『電車のデザイン』――JR九州の列車を中心に

水戸岡鋭治=著
表紙 電車のデザイン
著者 水戸岡鋭治
出版社 中央公論新社
サイズ 新書
発売日 2009年12月
価格 1,078円(税込)
rakuten
ISBN 9784121503367
まず言葉として理解してもらってから、色やカタチを紐解いていけばいい。(153ページ)

概要

九州新幹線「つばめ」800系の車内
九州新幹線「つばめ」800系の車内
著者の水戸岡鋭治 (みとおか えいじ) さんは、新幹線800系つばめや787系リレーつばめ、883系ソニック、885系かもめ、そしてSLや「たま電車」まで、20年あまりにわたって話題の車両デザインを手がけ、ブルネル賞、ブルーリボン賞、ローレル賞など数々の賞を受賞したデザイナーである。
普段デザイナーに対しているイメージとは違い、平易で分かりやすい言葉で自らの仕事を説明している。それは「わたしたちデザイナーが感性という言葉で表現するならば、活字はいわば理性。まず言葉として理解してもらってから、色やカタチを紐解いていけばいい」(153ページ)という、著者のスタンスによるものであろう。
当サイトの「乗り物大図鑑 - JR九州」でも紹介しているが、著者の車両デザインはとても印象に残る。JR吸収の車両の種類はそれほど多くないのに、どれも個性的である。
そして、著者は「コストパフォーマンス意識の徹底」を念頭に置いているというように、内装は立派に見えても実はコストはかかっていない。たとえば九州新幹線「つばめ」800系の場合、内装の木材等に若干傷のある材料を大量に仕入れることで、むしろコストを低くしているという。もちろん不燃処理が施されている。
プロのデザイナーが本気で仕事に取り組むと、こんなに凄いものができるのだと感心する。
(2010年5月18日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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