『食料自給率の「なぜ?」』

末松広行=著
表紙 食料自給率の「なぜ?」
著者 末松広行
出版社 扶桑社
サイズ 新書
発売日 2008年12月
価格 770円(税込)
rakuten
ISBN 9784594058241
なぜ、水田で連作障害が起きないかというと、それは、水が次々入れかわることで養分が常に補給され、また、有害物質は水と一緒に流れ出てしまうからだ。水田は、実に優れた「生産装置」なのである。(133ページ)

概要

輸入のイラスト
日本の食糧自給率は、2007年度には40%と、主要先進国の中で群を抜いて低い。この問題は、国会やメディアでも取り上げられ、国民の関心も高まっている。
安全保障の観点からも、食料自給率は高い方がいいに決まっている。では、どうすれば高くできるのか――。

30年前の日本は、ここまで自給率が低かったわけではない。では、当時のような農業に戻せばいいのかというと、そういうわけにもいかない。当時に比べて食事メニューが変化してしまっているからだ。
本書の著者は農林水産省大臣官房食料安全保障課長――問題の中心にいる官僚である。食糧自給率の計算方法から、フードマイレージの考え方、輸入に伴うバーチャルウォーターの問題などを、具体的な事例をあげて解説する。もちろん、本書に解答があるわけではないのだが、食糧自給率の問題が一筋縄でいかないことだけはよくわかる。

解決への糸口は、おそらく、輸入飼料の問題なのだろう。『日本の「食」は安すぎる』で触れられていたが、飼料を「米」にするというのも1つの方法だろう。
(2009年6月2日 読了)
(この項おわり)
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