シリーズ概要
『鋼の錬金術師』は、錬金術が存在する架空世界を舞台に、禁忌とされる人体錬成を行ったエルリック兄弟、エドワードとアルフォンスの旅と冒険の物語――『魔法陣グルグル』の作者、衛藤ヒロユキのアシスタントを経て独立した荒川弘の初連載で、『月刊少年ガンガン』2001年8月号から2010年7月号まで連載。全108話、単行本27巻。
『鋼の錬金術師』のタイトルでアニメ化され、2003年10月からTBS系列で51話が放映。このときは原作が完結しておらず、アニメの最後は原作と異なる。2005年には最終話の後日談を描いた『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』が松竹の配給で上映された。
再度アニメ化され『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』というタイトルで2009年4月からTBS系で64話が放映。原作とほぼ同時に最終話を迎えた。2011年7月には、オリジナル映画『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』が上映された。
再度アニメ化され『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』というタイトルで2009年4月からTBS系で64話が放映。原作とほぼ同時に最終話を迎えた。2011年7月には、オリジナル映画『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』が上映された。
目次
- シリーズ概要
- 鋼の錬金術師 第1巻
- 鋼の錬金術師 第2巻
- 鋼の錬金術師 第3巻
- 鋼の錬金術師 第4巻
- 鋼の錬金術師 第5巻
- 鋼の錬金術師 第6巻
- 鋼の錬金術師 第7巻
- 鋼の錬金術師 第8巻
- 鋼の錬金術師 第9巻
- 鋼の錬金術師 第10巻
- 鋼の錬金術師 第11巻
- 鋼の錬金術師 第12巻
- 鋼の錬金術師 第13巻
- 鋼の錬金術師 第14巻
- 鋼の錬金術師 第15巻
- 鋼の錬金術師 第16巻
- 鋼の錬金術師 第17巻
- 鋼の錬金術師 第18巻
- 鋼の錬金術師 第19巻
- 鋼の錬金術師 第20巻
- 鋼の錬金術師 第21巻
- 鋼の錬金術師 第22巻
- 鋼の錬金術師 第23巻
- 鋼の錬金術師 第24巻
- 鋼の錬金術師 第25巻
- 鋼の錬金術師 第26巻
- 鋼の錬金術師 第27巻
- レビュー
- 参考サイト
鋼の錬金術師 第1巻
エドワード「神様を信じないオレ達科学者が、ある意味神に一番近いところにいるってのは皮肉なもんだ」
痛みを伴わない教訓には意義がない。人は何かの犠牲なしに何も得る事などできないのだから――年齢の割に身長が低いが、国家錬金術師として鋼の錬金術師の二つ名をもつ兄エドワード(エド)と、鋼鉄の鎧に身を包んだ弟アルフォンス(アル)のエルリック兄弟は、リオールで太陽神レトの代理人コーネロ教主が見せた「奇跡の業」は錬金術であることを見抜く。だが、法則を無視する術の発動には「賢者の石」が絡んでいた。
コーネロを追い詰めたエルリック兄弟だったが、アルフォンスの鎧の中は空っぽ、エドワードは右腕・左脚が機械鎧――2人は死んだ母親を蘇らせようと、禁忌とされる人体錬成を行った代償として、身体と手足を持っていかれたのだった。
コーネロの野望は潰えたが、コーネロに死んだ恋人の復活を願っていたロゼは、「これから、あたしは!何にすがって生きていけばいいのよ!!」とエルリック兄弟に詰め寄る。エドワードは「立って歩け、前へ進め。あんたには立派な足がついてるじゃないか」と突き放す。

エルリック兄弟は、東の果てにあるユースウェル炭鉱を訪れた。炭鉱はヨキ中尉の所有になっており、ホーリングたち鉱夫たちは安い賃金でこき使われていた。ヨキはエドワードにゴマをすり中央への取り次ぎを目論んでいたが、逆にエドワードはヨキから炭鉱を買い取り、ホーリングたちに売り払ってしまう。

ハクロ将軍が乗っている特急列車が、東部過激派「青の団」に乗っ取られた。たまたま乗り合わせたエルリック兄弟が「青の団」と戦う。列車が東部に着くと、焔の錬金術師、ロイ・マスタング大佐が出迎えた。
コーネロを追い詰めたエルリック兄弟だったが、アルフォンスの鎧の中は空っぽ、エドワードは右腕・左脚が機械鎧――2人は死んだ母親を蘇らせようと、禁忌とされる人体錬成を行った代償として、身体と手足を持っていかれたのだった。
コーネロの野望は潰えたが、コーネロに死んだ恋人の復活を願っていたロゼは、「これから、あたしは!何にすがって生きていけばいいのよ!!」とエルリック兄弟に詰め寄る。エドワードは「立って歩け、前へ進め。あんたには立派な足がついてるじゃないか」と突き放す。

エルリック兄弟は、東の果てにあるユースウェル炭鉱を訪れた。炭鉱はヨキ中尉の所有になっており、ホーリングたち鉱夫たちは安い賃金でこき使われていた。ヨキはエドワードにゴマをすり中央への取り次ぎを目論んでいたが、逆にエドワードはヨキから炭鉱を買い取り、ホーリングたちに売り払ってしまう。

ハクロ将軍が乗っている特急列車が、東部過激派「青の団」に乗っ取られた。たまたま乗り合わせたエルリック兄弟が「青の団」と戦う。列車が東部に着くと、焔の錬金術師、ロイ・マスタング大佐が出迎えた。
鋼の錬金術師 第2巻
ドクター・マルコー「知れば地獄を見る事になる」
エドワード「地獄なら、とうに見た!」
エドワード「地獄なら、とうに見た!」
エルリック兄弟は、生体錬成に詳しい図書館か錬金術師を紹介してほしいとロイ・マスタング大佐に願い出たところ、人語を使う合成獣の錬成に成功した「綴命の錬金術師」ショウ・タッカーを紹介された。2人は、タッカーのペットの大型犬アレキサンダーと娘のニーナと遊びながら、蔵書を読みふけった。だが、タッカーの「査定」の日が近づいた頃、アレキサンダーとニーナがいなくなってしまう‥‥。
タッカーの前に、顔に大きな傷を負った傷の男が現れた。傷の男は「神の道に背き錬金術師、滅ぶべし」と言い、右手でタッカーの顔面をわしづかみにして殺す。

傷の男は、偶然、エルリック兄弟を見つけ、アルの鎧をバラバラにし、エドの機械鎧を粉々に砕いてしまう。そこへマスタング大佐、リザ・ホークアイ中尉、「剛腕の錬金術師」アレックス・ルイ・アームストロング少佐が駆けつけ、傷の男を撃退する。

2人はアームストロング少佐の護衛を得て、修理のため、故郷リゼンブールへと出発する。途中、軍の秘密研究をしていたドクター・マルコーに出会い、「賢者の石」の実物を見る。マルコーは「君ならば真実の奧の更なる真実に」と言って、研究資料が隠してある場所のメモをエドに手渡す。
タッカーの前に、顔に大きな傷を負った傷の男が現れた。傷の男は「神の道に背き錬金術師、滅ぶべし」と言い、右手でタッカーの顔面をわしづかみにして殺す。

