫るシリアス・シーンが読み応えのある第4巻。
表紙 スレイヤーズ 第5巻 白銀の魔獣
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年06月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263046
ゼロス「分に過ぎた技術を持つと不幸ですよ」(158ページ)

あらすじ

盗賊いじめを楽しむ、リナ、ガウリイ、アメリアの前に現れた美しい女性マゼンダ。彼女の術によってリナは呪文を封じられる。
ガウリイ「まあ、確かに‥‥呪文も使えんリナなんぞ‥‥」
アメリア「ただの害虫よね」
ガウリイ「いや、そこまでは言わんが、役には立たんが態度はデカいという‥‥」
アメリア「けど、そのかわり胸は小さいよ」
ガウリイ「ついでに言うと色気も‥‥」
マゼンダが待つというマインの村では、魔王シャブラニグドゥ崇拝の宗教団体があるという。怪しい‥‥。リナたちは、獣人との戦いに巻き込まれ散り散りになってしまう。そんな中、リナは謎の神官ゼロスに出会う。リナはゼロスから魔力増幅の呪符 (タリスマン) を買い取ることに成功。聞けば、ゼロスと宗教団体のボス、クロツとは、伝説の魔道書「異世界黙示録 (クレアバイブル) 」の写本を奪い合っているという。
宗教団体の施設に忍び込んだリナは運良く魔力を回復し、偶然にもゼルガティスと合流。ゼルガディスは、人間に戻るために写本を追ってきたという。だが、その写本に記されているのは、サイラーグを壊滅させた魔獣ザナッファーの製造方法だという。そして、ザナッファーを倒せるのは、ガウリイが持つ光の剣だけ。
リナ一行の前に立ち塞がった獣人デュクリスには魔術が効かない。彼が身につけている甲冑こそ、封魔装甲ザナッファーだった。そこへ現れたガウリイが、光の剣でデュクリスを切って捨てる。
写本を見つけたゼロスは、それを焼き捨てる。彼は「分に過ぎた技術を持つと不幸ですよ」と言う。
だが、グロウヅが纏っていたザナッファーは、装着者を取り込み、白銀色の魔獣へと成長した。レーザー・ブレスを吐くザナッファーに、さしものガウリイも近づけない。そこでリナは、神滅斬 (ラグナ・ブレード) を唱え、ザナッファーに最後の闘いを挑む――。

本巻では、赤眼の魔王シャブラニグドゥ配下の5人の高位魔族――魔竜王 (カオスドラゴン) 海王 (ディープシー) 覇王 (ダイナスト) 獣王 (グレーター・ビースト) 冥王 (ヘルマスター) 。そして、異世界の魔王――闇を撒くもの (ダーク・スター) 蒼穹の王 (カオティックブルー) 白霧 (デス・フォッグ) ――の存在が明かされる。「異世界黙示録」との絡みである。そして、第1巻でリナが放った重破斬 (ギガ・スレイブ) は、異世界黙示録の伝承を元にして組み立てた術だという。ゼロスが話を補強し、物語のパーツが繋がってゆく。
表紙 スレイヤーズ 第6巻 ヴェゼンディの闇
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年06月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263053
リナ「ゼロスには人権ないからいーのよっ!」(111ページ)

あらすじ

路銀稼ぎのために盗賊を襲うおうとしたリナアメリアの前に現れたのは、暗殺者ズーマ。「ヴェゼンディに来い。来なければ誰かが死ぬ」という言葉を残し、去って行く。
リナ、ガウリイ、アメリア、ゼルガディスに謎の神官ゼロスが加わり、一行はヴェゼンディ・シティに入る。すると、この町屈指の商人ラドック=ランザートに、ズーマからの脅迫状が届いていたという。宿に入ると、セイグラムと3体の魔族が襲ってきた。
ラドックと息子アベルの護衛についたリナ一行が魔族に襲われる。そして、現れたズーマの正体は‥‥活躍も何もしなかったように見えるゼロスとラルタークの正体は!?

