『不良定年』――善人定年となるなかれ

嵐山光三郎=著
表紙 不良定年
著者 嵐山光三郎
出版社 新講社
サイズ 単行本
発売日 2005年02月
価格 1,571円(税込)
rakuten
ISBN 9784860810672
1年に中休みを入れるためには、6月30日を中晦日とし、翌7月1日を中正月として、2日連続の休日にしたらどうか。(191ページ)

レビュー

リーゼントの不良のイラスト
20数年ぶりに[嵐山光三郎:wkipedia]さんの本を読んだ――とうに還暦を過ぎているにもかかわらず、豪腕(豪筆)ぶりは健在である。次から次へと独特な発想が生まれてゆく。

まずは、「昔は定年と書かずに停年と書いた」(6ページ)そうである。これが本当かどうかは知らない。しかし、「停は『とまること』で、車がガソリンぎれすれば停車する、電気が止まれば停電、死ぬときは心臓鼓動停止で、学校で悪いことをすれば停学になった」(笑)。
「『旅の帰り方』という本があっていい」(173ページ)。なぜなら、「旅から帰るときはガッカリ感があり、それを克服するのが課題」だからだ。旅好きの人なら分かるでしょ、この気持ち。
旅先で、エジプト発掘で有名な吉村作治・早大教授に間違われ、「吉村作治」とハンカチにサインしてしまったという。滅茶苦茶である。

「1年に中休みを入れるためには、6月30日を中晦日とし、翌7月1日を中正月として、2日連続の休日にしたらどうか」(191ページ)――うん、これはいい。6月には祝日がないから、ぜひやってもらいたい。

嵐山さんに言わせると、「ケイタイは戦後最強の新興宗教」(210ページ)となる。

一方、「ぼくは絶版王の異名を誇り、ロングセラーはあまり多くない。文庫本で書店に出ているのは、新潮文庫とちくま文庫、光文社文庫など15冊ぐらいで、あとはみんな絶版だ」(221ページ)。たしかに本書も絶版になった。そんなんで良いんですか、嵐山さん?

で、嵐山さんがこの本で言いたかったのは「善人定年となるなかれ」(234ページ)ということだそうだ。ううむ。いまさら不良にはなれないし、死ぬまで働くしかないか――。
(2010年11月10日 読了)
(この項おわり)
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