傷の男は、偶然、エルリック兄弟を見つけ、アルの鎧をバラバラにし、エドの機械鎧を粉々に砕いてしまう。そこへマスタング大佐、リザ・ホークアイ中尉、「剛腕の錬金術師」アレックス・ルイ・アームストロング少佐が駆けつけ、傷の男を撃退する。

2人はアームストロング少佐の護衛を得て、修理のため、故郷リゼンブールへと出発する。途中、軍の秘密研究をしていたドクター・マルコーに出会い、「賢者の石」の実物を見る。マルコーは「君ならば真実の奧の更なる真実に」と言って、研究資料が隠してある場所のメモをエドに手渡す。
鋼の錬金術師 第3巻
アームストロング少佐「健全な精神は鍛えぬかれた美しき肉体に宿るというもの」
リゼンブールのピナコ・ロックベルの家に帰ったエルリック兄弟を見たウィンリィ・ロックベルは、「あたしが丹精こめて作った最高級機械鎧を、どんな使い方したら壊れるって言うのよ!!」と凄い剣幕。
修理が終わったエルリック兄弟は、ドクター・マルコーが書いた資料があるという中央の国立中央図書館第一分館に向かうが、不審火で中の蔵書ごと全焼してしまっていた。そんななか、蔵書の内容を全て記憶しているというシェスカを紹介される。彼女はティム・マルコー著の料理研究所「今日の献立1000種」を全て書き出す。それはマルコーが施した暗号文書だった。暗号を解読したエルリック兄弟だったが、賢者の石の材料は‥‥。

「真実の奧の更なる真実」というマルコーの言葉を思い出したエドは、アルと一緒に廃屋となった第五研究所に忍び込む。そして、鎧を身に纏ったナンバー48、ナンバー66と戦闘になる。ナンバー66は自分が連続猟奇殺人犯バリー・ザ・チョッパーであることをアルに明かし、「その人格も記憶も兄貴の手によって人工的に造られたものだとしたらどうする?」と問いかける。動揺するアル。
一方、エドはナンバー48を倒すが、そこに、ラストとエンヴィーが現れる。
修理が終わったエルリック兄弟は、ドクター・マルコーが書いた資料があるという中央の国立中央図書館第一分館に向かうが、不審火で中の蔵書ごと全焼してしまっていた。そんななか、蔵書の内容を全て記憶しているというシェスカを紹介される。彼女はティム・マルコー著の料理研究所「今日の献立1000種」を全て書き出す。それはマルコーが施した暗号文書だった。暗号を解読したエルリック兄弟だったが、賢者の石の材料は‥‥。

「真実の奧の更なる真実」というマルコーの言葉を思い出したエドは、アルと一緒に廃屋となった第五研究所に忍び込む。そして、鎧を身に纏ったナンバー48、ナンバー66と戦闘になる。ナンバー66は自分が連続猟奇殺人犯バリー・ザ・チョッパーであることをアルに明かし、「その人格も記憶も兄貴の手によって人工的に造られたものだとしたらどうする?」と問いかける。動揺するアル。
一方、エドはナンバー48を倒すが、そこに、ラストとエンヴィーが現れる。
鋼の錬金術師 第4巻
ヒューズ中佐「しょーがねえよなぁ、男ってのは、言葉よりも行動で示す生き物だから」
エドの機械鎧の出張修理のため中央にやって来たウィンリィは、ヒューズ中佐の家に泊まることに。その比は、娘エリシアの3歳の誕生日で、奥さんのグレイシアと賑やかな誕生会が催された。
一方、病院では入院中のエドに向かって、アルが「この空っぽの身体で、何を信じろって言うんだ‥‥!!」と詰め寄る。それを聞いたウィンリィは、泣きながらアルをスパナで叩き、「あんた達、たった二人の兄弟じゃないの」という。二人は組み手をして、思い出話をしながら、「もっともっと強くなろう」と誓い合う。
エドの見舞いにとんでもない人物がやって来た。キング・ブラッドレイ大総統だ。ブラッドレイは、エドワード兄弟のみの安全のため、「これ以上、この件に首を突っ込む事も、これを口外する事も許さん」と命令する。
退院したエドとアルは、師匠が住む南部のダブリスへ出掛けることに決めた。途中にある機械鎧技師の聖地、ラッシュバレーに行きたいと、ウィンリィも同行することになった。

一方、リオールの暴動やイシュヴァールの内乱など、過去の記録を調べていたヒューズ中佐は、とんでもない事実に気付くが、ラストとエンヴィーの襲撃を受ける。
グラトニーとの戦いで瀕死の重傷を負った傷の男だったが、同胞であるイシュヴァールの生き残りの人たちに助けられていた。
一方、病院では入院中のエドに向かって、アルが「この空っぽの身体で、何を信じろって言うんだ‥‥!!」と詰め寄る。それを聞いたウィンリィは、泣きながらアルをスパナで叩き、「あんた達、たった二人の兄弟じゃないの」という。二人は組み手をして、思い出話をしながら、「もっともっと強くなろう」と誓い合う。
エドの見舞いにとんでもない人物がやって来た。キング・ブラッドレイ大総統だ。ブラッドレイは、エドワード兄弟のみの安全のため、「これ以上、この件に首を突っ込む事も、これを口外する事も許さん」と命令する。
退院したエドとアルは、師匠が住む南部のダブリスへ出掛けることに決めた。途中にある機械鎧技師の聖地、ラッシュバレーに行きたいと、ウィンリィも同行することになった。

一方、リオールの暴動やイシュヴァールの内乱など、過去の記録を調べていたヒューズ中佐は、とんでもない事実に気付くが、ラストとエンヴィーの襲撃を受ける。
グラトニーとの戦いで瀕死の重傷を負った傷の男だったが、同胞であるイシュヴァールの生き残りの人たちに助けられていた。
鋼の錬金術師 第5巻
ドミニク「カルバリン砲てぇのはな、漢のロマンだ」
機械鎧技師の聖地、ラッシュバレーに到着したエルリック兄弟とウィンリィ――エドはスリに遭い、国家錬金術師の証である銀時計が盗まれる。犯人は両脚が機械鎧のパニーニャという少女。その機械鎧に興味を惹かれたウィンリィは、頑固者の職人のドミニクに弟子入りを願い出る。息子リドルの妻サテラが急に産気づき、ウィンリィが立ち会い、無事に出産する。ウィンリィはドミニクに紹介されたガーフィールの店で働きながら修行することになる。
ウィンリィと別れたエルリック兄弟がダブリスに着くと、師匠イズミ・カーティスは、いきなりエドワードを蹴り飛ばす。「軍の狗に成り下がったって? ああ?」――兄弟は、イズミに人体錬成から国家錬金術師になった経緯をすべて話す。
ウィンリィと別れたエルリック兄弟がダブリスに着くと、師匠イズミ・カーティスは、いきなりエドワードを蹴り飛ばす。「軍の狗に成り下がったって? ああ?」――兄弟は、イズミに人体錬成から国家錬金術師になった経緯をすべて話す。
鋼の錬金術師 第6巻
ウィンリィ「あんたが元の身体に戻るまで! あたしがサポートするって決めたから!」
母親が亡くなった後、エルリック兄弟は錬金術を学ぼうと、イズミに弟子入りした。兄弟は池に浮かぶ小島で1ヶ月のサバイバル生活を送り、錬金術の基本原理「一は全、全は一」の答えに辿り着く。修行を終えてリゼンブールに戻った兄弟は、死んだ母親を蘇らせようと人体錬成を試みるが、エドは左脚を、アルは全身を向こうへ持っていかれる。向こうでエドは〈真理〉を見る。そして、右腕を対価にアルの魂を鎧に定着させた。
兄弟はピナ・ロックベルに保護された。ある日、東方司令部のロイ・マスタングとリザ・ホークアイは、エルリック兄弟を軍にスカウトするため、ロックベル家を訪れた。エドは機械鎧を装着することを決意し、3年かかるリハビリを1年でクリアし、国家錬金術師試験に挑戦し、合格。キング・ブラッドレイ大総統による拝命証には「鋼の錬金術師」の二つ名が記されていた。
話を聞いたイズミは「私はね、おまえ達をそんな身体にするために錬金術を教えたんじゃないんだよ」と言って、兄弟を破門する。だが、イズミの夫シグ・カーティスは、兄弟に「これからは、ひとりの人間として対等に接するって事だ」とアドバイスする。