本巻でセイグラムとズーマの問題は片付くのだが、ゼロスの正体が新たな謎へつながることになる――リナは、異界黙示録 (クレアバイブル) のオリジナルを求めて旅立つ。
表紙 スレイヤーズ 第7巻 魔竜王の挑戦
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年07月19日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263060
ミルガズィア「生きている存在が、生き続けようとすること――それは当然の理だ。何も恥じる必要はない」(136ページ)

あらすじ

異界黙示録 (クレアバイブル) のオリジナルを求め、ディルス王国の首都ガイリア・シティへ向かったリナ一行。魔族ラルタークの襲撃を受けるが、獣神官 (プリースト) ゼロスに救われる。
途中、出くわした男の子から、ディルス王国がカタート山脈にいるといわれる魔族討伐の準備を進めていることを聞かされる。そして、リナは竜将軍ラーシャートに会う。
魔族の攻撃でガイリア・シティは火の海になるが、リナはゼロスの救援もあり、間一髪で脱出。ガウリイアメリアゼルガディスと合流し、ゼロスが魔族であること、一連の計画を冥王 (ヘルマスター) が主導しており、魔族の反逆者・魔竜王ガーヴがリナの命を狙っていることを聞かされる。
ゼロスは、異界黙示録 (クレアバイブル) がカタート山脈への途中にある竜たちの峰 (ドラゴンズ・ピーク) にあることを教える。
ラルタークとラーシャートの追跡を逃れたリナ一行は、ゼロスと、黄金竜 (ゴールデン・ドラゴン) の長老ミルガズィアに会う。ミルガズィアの案内で、異空間にある異界黙示録にたどりついたリナは、金色の魔王 (ロード・オブ・ナイトメア) に関する知識を求めた。その内容に驚愕するリナ――。
竜たちの峰に戻ったリナたちに、ラルタークとラーシャートが襲いかかる。ゼロスが応戦する。ラルタークが放った魔族に、アメリアは両手に魔力を集めた霊王結魔弾 (ヴィスファランク) でドツキ倒す。
突然、魔竜王ガーヴが現れ、一撃でゼロスを倒す。リナは神滅斬 (ラグナブレード) で応戦するが‥‥ついに冥王フィブリゾが姿を現す。

異界黙示録 (クレアバイブル) によって、魔族・人間・神族の関係が明らかになり、息をつかせぬ展開でガーヴやフィブリゾが現れ、リナ一行が絶体絶命のピンチに陥る。
水竜王の残留思念アクアばあさんのエピソードはアニメ版『スレイヤーズNEXT』のオリジナルだが、それ以外はアニメ版に忠実に反映されており、バトル・シーンは見物だ。
表紙 スレイヤーズ 第8巻 死霊都市の王
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年07月19日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263077
フィブリゾ「ぽくたち魔族にとっての正義は、世界を無へと帰すことなんだよ」(159ページ)

あらすじ

冥王フィブリゾに囚われたガウリイを追い、リナアメリアゼルガディズシルフィールは、サイラーグへ向かう。第3巻で滅んだはずのサイラーグの街は、以前と変わらず人々が生活を送っており、シルフィールの父親も生きていた。ただ、神聖樹 (フラグーン) だけが無くなっており、その場所には大きな建物があった。それが、フィブリゾの冥王宮だった――。
リナは、冥王宮でクリスタルに閉じ込められているガウリイを発見するが、すべての仲間がフィブリゾに囚われてしまう。ガウリイが持っていた光の剣は、ゴルンノヴァと呼ばれる異世界の魔王・闇を撒くもの (ダーク・スター) の武器だった。フィブリゾは、これをダーク・スターへ返し、ついにリナは禁断の魔術・重破斬 (ギガ・スレイブ) を放つ――闇が覆い、すべては無へ帰す――第一部が、ここに完結する。

