『イチローvs松井秀喜』――二人はライバルなのか?

古内義明=著
表紙 イチローvs松井秀喜
著者 古内義明
出版社 小学館
サイズ 新書
発売日 2010年04月
価格 792円(税込)
rakuten
ISBN 9784098250783
孟子に「王道」と「覇道」という2つの言葉がある。辞書を引くと、王道は「仁義に基づき国を治めること」、覇道は「武力をもって国を治めること」といった意味だ。私はその言葉こそ、2人の生き様を体現していると思う。(204ページ)

レビュー

イチローvs松井秀喜
大リーグで活躍するイチロー松井秀喜は本当に不仲なのか。高校時代に邂逅した2人は、ともにプロ野球選手として頂点を極めた。メジャーリーガーとなった後も、試合前には仲良く談笑し旧交を温めていた。だが、2006年のWBCを機に、その姿は見られなくなった。日本から海を渡ったヒーロー2人は、なぜ相容れぬ仲となったのか――ニューヨークを拠点にメジャーリーグを16年間取材してきた筆者が、この問題を明らかにする。
イチローは昭和48年、松井は昭和49年の生まれ。ともに外野手で左打ち。共通点は多い。
だがいつしか2人はメジャーリーグで対戦しても、談笑はおろか目も合わさなくなった。
日本ではタブー視されたが、アメリカでは公然と「不仲説」が唱えられた。
筆者は、両雄の「生き様」が正反対であることに原因を求めた。
野球人としてのイチローはオリックス、マリナーズという地方球団に属しながらも、安打という「記録」を積み重ね現在の地位を築く。一方、松井は優勝を至上命題とする巨人、ヤンキースの主軸を担い、勝負を決すホームランを放つことでファンの「記憶」に残る選手となった。
それだけではない。生い立ち、ファッション、ファンからの愛され方、等々。二人の生き様は正反対なのだ

2009年、松井はエンゼルスへ移籍した。イチローが在籍するマリナーズと同じ地区のチームだ。本書を読んでおくと、二人の登場する試合がより面白くなるだろう。
(2010年9月8日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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