一方、東方司令部のロイ・マスタングは、ケイン・フェリー曹長、ヴァトー・ファルマン准尉、ハイマンス・ブレダ少尉、ジャン・ハボック少尉、リザ・ホークアイ中尉をともない中央へ異動する。
兄弟はピナ・ロックベルに保護された。ある日、東方司令部のロイ・マスタングとリザ・ホークアイは、エルリック兄弟を軍にスカウトするため、ロックベル家を訪れた。エドは機械鎧を装着することを決意し、3年かかるリハビリを1年でクリアし、国家錬金術師試験に挑戦し、合格。キング・ブラッドレイ大総統による拝命証には「鋼の錬金術師」の二つ名が記されていた。
話を聞いたイズミは「私はね、おまえ達をそんな身体にするために錬金術を教えたんじゃないんだよ」と言って、兄弟を破門する。だが、イズミの夫シグ・カーティスは、兄弟に「これからは、ひとりの人間として対等に接するって事だ」とアドバイスする。

一方、東方司令部のロイ・マスタングは、ケイン・フェリー曹長、ヴァトー・ファルマン准尉、ハイマンス・ブレダ少尉、ジャン・ハボック少尉、リザ・ホークアイ中尉をともない中央へ異動する。
鋼の錬金術師 第7巻
グリード「『ありえない』なんて事はありえない」
ダブリスの西の工場跡地で、アルは人造人間、グリードが率いる合成獣たちに囚われる。グリードは永遠の命を得るために、人造人間の製造方法を教える代わりに、魂の錬成方法を教えろとせまる。
国家錬金術師の査定を終えてダブリスに戻ってきたエドは、アルの救出へ向かう。エドを追って、キング・ブラッドレイやアームストロング少佐がダブリスに入り、グリードを追い詰める。
国家錬金術師の査定を終えてダブリスに戻ってきたエドは、アルの救出へ向かう。エドを追って、キング・ブラッドレイやアームストロング少佐がダブリスに入り、グリードを追い詰める。
鋼の錬金術師 第8巻
リン・ヤオ「なりふりかまってられんよ。俺が背負ってるもののためにはね」
夜道、リザ・ホークアイ中尉はバリー・ザ・チョッパーに遭遇する。マスタング大佐は賢者の石の秘密を知ろうと、ファルマン准尉にバリーを匿わせる。
キング・ブラッドレイこと人造人間、「憤怒の」ラースは、グリードを捕らえ、〈お父様〉に引き渡す。
ユースウェル炭鉱では、シン国からやって来た少女メイ・チャンが不老不死の法を探しにやって来た。メイは煉丹術で落盤した坑道を復旧する。
一方、機械鎧の修理のためにラッシュバレーのウィンリィを訪ねたエルリック兄弟は、賢者の石を探しているというシン国の皇子リン・ヤオと、従者フー、ランファンに出会う。
キング・ブラッドレイこと人造人間、「憤怒の」ラースは、グリードを捕らえ、〈お父様〉に引き渡す。
ユースウェル炭鉱では、シン国からやって来た少女メイ・チャンが不老不死の法を探しにやって来た。メイは煉丹術で落盤した坑道を復旧する。
一方、機械鎧の修理のためにラッシュバレーのウィンリィを訪ねたエルリック兄弟は、賢者の石を探しているというシン国の皇子リン・ヤオと、従者フー、ランファンに出会う。
鋼の錬金術師 第9巻
グレイシア「ここであなた達があきらめると言うなら、主人の死は全くの無駄になります」
憲兵司令部は、マース・ヒューズ殺害事件の犯人としてマリア・ロス少尉を逮捕する。中央に戻り、ヒューズの死を知ったエルリック兄弟は、マスタングが逃亡したマリア・ロスを焼き殺す現場に遭遇する。
ヒューズの妻グレイシアの家を訪れたエルリック兄弟に、彼女は「自分たちの納得する方法で前へ進みなさい」と告げる。だが、エドは「もう何を信じて進んでいいのか、わかんねーや」と自信を失いかける。エドは、ウィンリィがヒューズに食べてもらおうと焼いたアップルパイを食べた。
ヒューズの妻グレイシアの家を訪れたエルリック兄弟に、彼女は「自分たちの納得する方法で前へ進みなさい」と告げる。だが、エドは「もう何を信じて進んでいいのか、わかんねーや」と自信を失いかける。エドは、ウィンリィがヒューズに食べてもらおうと焼いたアップルパイを食べた。
鋼の錬金術師 第10巻
ヴァン・ホーエンハイム「ピナコ、俺の家が無い」
第三研究所でラストに遭遇したマスタングとハボックは、人造人間が賢者の石でできている事を知らされる。マスタングは重傷を追いながらもラストを滅ぼす。しかし、ハボックは‥‥。
一方、アームストロング少佐とブレダ少尉はエドを連れだし、一夜にして滅んだというクセルクセス王国の遺跡へ向かった。アメストリスに錬金術を伝えたのは、クセルクセスからやってきた「東の賢者」。一方、シンに煉丹術を伝えたのは「西の賢者」だという。エドは、錬成陣とは似て非なる欠けた巨大な壁画を目にする。そして、ウィンリィの父母を知っているというイシュヴァール陣の生き残り達に出会う。

一方、リゼンブールのピナコ・ロックベルの家に、突然、ヴァン・ホーエンハイムがやって来た。母の墓前で、エドとホーエンハイムが出会う‥‥。
一方、アームストロング少佐とブレダ少尉はエドを連れだし、一夜にして滅んだというクセルクセス王国の遺跡へ向かった。アメストリスに錬金術を伝えたのは、クセルクセスからやってきた「東の賢者」。一方、シンに煉丹術を伝えたのは「西の賢者」だという。エドは、錬成陣とは似て非なる欠けた巨大な壁画を目にする。そして、ウィンリィの父母を知っているというイシュヴァール陣の生き残り達に出会う。