本巻の内容も、ガウリイがフィブリゾに操られるシーンを除いて、アニメ『スレイヤーズNEXT』で再現されている。金色の魔王 (ロード・オブ・ナイトメア) の登場でクライマックスを迎える――。
アメリアが唱える正義は、もちろん、ヒロイック・ファンタジーへのアンチテーゼだが、フィブリゾは、さらに「ぽくたち魔族にとっての正義は、世界を無へと帰すことなんだよ」(159ページ)と語りかける。そして、神族と魔族を生みだした金色の魔王 (ロード・オブ・ナイトメア) の絶対的な力――。
二元論は、互いが絶対に相容れない。多様性は認められない――シビアな世界観の中にあって、キャラクターが生き生きと描かれているのはスレイヤーズならではだ。ドラグスレイブやギガ・スレイブの呪文の最後が「等しく滅びを与えんことを」と結ばれるのは、スレイヤーズ世界の民主主義と言えるかもしれない。
表紙 スレイヤーズ 第9巻 ベゼルドの妖剣
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年07月19日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263084
リナ「精神体たる純魔族だけあって、心理的動揺には弱かったみたいね‥‥」(243ページ)

あらすじ

フィブリゾとの戦いで光の剣を失ったガウリイ。あらたな魔力剣を求め、リナとの2人旅を再開する。
ベゼルドに伝説の剣があるという噂を聞きつけた2人は、「トラブルの転がるところ、危険ともうけ話ありっ!」と、黒ずくめ集団に追われていたシェーラを救出。一行に剣士ルークと魔導士ミリーナが加わり、いよいよ伝説の剣があるという洞窟へ入ってゆく。
ところが、そこでリナたちが目にした光景は‥‥伝説の剣は魔族だった。そしてシェーラの正体とは‥‥。

というわけで、第2部の開幕――本巻ではゼルガディスとアメリアの代わりに、ルークとミリーナが登場する。謎解きの形式をとっているのは第1部と変わらないが、「精神体たる純魔族だけあって、心理的動揺には弱かったみたいね‥‥」とリナが語るように、高位魔族の威力は人間の想像の及ばない次元にあるようだ(笑)。
なお、1997年から半年間放映されたアニメ『スレイヤーズTRY』は、小説第2部とは関係ない、完全オリジナル・ストーリーである。
表紙 スレイヤーズ 第10巻 ソラリアの謀略
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年10月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263091
リナ「たしかに話のつじつまは合ってるわ。けど、だからって、それが真実 (ほんとう) だとは限らない」(243ページ)

あらすじ

リナガウリイの魔力剣を探す旅は続く。
ソラリアを治めるロード・ラングマイアーが魔力剣を高値で買い漁っているという噂を耳にした2人は、早速、ロードの居城へ――そこで2人を待っていたのは、ロード代行のラーヴァスと、身辺警護として雇われたルークミリーナだった。
リナとガウリイの前に再び、黒ずくめの集団が現れる。彼らを操っている黒幕は誰か。そして、救援に入った覆面の男の正体は――リナたちは、城の奥で行われていたおそるべき魔術実験を見てしまう。
表紙 スレイヤーズ 第11巻 クリムゾンの妄執
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年10月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263107
ガウリイ「元気出せって‥‥その重さ‥‥半分はオレが背負ってやるから‥‥」(245ページ)

あらすじ

テルモード・シティで「魔道士のひとは最寄りの魔道士協会に寄ってね」という貼り紙を見かけたリナは、ガウリイとともに、早速、騒動に首を突っ込む。クリムゾン魔道士協会の評議長カイラスが領主を抹殺し、町を武力支配してしまったのだという。カイラスと結婚させられた姉を助けたいというアリア=アシュフォードの依頼を引き受け、途中、魔導士ディラールが加わり、一行はクリムゾン・タウンへ向かう。
リナたちは、ゾナゲインなどデーモンと合成されたキメラたちを次々と打ち破り、カイラスへと迫る。
キメラたちを生みだしていたのは、覇王将軍シェーラが生みだした魔剣ドゥールゴーファだった。そして、アリアの姉ベルの運命は‥‥。

