『なぜ僕は理科を好きになったのだろう』

柳田理科雄=著
表紙 なぜ僕は理科を好きになったのだろう
著者 柳田理科雄
出版社 集英社
サイズ 単行本
発売日 2006年10月31日頃
価格 1,540円(税込)
rakuten
ISBN 9784797671438
お金を貰って、自分の理想を追求する。(154ページ)

概要

科学・理科の実験のイラスト(男の子)
ウルトラマンやゴジラを純粋に科学的に分析した「空想科学読本」シリーズの原作者、柳田理科雄 (やなぎた りかお) さんによる自伝的エッセイ――科学に対する熱い想いが語られている。

著者の「理科雄」という名前はペンネームではない、紛れもない本名である。親が子どもに期待したことがよく分かる。
ソ連が世界初の有人宇宙飛行に成功した年に、柳田さんは生まれた。私より少しだけお兄さんであるが、科学全盛の時代に生まれたことは変わりない。ウルトラマンやマジンガーZで育ち、理科を勉強するようになった頃にUFO・超能力ブームがあった。海外のSF小説を原語で観たり読んだりできる頃にはスターウォーズやスタートレックが封切られた。
思えば幸せな時代を過ごしてきたものである。いまでも科学は万能だと信じているし、空想科学することは楽しい。

私は、ヒトの成り立ちを知りたくて、宇宙人を捕まえて比較解剖をしたいがために大学に入った――これは冗談などではない。比較実験を行い、再現性・普遍性を見いだすことが科学の使命だと、いまでも信じている。だから、地球上の生き物しか扱っていない生物学・医学は科学として不十分なのである。
しかし、私も著者と同じで、大学を中退してしまう。著者のように経営者にはならなかった。それは、私がやっていることが「お金を貰って、自分の理想を追求する」(154ページ)だということに、著者より早く気づいていたからに過ぎない。会社の利益に反し、論理的に矛盾のない(バグのない)システムをお客様に納品するというサラリーマン生活を、今後も続けていくだろう。私は金融工学などというものは永久機関より怪しげだと考えているので、そのうちまた転職を余儀なくされるかもしれないが(苦笑)。

しかし、もし本物の宇宙人の死体が見つかったら、もはや研究活動に参加はできないだろうが、せめてその場に立ち会いたいと思っている。
(2009年1月28日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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