一方、リゼンブールのピナコ・ロックベルの家に、突然、ヴァン・ホーエンハイムがやって来た。母の墓前で、エドとホーエンハイムが出会う‥‥。
鋼の錬金術師 第11巻
マスタング「わかった。置いて行く。置いて行くから、追いついて来い。私は先に行く。上で待ってるぞ」
ホーエンハイムは、家を焼いた事についてエドに「逃げたな、エドワード」と詰め寄る。ホーエンハイムはピナコに、エドとアルが人体錬成して出てきたものは「本当にそれはトリシャだったのか?」と問いかける。そして、家族の写真を手にすると、「じきに酷い事がこの国で起こる。今のうちに、よその国へ逃げとけ」と言い残して去る。
ホーエンハイムの言葉が気になったエドは、トリシャの遺体を掘り起こし、彼女の特徴が無い事が明らかになる。エドは、アルを元に戻せるという確信を得た。

ハボックを治そうと、ブレダはドクター・マルコーを訪ねようとするが、一足遅く、エンヴィーがマルコーを捕らえていた。ひょんなことで傷の男と行動を共にしていたヨキだったが、メイ・チャンが加わる。
ホーエンハイムの言葉が気になったエドは、トリシャの遺体を掘り起こし、彼女の特徴が無い事が明らかになる。エドは、アルを元に戻せるという確信を得た。

ハボックを治そうと、ブレダはドクター・マルコーを訪ねようとするが、一足遅く、エンヴィーがマルコーを捕らえていた。ひょんなことで傷の男と行動を共にしていたヨキだったが、メイ・チャンが加わる。
鋼の錬金術師 第12巻
アドワード「今度おまえを泣かせる時は嬉し泣きだ!!」
リン・ヤオは深手を負ったランファンを担ぎ、襲ってくるキング・ブラッドレイに向かって「王は民のために在る者。民無くして王は在り得なイ」と問いかけるが、ブラッドレイは「真の王など、この世のどこにも在らぬ!!」と返す。
一方、人造人間をおびき寄せるために傷の男と戦うエドワード・エルリックとアルフォンス・エルリックだったが、そこへ2人を心配したウィンリィ・ロックベルが駆けつけ、傷の男が両親を殺したことを知ってしまう。ウィンリィは拳銃を拾い、傷の男へ銃口を向けるが、エドワードは身体をもって制する。エドワードは言う。「おまえの手は人を殺す手じゃない。人を生かす手だ」。
エドとアルは、ラッシュバレーへ戻るウィンリィを見送る。去って行くエドの背中を見たエインリィは、「あたし‥‥ずっと前から惚れてたのかもしれない」と、自分の気持ちに気付く。

ブラッドレイから逃げ延びたリンはエルリック兄弟と合流し、グラトニーの捕縛に成功。メイ・チャンがあらわれ、怪我を負った傷の男を連れて逃げる。
エドワードと分かれてラッシュバレーに戻るウィンリィは、自分の気持ちに気付く。
ランファンはノックス医師の自宅に担ぎ込まれ治療を受け、ついでにグラトニーも運び込まれる。ロイ・マスタング大佐にラストを殺された怒りでグラトニーは暴走する。
一方、人造人間をおびき寄せるために傷の男と戦うエドワード・エルリックとアルフォンス・エルリックだったが、そこへ2人を心配したウィンリィ・ロックベルが駆けつけ、傷の男が両親を殺したことを知ってしまう。ウィンリィは拳銃を拾い、傷の男へ銃口を向けるが、エドワードは身体をもって制する。エドワードは言う。「おまえの手は人を殺す手じゃない。人を生かす手だ」。
エドとアルは、ラッシュバレーへ戻るウィンリィを見送る。去って行くエドの背中を見たエインリィは、「あたし‥‥ずっと前から惚れてたのかもしれない」と、自分の気持ちに気付く。

ブラッドレイから逃げ延びたリンはエルリック兄弟と合流し、グラトニーの捕縛に成功。メイ・チャンがあらわれ、怪我を負った傷の男を連れて逃げる。
エドワードと分かれてラッシュバレーに戻るウィンリィは、自分の気持ちに気付く。
ランファンはノックス医師の自宅に担ぎ込まれ治療を受け、ついでにグラトニーも運び込まれる。ロイ・マスタング大佐にラストを殺された怒りでグラトニーは暴走する。
鋼の錬金術師 第13巻
キング・ブラッドレイ「ヒューズ准将の子‥‥名をなんと言ったか‥‥葬儀の最中にやかましい事、この上なかったな。実に腹が立ったよ」
エドワード・エルリック、リン・ヤオ、エンヴィーは、グラトニーの暴走に巻き込まれ、どこか分からない空間に閉じ込められてしまう。
一方、マスタングは軍上層部の会議に同席させられ、そこへキング・ブラッドレイが現れる‥‥。リザ・ホークアイをはじめとするマスタングの子飼いの部下達は、それぞれ別々の部署へ異動させられてしまう。

アルはグラトニーに連れられ、中央の地下で〈お父様〉に出会う。そこへ、謎の空間を脱出したエドたちが現れる‥‥。
一方、マスタングは軍上層部の会議に同席させられ、そこへキング・ブラッドレイが現れる‥‥。リザ・ホークアイをはじめとするマスタングの子飼いの部下達は、それぞれ別々の部署へ異動させられてしまう。

