『生協の白石さん』――ウィットに富んだ対話はアカデミック

白石昌則/東京農工大学の学生の皆さん=著
表紙 生協の白石さん
著者 白石昌則/東京農工大学の学生の皆さん
出版社 講談社
サイズ 単行本
発売日 2005年11月
価格 1,047円(税込)
ISBN 9784062131674
仙豆がほしい――大豆や小豆すら品揃えしていない生協に仙豆など望むべくもありません。空想上の豆とはきっぱりと決別し、日頃からの滋養強壮に励んで下さい。(ページ)

概要

紙に何かを書く人のイラスト(会社員)
2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)発のベストセラー本。白石さんのおかげで、東京農工大学の志願倍率が増えたという。
ただ、ネット(とくに2ちゃんねる)とマスメディア(書籍)は購読者の属性が異なる。書籍化される際、意図的に毒が抜かれているというか、当たり障りのないものとなっている。「電車男」でもその傾向があった。

「白石さん」の場合、ネットでは匿名の第三者が白石さんと学生のやり取りを生暖かく見つめる構図であったが、書籍では白石さん本人のコメントが掲載されている。マスメディアの宿命なのかもしれないが、匿名性が薄れているのである。これを吉と見るか凶と見るかで、自分の属性を知ることができるわけだが‥‥。
それはそれとして、「白石さん」の営業精神には学ぶべきものがある。
「仙豆がほしい」という要望に対し、「大豆や小豆すら品揃えしていない生協に仙豆など望むべくもありません。空想上の豆とはきっぱりと決別し、日頃からの滋養強壮に励んで下さい」と回答するあたり、モトネタを知りつつも、わざと外したウィットで返してしまうという、なかなか真似できない芸当だ。TwitterのようなテキストベースのSNS上で、白石さんのようなコミュニケーションができるようになりたいものである。
(2006年3月30日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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