本巻の最後、ガウリイはリナに「元気出せって‥‥その重さ‥‥半分はオレが背負ってやるから‥‥」と語る。リナとガウリイ以外の登場人物が全滅するという悲しい結末――。
表紙 スレイヤーズ 第12巻 覇軍の策動
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年10月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263114
シェーラ「あたしには――あとがないのよ!」(209ページ)

あらすじ

リナは、クリムゾン・シティでの事の顛末を魔導士協会に報告すると、最近多発するデーモン大量発生事件の調査のため、ガウリイとともにディルス王国へ向かうことになった。途中、魔族「シャーマン」の襲撃を受ける。
ルークミリーナ、そしてディルス王国の騎士ジェイドが仲間に加わり、一行はディルス王国の首都ガイリア・シティを目指す。以前、ゼロスによって火の海になった王都だが、ウェルズ=ゼノ=ガイリア国王によって再興が進んでいた。ところが、シェーラと名乗る将兵を受け入れたところから、国家が傾きはじめる。
王宮に突入した一行。ついにリナの神滅斬 (ラグナブレード) 覇王将軍シェーラ魔剣ドゥールゴーファをとらえる。
ガイリア・シティを出た一行は、黄金竜 (ゴールデン・ドラゴン) の長老ミルガズィアに再会する。最近多発するデーモン大量発生事件の背後には、覇王 (ダイナスト) グラウシェラーがおり、降魔戦争の再現を狙っているという――。
表紙 スレイヤーズ 第13巻 降魔への道標
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年11月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263121
ひょっとして‥‥ミルガズイアさんの冗談を、精神攻撃に使ったら、並の純魔族くらい、あっさり倒せるんじゃないだろーか‥‥(86ページ)

あらすじ

かつて戦いがあった。世界の存続を賭し、神と魔王が戦って、魔王は神に封じられた。そして今から千年前、復活した魔王が再び神に戦いを挑んだ。――人はそれを、降魔戦争と呼ぶ――。激闘の末に覇王将軍シェーラを倒した、リナガウリイの前に現れた、逆のセンスの寒さで純魔族も倒せるという黄金竜 (ゴールデン・ドラゴン) の長老ミルガズィアは、魔族の真の狙いがこの「降魔戦争」の再現なのだと言う。
一行は、村の片隅にある小さな食堂に入る。ミルガズィアは「水だけ」、一緒についてきたエルフのメンフィスは「キャベツの千切り」を注文する――「ヤな客か、あんたら‥‥」とリナは間髪を入れず突っ込む。そこへ突然襲ってくる魔族――。
メンフィスが鎧を展開すると、白い巨人となって、それが放つレーザーのような白い光が森ごとデーモンたちを一掃する。ガイリア・シティに現れた白い巨人は、メンフィスのが纏う魔律甲冑 (ゼナファアーマー) だった。彼女によれば、かつてサイラーグを滅ぼしたザナッファーは、人間が作った出来損ないの代物だという。
一行は、“門番その一”ことマイアスを加え、ディルス王国の首都ガイリア・シティへ戻る。
王宮に侵入すると、シェーラを徴用したことで投獄されたアルス将軍に話を聞く。国王への影響力の点でサーディアン交易大臣と宮廷魔導士フェリアールが怪しいとみたが、じつは2人とも魔族だった。そして、魔族と合成させられてしまったジェイドと戦う羽目になる。ルークは断腸の思いでジェイドを真っ二つに切り裂く。
そして、玉座にあるウェルズ=ゼノ=ガイリア国王にたどりつくが‥‥その正体は、覇王 (ダイナスト) グラウシェラーだった。絶対的な強さを誇る覇王を相手に、リナの神滅斬 (ラグナブレード) とメンフィスの魔律甲冑 (ゼナファアーマー) で最終攻撃を仕掛ける――。