アルはグラトニーに連れられ、中央の地下で〈お父様〉に出会う。そこへ、謎の空間を脱出したエドたちが現れる‥‥。
鋼の錬金術師 第14巻
ノックス「てめぇの国の事情なんか知るか、バカヤロウ! ったく、病人は万国共通で病人だ!」
〈お父様〉は、なんのモーションもなしに術を発動させ、エドの怪我を治し、アルの失われた左手を生やした。エルリック兄弟は錬金術を封じられ、リン・ヤオにグリードの賢者の石が流し込まれる。
そこへ傷の男とメイ・チャンが現れ、煉丹術を使って脱出するが、キング・ブラッドレイの尋問を受ける。グリードになったリン・ヤオはエドに、ランファンへのメッセージを託す。
中央の地下で、傷の男はドクター・マルコーと出会う。マルコーは傷の男に「殺してくれ」と頼む。
そこへ傷の男とメイ・チャンが現れ、煉丹術を使って脱出するが、キング・ブラッドレイの尋問を受ける。グリードになったリン・ヤオはエドに、ランファンへのメッセージを託す。
中央の地下で、傷の男はドクター・マルコーと出会う。マルコーは傷の男に「殺してくれ」と頼む。
鋼の錬金術師 第15巻
キング・ブラッドレイ「神は人間によって創りあげられた、人の手によるものにすぎん。ならば、我々に鉄槌を下しに来るのは、神ではなく、あくまで“人間”だろうな」
リザ・ホークアイは、エドにイシュヴァールの事実を語る――。
傷の男の兄は煉丹術の知識を集めているうちに、アメストリスの錬金術がおかしい事に気付く。そんなとき、イシュヴァール殲滅戦が始まった。イシュヴァール人たちを虐殺する線上の中で、マスタング、ヒューズ、ホークアイ、アームストロング、ドクター・マルコー、ノックスらは正気を失いかけていた。そんななか、「紅蓮の錬金術師」ゾルフ・J・キンブリーが、「自分を哀れむくらいなら、最初から人を殺すな。死から目を背けるな。前を見ろ。貴方が殺す人々のその姿を正面から見ろ。そして忘れるな。忘れるな。忘れるな。奴らも貴方の事を忘れない」と言い放つ。
イシュヴァラ教最高責任者ローグ=ロウが現れ、「我が命と引き替えに、今生き残っているイシュヴァール人の助命を乞う」と言う。だが、キング・ブラッドレイは、「一人の命は、そのもの一人分の価値しかなく、それ以上にも、それ以下にもならん」と一蹴する。
キンブリーの攻撃で大怪我を負った傷の男を助けようと、兄は自らの研究成果を‥‥。
殲滅戦は終わり、マスタングの部下達は、「焔の錬金術師がいたから、俺達は死ななかった。俺達にとっちゃ、貴方は英雄なんだ」と礼を言って帰国する。
傷の男の兄は煉丹術の知識を集めているうちに、アメストリスの錬金術がおかしい事に気付く。そんなとき、イシュヴァール殲滅戦が始まった。イシュヴァール人たちを虐殺する線上の中で、マスタング、ヒューズ、ホークアイ、アームストロング、ドクター・マルコー、ノックスらは正気を失いかけていた。そんななか、「紅蓮の錬金術師」ゾルフ・J・キンブリーが、「自分を哀れむくらいなら、最初から人を殺すな。死から目を背けるな。前を見ろ。貴方が殺す人々のその姿を正面から見ろ。そして忘れるな。忘れるな。忘れるな。奴らも貴方の事を忘れない」と言い放つ。
イシュヴァラ教最高責任者ローグ=ロウが現れ、「我が命と引き替えに、今生き残っているイシュヴァール人の助命を乞う」と言う。だが、キング・ブラッドレイは、「一人の命は、そのもの一人分の価値しかなく、それ以上にも、それ以下にもならん」と一蹴する。
キンブリーの攻撃で大怪我を負った傷の男を助けようと、兄は自らの研究成果を‥‥。
殲滅戦は終わり、マスタングの部下達は、「焔の錬金術師がいたから、俺達は死ななかった。俺達にとっちゃ、貴方は英雄なんだ」と礼を言って帰国する。
鋼の錬金術師 第16巻
オリヴィエ・ミラ・アームストロング「私以外の他人が付けた評価なぞいらん。私は私の目で人を判断する」
マスタングは当方司令部のグラマン中将に接触する。一方、キンブリーが出所し、エンヴィーから、傷の男はドクター・マルコーを捜索するよう依頼を受ける。
エルリック兄弟は煉丹術の知識を求め、メイ・チャンを追って、北方のドラクマとの国境を守る「ブリッグスの北壁」こと、オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将のもとへ向かう。
一方、キンブリーはブリッグスへ向かう貨物列車の中で傷の男に遭遇し、重傷を負う。傷の男は、兄から譲り受けた研究書を隠した北方へ向かう途中だった。
エルリック兄弟は煉丹術の知識を求め、メイ・チャンを追って、北方のドラクマとの国境を守る「ブリッグスの北壁」こと、オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将のもとへ向かう。
一方、キンブリーはブリッグスへ向かう貨物列車の中で傷の男に遭遇し、重傷を負う。傷の男は、兄から譲り受けた研究書を隠した北方へ向かう途中だった。
鋼の錬金術師 第17巻
オリヴィエ・ミラ・アームストロング「ぶった斬ってしまいたい!!!!」
突然、ブリッグスの地下から人造人間、怠惰のスロウスが現れる。銃撃も戦車砲も効かないスロウスを相手にブリッグス兵は苦戦し、アームストロング少将は「あれの正体はなんだ?」と問いかけるも、エドは「答えられない。察してくれ」と応じる。何とかスロウスを氷漬けにして地下を調査すると、長大なトンネルが掘られていた。
エルリック兄弟はアームストロング少将たちと、アメストリス建国の時から起きている暴動や内乱をマッピングしていくと、巨大な賢者の石の錬成陣があらわれるが、エドはその奥にさらに何か隠された秘密があると感じ取った。ちょうどレイブン中将とキンブリーがブリッグスを訪れており、アームストロング少将が出迎えると、レイブン中将は「完全な不死の軍団に興味はないか?」とたずねてきた。
キンブリーはウィンリィを連れ、エルリック兄弟の前に現れた。
エルリック兄弟はアームストロング少将たちと、アメストリス建国の時から起きている暴動や内乱をマッピングしていくと、巨大な賢者の石の錬成陣があらわれるが、エドはその奥にさらに何か隠された秘密があると感じ取った。ちょうどレイブン中将とキンブリーがブリッグスを訪れており、アームストロング少将が出迎えると、レイブン中将は「完全な不死の軍団に興味はないか?」とたずねてきた。
キンブリーはウィンリィを連れ、エルリック兄弟の前に現れた。
鋼の錬金術師 第18巻
キンブリー「仕事の話をしましょう、鋼の錬金術師殿」
ウィンリィはエドの機械鎧を寒冷地用に換装する。
中央では大総統付き補佐のホークアイが、大総統の養子セリム・ブラッドレイの正体に気付く。
キンブリーは「生き残りを‥‥まさに存在をかけた闘い。こんなやりがいのある人生は、そうそうはありませんよ、鋼の錬金術師」と言って、成功報酬の賢者の石を見せ、エドを協力させようとする。エドは命令を受けた振りをして、傷の男の捜索に出掛け、メイ・チャン、ドクター・マルコー、ヨキと合流する。
合成獣のジェルソ、ザンパノと戦い、傷の男は負傷するが、そこにやって来たウィンリィが「父さんと母さんも、たぶん、こうしただろうから」と言って応急処置する。傷の男は師父の言葉を思い出していた――「『堪える』と『許す』は違う。世の理不尽な出来事を許してはいかん。だが、堪えねばならぬ。憎しみの連鎖は誰かが立たねばならぬ」。
そんななか、アームストロング少将が中央に呼び出される‥‥。
中央では大総統付き補佐のホークアイが、大総統の養子セリム・ブラッドレイの正体に気付く。
キンブリーは「生き残りを‥‥まさに存在をかけた闘い。こんなやりがいのある人生は、そうそうはありませんよ、鋼の錬金術師」と言って、成功報酬の賢者の石を見せ、エドを協力させようとする。エドは命令を受けた振りをして、傷の男の捜索に出掛け、メイ・チャン、ドクター・マルコー、ヨキと合流する。
合成獣のジェルソ、ザンパノと戦い、傷の男は負傷するが、そこにやって来たウィンリィが「父さんと母さんも、たぶん、こうしただろうから」と言って応急処置する。傷の男は師父の言葉を思い出していた――「『堪える』と『許す』は違う。世の理不尽な出来事を許してはいかん。だが、堪えねばならぬ。憎しみの連鎖は誰かが立たねばならぬ」。
そんななか、アームストロング少将が中央に呼び出される‥‥。
鋼の錬金術師 第19巻
ホーエンハイム「何も無いって事はないよ。ここに温かい飯がある」
中央に呼び出されたアームストロング少将は、キング・ブラッドレイ大総統にレイブン中将を粛正した事を報告し、「あの阿呆の座っていた席を私にください、閣下」と言い切る。アームストロング少将を気に入ったブラッドレイは、上層部会議への出席を認めた。一方、ホークアイは暗号を使ってセリムの正体をマスタングに伝える。

〈お父様〉は、かつて、クセルクセス王国の錬金術師が奴隷23号の血液から生みだしたフラスコの中の小人だった。フラスコの中の小人は、奴隷23号をヴァン・ホーエンハイムと名付け、知識を分け与えた。クセルクセス王は、フラスコの中の小人に不老不死の法を教えるように命じる。大規模な錬成陣を構築し、不老不死の法を発動したが、その瞬間、ホーエンハイムを除くすべてのクセルクセス陣の魂はフラスコの中の小人とホーエンハイムに吸収された。
旅の途中で、ホーエンハイムはイズミ・カーティスとシグ夫婦に出会い、自分が賢者の石である事を告げる。

エドの裏切りに気付いたキンブリーは、合成獣のハインケルとダリウスを差し向け、瀕死の重傷を負ってしまう。そのとき、離れていたアルも気を失う。キンブリーに見放された事を知ったハインケルとダリウスはエドを運び出し、医者に診せる。
一方、メイ・チャンは、傷の男の兄の研究書を紐解き、煉丹術を組み込んで発動する新たなアメストリス国土錬成陣を導き出す。

傲慢のプライドは、地下トンネルを伝ってキンブリーに「急げ」と命じる。スロウスが掘っていた地下トンネルがついに繋がった。その日はすぐそこまで迫っているのだった。

リオールに辿り着いたホーエンハイムは、そこで食糧配給しているロゼに出会う。ホーエンハイムは地下に入り、プライドに宣戦布告する。

〈お父様〉は、かつて、クセルクセス王国の錬金術師が奴隷23号の血液から生みだしたフラスコの中の小人だった。フラスコの中の小人は、奴隷23号をヴァン・ホーエンハイムと名付け、知識を分け与えた。クセルクセス王は、フラスコの中の小人に不老不死の法を教えるように命じる。大規模な錬成陣を構築し、不老不死の法を発動したが、その瞬間、ホーエンハイムを除くすべてのクセルクセス陣の魂はフラスコの中の小人とホーエンハイムに吸収された。
旅の途中で、ホーエンハイムはイズミ・カーティスとシグ夫婦に出会い、自分が賢者の石である事を告げる。

エドの裏切りに気付いたキンブリーは、合成獣のハインケルとダリウスを差し向け、瀕死の重傷を負ってしまう。そのとき、離れていたアルも気を失う。キンブリーに見放された事を知ったハインケルとダリウスはエドを運び出し、医者に診せる。
一方、メイ・チャンは、傷の男の兄の研究書を紐解き、煉丹術を組み込んで発動する新たなアメストリス国土錬成陣を導き出す。

傲慢のプライドは、地下トンネルを伝ってキンブリーに「急げ」と命じる。スロウスが掘っていた地下トンネルがついに繋がった。その日はすぐそこまで迫っているのだった。

リオールに辿り着いたホーエンハイムは、そこで食糧配給しているロゼに出会う。ホーエンハイムは地下に入り、プライドに宣戦布告する。
鋼の錬金術師 第20巻
リン・ヤオ「[だったら、エド:blue]達と仲間になればいいだろウ?」
ドクター・マルコーらにおびき出されたエンヴィーは、賢者の石を使い果たし、瓶の中に囚われてしまう。
リオールを訪れた、アルとウィンリィはホーエンハイムに出会う。ホーエンハイムはアルにクセルクセス王国の話をする。
過去の記憶に悩まされるグリードは人造人間たちを裏切り、回復したエドに合流する。「約束の日」が近づいている。
リオールを訪れた、アルとウィンリィはホーエンハイムに出会う。ホーエンハイムはアルにクセルクセス王国の話をする。
過去の記憶に悩まされるグリードは人造人間たちを裏切り、回復したエドに合流する。「約束の日」が近づいている。
鋼の錬金術師 第21巻
グラマン中将「彼奴の死体をこの目で見るまでは安心できんのだよ」
ウィンリィがリゼンブールの家に戻ってみると、そこにエドがいた。エドは、預かっていたピアスをウィンリィに渡すと、「『約束の日』とやらに全部終わらせて戻ってくっから、アップルパイでも焼いて待ってろ」と告げ、中央へ向かう。
東部では、グラマン中将の東軍と北軍の合同演習が行われ、キング・ブラッドレイ大総統が視察に訪れていた。ブラッドレイは、中央でイシュヴァール残党によるテロが行われるという情報を耳にし、中央へ戻る列車が爆破され、行方不明になる。

一方、魂が引っ張られる間隔が短くなっているアルは、グラトニーとプライドに囚われてしまう。
ホークアイらマスタングの部下たちは脱走兵となり、マスタングと合流する。マスタングは、部下達に「死ぬな」と命令する。一行は、ブラッドレイ夫人を誘拐する。
セリムに身体を乗っ取られたアルは、エド達を襲ってきた。そこへ、機械鎧を得たランファンとフー、ホーエンハイムが参戦する。
東部では、グラマン中将の東軍と北軍の合同演習が行われ、キング・ブラッドレイ大総統が視察に訪れていた。ブラッドレイは、中央でイシュヴァール残党によるテロが行われるという情報を耳にし、中央へ戻る列車が爆破され、行方不明になる。