「降魔戦争の再現」の全貌が明らかになり、終盤で覇王 (ダイナスト) グラウシェラーが登場する。これで魔王シャブラニグドゥの5人の腹心のうち、3人までが登場したことになる。13巻にして、ここまで舞台設定がブレないというのは、単なるドタバタ・コメディではないと感心する。
さらに、魔族と融合していたとはいえ、かつて行動を共にしたジェイドを斬り殺すなど、けっこうシビアな話でもあり、これが第2部エンドへの伏線となる――。
表紙 スレイヤーズ 第14巻 セレンティアの憎悪
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年11月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263138
ヒトは、聞いただけで、それが神サマなのか、それとも別の何かの声なのかを聞き分ける能力なんて持ってないわ。ただ、状況や自分の考え方で、それが何かを推測するのみ。(236ページ)

あらすじ

赤の竜神 (フレアドラゴン) スィーフィード信仰が盛んな寺院都市セレンティア・シティで、4つの寺院を束ねるヨシュア神官長が火災に巻き込まれて死んだ。4つの寺院の4人の大神官による後継者争いが勃発。たまたま訪れたリナガウリイは、魔導士協会から仲裁役を依頼されることに――。
リナとガウリイは、@水竜王@アクアロード@の寺院のケレス大神官の身辺警護をしているルークとミリーナにばったりと出会う。
火竜王 (フレアロード) の寺院のフランシス大神官は、ヨシュア神官長を尊敬しており、殺害犯を断罪しようとしていた。
リナとガウリイは暗殺者の襲撃を受け、空竜王 (エアロード) の寺院のブラン大神官の死体を発見する。
翌日、地竜王 (アースロード) の寺院のライアン大神官に会うも、高慢な性格で、リナたちは追い返されてしまう。
一行は再び暗殺者の襲撃を受けるが、そのなかに、ソラリアで襲ってきた人魔ゾードがいた。この戦いの中でミリーナが毒を受けて傷ついた。回復の呪文が使える神官を探して寺院を回ったが、どこにも受けいれてもらえず、ミリーナは絶命してしまう。
ゾードを雇ったのはフランシス大神官だと分かったが、リナ達を見て暴走したゾードが、ブラン大神官を殺したのだった。
憎しみに駆られたルークは、ゾードを切り刻んで滅ぼし、つづいて、雇い主であるフランシス大神官を殺害、さらに治療受け入れを拒んだライアン大神官を殺してしまう。
そして、ルークはケレス大神官を襲撃するが、リナとガウリイの反撃にあい、壮絶な死闘を繰り広げる。負けたルークは、ケレス大神官の温情で、殺されること無く姿を消した。
リナとガウリイは、セレンティア・シティのが見渡せる小高い丘の上の共同墓地にあるミリーナの墓に花をたむけると、街を後にした――。
表紙 スレイヤーズ 第15巻 デモン・スレイヤーズ
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2008年11月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784049263145
ガウリイ「いろんな重いものを背負いながら、それでも人間ってのは、前に進まなきゃならないんだ」(251ページ)

あらすじ

今日も夜盗を倒して憂さ晴らしをしている美少女天才魔道士リナ=インバースと、その相棒のガウリイ=ガブリエフ――そこへ、筋肉標本のような魔族が現れる。だが、リナとガウリイの名を聞くと撤退してゆく――ドラゴンだけでなく、魔族も逃げてゆくようになったのか!?
一行に、黄金竜 (ゴールデン・ドラゴン) の長老ミルガズィアとエルフのメンフィスが合流する。各地のデーモン大量発生と同時に異常気象が起きているという。
リナの多重存在 (ドッペルゲンガー) が現れ、ウェイトレスにサイラーグへの道順を聞いたという。罠とは分かっていたが、一行は、世界一不幸な都市サイラーグへ向かう。
途中、アトラス・シティでルビアに再会。草花を育てているというガラスの温室を見たリナとガウリイのテンションが上がる。
そこへ金髪で覇気の無い男の姿をしている魔族ブラドゥが現れ、リナたちは窮地に陥る。それを助けたのが、突然現れた獣神官 (プリースト) ゼロスだった。
サイラーグに着くと、そこには、太陽のような色をしたかがやく金髪を短くまとめた大柄な女性と、流れるような漆黒の長い髪をした華奢な女性の2人が待ち受けていた。ミルガズィアとメンフィスは分断され、リナとガウリイだけが隔絶された空間にほうり込まれた。
そこで待っていたのは、魔王シャブラニグドゥとして覚醒したルークだった。
リナはルーク=シャブラニグドゥとの決着をつけるべく、竜破斬 (ドラグスレイブ) を放つ――だが、魔王自身の力を借りた技が魔王に通じるはずがない‥‥!?