一方、魂が引っ張られる間隔が短くなっているアルは、グラトニーとプライドに囚われてしまう。
ホークアイらマスタングの部下たちは脱走兵となり、マスタングと合流する。マスタングは、部下達に「死ぬな」と命令する。一行は、ブラッドレイ夫人を誘拐する。
セリムに身体を乗っ取られたアルは、エド達を襲ってきた。そこへ、機械鎧を得たランファンとフー、ホーエンハイムが参戦する。
鋼の錬金術師 第22巻
ハボック「[愛されて80年、あなたの町のハボック:blue]雑貨店! パンツのゴムから装甲車まで、電話1本で、いつでもどこでもお届け参上!」
ホーエンハイムは、プライドとアルを閉じ込める。
マスタングらは中央司令部へ向かう。途中、マリア・ロス少尉が武器弾薬を満載したトラックに乗って現れ、ハボックがシン国から調達したものだという。
ブリッグス兵達も、アームストロング邸に隠していた戦車に乗って中央司令部へ向かう。
エド、ホーエンハイム一行は、第三研究所の地下から〈お父様〉のいるところへ向かううが、不死の軍団が大挙して出てくる。
キンブリーはセリムを救出し、アルとハイケルとの戦いとなる。ハインケルはアルに賢者の石を渡す。
中央司令部では、アームストロング少将とアームストロング少佐の姉弟がスロウスと戦っていた。
そして、ホーエンハイムが〈お父様〉の前に現れる‥‥。
マスタングらは中央司令部へ向かう。途中、マリア・ロス少尉が武器弾薬を満載したトラックに乗って現れ、ハボックがシン国から調達したものだという。
ブリッグス兵達も、アームストロング邸に隠していた戦車に乗って中央司令部へ向かう。
エド、ホーエンハイム一行は、第三研究所の地下から〈お父様〉のいるところへ向かううが、不死の軍団が大挙して出てくる。
キンブリーはセリムを救出し、アルとハイケルとの戦いとなる。ハインケルはアルに賢者の石を渡す。
中央司令部では、アームストロング少将とアームストロング少佐の姉弟がスロウスと戦っていた。
そして、ホーエンハイムが〈お父様〉の前に現れる‥‥。
鋼の錬金術師 第23巻
エドワード「エンヴィー、おまえ‥‥人間に嫉妬しているんだ」
ハイケルに倒されたキンブリーは、セリムに吸収されてしまう。
エンヴィーは、不死の軍団の魂を吸収し復活。自分がヒューズを殺した事をマスタングに告げる。復讐に駆られるマスタングはエンヴィーを滅ぼそうとするが、ホークアイは「貴方はそちらに堕ちてはいけない‥‥!」と説得する。そして、エンヴィーは‥‥・
エンヴィーは、不死の軍団の魂を吸収し復活。自分がヒューズを殺した事をマスタングに告げる。復讐に駆られるマスタングはエンヴィーを滅ぼそうとするが、ホークアイは「貴方はそちらに堕ちてはいけない‥‥!」と説得する。そして、エンヴィーは‥‥・
鋼の錬金術師 第24巻
イズミ「貴方自身を信じなよ。貴方自身の魂に恥をかかせない生き方を選べばいいじゃない」
イズミとシグが加勢し、スロウスとの戦いに決着がつく。
〈お父様〉と呼ばれるフラスコの中の小人は、ホーエンハイムに「私は人間になりたいのではない。完全な存在になりたいのだ」と言う。ホーエンハイムは「人なみに家族が欲しかったのではないか?」と問いかける。
地上では、アームストロング少将らが中央司令部を制圧したかに思えたが、そこへキング・ブラッドレイ大総統が単身、帰還する。ブラッドレイは、正面から戦車を突破し、バッカニア大尉、グリード、フーと戦い、致命傷を受ける。
5つの研究所を頂点にもつ錬成陣が発動し、エド、アル、イズミは人柱としてフラスコの中の小人の前に召還されてしまう。
〈お父様〉と呼ばれるフラスコの中の小人は、ホーエンハイムに「私は人間になりたいのではない。完全な存在になりたいのだ」と言う。ホーエンハイムは「人なみに家族が欲しかったのではないか?」と問いかける。
地上では、アームストロング少将らが中央司令部を制圧したかに思えたが、そこへキング・ブラッドレイ大総統が単身、帰還する。ブラッドレイは、正面から戦車を突破し、バッカニア大尉、グリード、フーと戦い、致命傷を受ける。
5つの研究所を頂点にもつ錬成陣が発動し、エド、アル、イズミは人柱としてフラスコの中の小人の前に召還されてしまう。
鋼の錬金術師 第25巻
キング・ブラッドレイ「まったく人間というやつは‥‥思い通りにならなくて腹が立つ」
日食が始まろうとしていた。
プライドは無理矢理にマスタングに扉を開かせ、人柱としてフラスコの中の小人の前に連れてきた。マスタングは代価として視力を失った。
上では、ブラッドレイと傷の男の死闘が繰り広げられていた。
プライドは無理矢理にマスタングに扉を開かせ、人柱としてフラスコの中の小人の前に連れてきた。マスタングは代価として視力を失った。
上では、ブラッドレイと傷の男の死闘が繰り広げられていた。
鋼の錬金術師 第26巻
キンブリー「あなた、美しくない」
皆既日食が始まった。その瞬間、フラスコの中の小人を中心に黒い球体が中央司令部を、アメストリス全土を覆う‥‥「すばらしいエネルギーだ!! この私が抑えるだけで精一杯ではないか!! この力をもってして、この惑星の扉を開ける!!!!」
フラスコの中の小人は、アメストリス全人口5000万人の魂を使って、〈神〉を手に入れた。
だが、ホーエンハイムの反撃が始まる‥‥。傷の男は、ブラッドレイを倒すと、兄から受け継いだ力を使って「逆転の錬成陣」を発動させる。
エドは立ち上がり、フラスコの中の小人に向かって「好き放題やってく入れやがったな、この野郎。クソ真理と一緒に、ぶっとばす」と言い放つ。
賢者の石の材料を求めて地上に出たフラスコの中の小人だが‥‥。
フラスコの中の小人は、アメストリス全人口5000万人の魂を使って、〈神〉を手に入れた。
だが、ホーエンハイムの反撃が始まる‥‥。傷の男は、ブラッドレイを倒すと、兄から受け継いだ力を使って「逆転の錬成陣」を発動させる。
エドは立ち上がり、フラスコの中の小人に向かって「好き放題やってく入れやがったな、この野郎。クソ真理と一緒に、ぶっとばす」と言い放つ。
賢者の石の材料を求めて地上に出たフラスコの中の小人だが‥‥。
鋼の錬金術師 第27巻
エド「ちょっと行ってくるわ。鋼の錬金術師、最後の錬成にな!!」
フラスコの中の小人の一撃で、中央司令部の半分が吹っ飛んでしまう。それでも、全員が攻撃の手を緩めない。
エドは、右腕を破壊され動けなくなっていた。アルは肉体と融合し、対価となっていたエドの右腕が戻る。エドは「バッ‥‥カ野郎――ッ!!!」と叫びながら、術をフラスコの中の小人に叩き付ける。それを応援する仲間たち――グリードは「俺が欲しかったのは、こいつらみたいな仲間だったんだ」とつぶやく。
フラスコの中の小人はグリードを吸収するが、逆にグリードは自らの炭化能力を使って一番脆いボロ炭に変える。
ついにフラスコの中の小人は滅び‥‥そこに〈真理〉が現れ、「そして、私は“おまえ”だ」「だからおまえの言う通り、おまえにも絶望を与えるのだよ」と告げる。
エドはアルを取り戻すため、ふたたび〈真理〉へ向かう。〈真理〉はエドに問いかける。「だがどうやって人間ひとり引っ張り出す? 代価は?」――エドが出した答えは‥‥。

エドとの戦いで小さな本体を残したプライドは、ブラッドレイ夫人に渡された。
視力を失ったマスタングの前にドクター・マルコーが現れ、新たなイシュヴァール政策を行うことを条件に、賢者の石を通行料に視力を取り戻すことを提案する。
賢者の石を手に入れたリン・ヤオは、チャン家も他の家らの奴らもまとめて受け入れてやると言って、シンへ帰国する。
リゼンブールへ戻ったホーエンハイムは、トリシャの墓の前に座り込んでいた。それを見つけたピナコは、「バカたれが。なんて幸せそうな顔して、死んでんだい」とつぶやく。
生き残った傷の男に、北軍のマイルズ少佐は「歴史ある文化を死なせてはならん。文化の死は民族の死だ。おまえの手で民族を死から救え」と言う。
エドとアルがリゼンブールに戻ると、ウィンリィは「おかえりなさい」と泣き顔で抱きついてきた。

2年後‥‥大総統になったグラマンはブラッドレイ夫人を訪ね、セリムがやさしい子に育った様子を見る。
アルは、エリシア・ヒューズに会い、「10もらったら自分の1を上乗せして、11にして次の人へ渡す。小さいけど、僕達が辿り着いた『等価交換を否定する新しい法則』です」と言い、ザンパノとジェルソをともない、東のシンへ向けて旅立つ。
一方、エドは逆回りで、西へ向けて旅立とうとしていた。見送りに来たウィンリィに「等価交換だ。俺の人生、半分やるから、おまえの人生、半分くれ!」とプロポーズすると、ウィンリィは「等価交換の法則とかってバッカじゃないの? 半分どころか全部あげるわよ」と答える。

痛みを伴わない教訓には意義がない。人は何かの犠牲なしに何も得る事などできないのだから――しかしそれを乗り越え、自分のものにした時‥‥人は何にも代えがたい鋼の心を手に入れるだろう。
エドは、右腕を破壊され動けなくなっていた。アルは肉体と融合し、対価となっていたエドの右腕が戻る。エドは「バッ‥‥カ野郎――ッ!!!」と叫びながら、術をフラスコの中の小人に叩き付ける。それを応援する仲間たち――グリードは「俺が欲しかったのは、こいつらみたいな仲間だったんだ」とつぶやく。
フラスコの中の小人はグリードを吸収するが、逆にグリードは自らの炭化能力を使って一番脆いボロ炭に変える。
ついにフラスコの中の小人は滅び‥‥そこに〈真理〉が現れ、「そして、私は“おまえ”だ」「だからおまえの言う通り、おまえにも絶望を与えるのだよ」と告げる。
エドはアルを取り戻すため、ふたたび〈真理〉へ向かう。〈真理〉はエドに問いかける。「だがどうやって人間ひとり引っ張り出す? 代価は?」――エドが出した答えは‥‥。

エドとの戦いで小さな本体を残したプライドは、ブラッドレイ夫人に渡された。
視力を失ったマスタングの前にドクター・マルコーが現れ、新たなイシュヴァール政策を行うことを条件に、賢者の石を通行料に視力を取り戻すことを提案する。
賢者の石を手に入れたリン・ヤオは、チャン家も他の家らの奴らもまとめて受け入れてやると言って、シンへ帰国する。
リゼンブールへ戻ったホーエンハイムは、トリシャの墓の前に座り込んでいた。それを見つけたピナコは、「バカたれが。なんて幸せそうな顔して、死んでんだい」とつぶやく。
生き残った傷の男に、北軍のマイルズ少佐は「歴史ある文化を死なせてはならん。文化の死は民族の死だ。おまえの手で民族を死から救え」と言う。
エドとアルがリゼンブールに戻ると、ウィンリィは「おかえりなさい」と泣き顔で抱きついてきた。

2年後‥‥大総統になったグラマンはブラッドレイ夫人を訪ね、セリムがやさしい子に育った様子を見る。
アルは、エリシア・ヒューズに会い、「10もらったら自分の1を上乗せして、11にして次の人へ渡す。小さいけど、僕達が辿り着いた『等価交換を否定する新しい法則』です」と言い、ザンパノとジェルソをともない、東のシンへ向けて旅立つ。
一方、エドは逆回りで、西へ向けて旅立とうとしていた。見送りに来たウィンリィに「等価交換だ。俺の人生、半分やるから、おまえの人生、半分くれ!」とプロポーズすると、ウィンリィは「等価交換の法則とかってバッカじゃないの? 半分どころか全部あげるわよ」と答える。

痛みを伴わない教訓には意義がない。人は何かの犠牲なしに何も得る事などできないのだから――しかしそれを乗り越え、自分のものにした時‥‥人は何にも代えがたい鋼の心を手に入れるだろう。
レビュー

「痛みを伴わない教訓には意義がない」ではじまる冒頭の言葉が、物語の最後の最後で締めくくられる――錬金術の核となる「円」、それも「大団円」である。

物語は、エドとアルが、フラスコの中の小人が数百年の時間をかけて構築した壮大な謎を解いていくわけだが、1つの謎が解けると、次の謎が浮かんでくる。

物語は、エドとアルが、フラスコの中の小人が数百年の時間をかけて構築した壮大な謎を解いていくわけだが、1つの謎が解けると、次の謎が浮かんでくる。
それでいながら陰謀論にも宗教論にも陥らない。マイルズが、かつて僧兵であった傷の男に「歴史ある文化を死なせてはならん。文化の死は民族の死だ」と言ったように、強烈な人間礼賛の物語である。

主人公チームのキャラクターもそうだが、それを取り巻く大人たちの立ち位置と人間くささが、人間礼賛の物語をカラフルに染め上げる――。
権力を欲しているが、けっして仲間を見捨てないマスタング大佐。軍の高官に「貴方自身を信じなよ。貴方自身の魂に恥をかかせない生き方を選べばいいじゃない」と言う“通りすがりの主婦”イズミ・カーティス。 「これからこの世を背負っていく若者に、いまこの世を背負っている大人の、われらの生き様を見せんで何とする」と言うアームストロング少将。敵であるはずのキンブリーは「死から目を背けるな、前を見ろ。あなたが殺す人々の、その姿を正面から見ろ。そして忘れるな、敵もあなたのことを忘れない」と言い、キング・ブラッドレイも「私に鉄槌を下したくば、神の手なぞ借りず、自らの手で行え、人間!」と、やたら人間くさい。
作者の荒川弘さんは女性。そういえば、『鬼滅の刃』の作者、吾峠呼世晴さんも女性だが、子供を産むことができる女性だからこそ、揺るぎのない人間礼賛の物語を描けるのかもしれない。

巻末で、トリシャに再会したホーエンハイムが「もう俺達の役目は終わった。あとはこの世界が、子供達を強く育ててくれるさ」と言う――人間社会に不老長寿などない。人間は、いつかは死ぬ――連載開始当時小さかったうちの子が、現在は立派な社会人になった。どうか、強く遠くへ羽ばたいていってほしいと願う。

主人公チームのキャラクターもそうだが、それを取り巻く大人たちの立ち位置と人間くささが、人間礼賛の物語をカラフルに染め上げる――。
権力を欲しているが、けっして仲間を見捨てないマスタング大佐。軍の高官に「貴方自身を信じなよ。貴方自身の魂に恥をかかせない生き方を選べばいいじゃない」と言う“通りすがりの主婦”イズミ・カーティス。 「これからこの世を背負っていく若者に、いまこの世を背負っている大人の、われらの生き様を見せんで何とする」と言うアームストロング少将。敵であるはずのキンブリーは「死から目を背けるな、前を見ろ。あなたが殺す人々の、その姿を正面から見ろ。そして忘れるな、敵もあなたのことを忘れない」と言い、キング・ブラッドレイも「私に鉄槌を下したくば、神の手なぞ借りず、自らの手で行え、人間!」と、やたら人間くさい。
作者の荒川弘さんは女性。そういえば、『鬼滅の刃』の作者、吾峠呼世晴さんも女性だが、子供を産むことができる女性だからこそ、揺るぎのない人間礼賛の物語を描けるのかもしれない。

巻末で、トリシャに再会したホーエンハイムが「もう俺達の役目は終わった。あとはこの世界が、子供達を強く育ててくれるさ」と言う――人間社会に不老長寿などない。人間は、いつかは死ぬ――連載開始当時小さかったうちの子が、現在は立派な社会人になった。どうか、強く遠くへ羽ばたいていってほしいと願う。
(この項おわり)