第2部が、ここに完結!
獣王 (グレーター・ビースト) 海王 (ディープシー) が登場し、これで魔王と5人の腹心の正体がすべて明かされた――で、長編版は完結するはずだったのだが‥‥
表紙 スレイヤーズ 第16巻 アテッサの邂逅
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2018年10月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784040729053
リナ「ケンカを買われて文句言うなら、最初からケンカなんて売らなきゃいーのよ」(11ページ)

あらすじ

降魔戦争の再来を食い止め、死闘の疲れを癒そうと、リナガウリイはゼフィーリア王国の首都ゼフィーリア・シティへの里帰り。途中立ち寄った鍛冶の町アテッサで護衛の仕事を引き受ける。ちょうどそこへ、セイルーン王国から王女アメリカが特使としてやってきた。ほどなく、ゼルガティスが合流。一行は、セルセラス大森林を取り戻そうとするエルフの組織フォレストハウンドとのいざこざに巻き込まれる。
フォレストファウンドのエルフたちは、あらゆる攻撃呪文を無効化する封魔装甲ザナッファーを身につけていた。リナの必殺技ドラグスレイブも通用しない。
だが、人間に味方するエルフ、アライナに、ガウリイのブラスト・ソードの呪いを解いてもらい、加えて、アメリアがレーザーブレスを散乱させる新魔法を展開。ついにフォレストハウンドの武装解除に成功する。
騒動が収まったところで、ザナッファーを追っていた獣神官ゼロスが姿を現す――。

ファンタジア文庫30周年企画として登場した18年ぶりの「スレイヤーズ」正統続編――あとがきでL様いわく「言ったはずよっ! 人の心に中二魂(やみ)ある限り、スレイヤーズはいつか必ず蘇る、とっ!」――人の心の闇って、中二病だったのかよ(笑)。リナ・インバース一党が勢揃いする同窓会感あふれる特別編ということで、「邂逅」というサブタイトルが付いてるんだと。んな、無茶苦茶な。
というわけで、アニメの影響も感じられる同窓会のドタバタぶりを、どうぞお楽しみください――。
表紙 スレイヤーズ 第17巻 遥かなる帰路
著者 神坂 一/あらいずみ るい
出版社 KADOKAWA
サイズ 文庫
発売日 2019年10月19日
価格 693円(税込)
ISBN 9784040733777
ラン「リナにょんって混乱をもたらすん?」(197ページ)

あらすじ

リナガウリイが里帰りの途中立ち寄ったラトカの町で、覇王(ダイナスト)の麾下ノーストに遭遇する。ノーストとの戦いは避けられたものの、リナたちは見知らぬ国ルジルテに飛ばされてしまう。「まじかー」「ないわー」――2人は嘆く。
リナとガウリイ、そして途中で出会った風使いの少女ランが加わり、一行は王都パルバッソスを脱出する。「魔に封じられた地で混沌をその身に降ろした者がこの地に現れ混乱をもたらす」という神託を受けたガルドーバとレゲンネルがリナ一行と対峙する。
リナとガウリイは、遙か彼方の故郷へたどり着くことはできるのだろうか――。

あとがきでL様いわく「出ちゃったよ‥‥あんなに絶対出さないって言ってた第三部‥‥」――18年ぶりの同窓会・16巻からちょうど1年。アニメのTRY、コミックの『水竜王の騎士』とは別の「結界の外」の世界を描く物語。ラノベというジャンルを生み出した「スレイヤーズ」の世界は、どこまで広がるのだろう‥‥。

参考サイト

(この項おわり)
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