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旧石器遺跡「捏造事件」 | ||
著者 | 岡村道雄 | ||
出版社 | 山川出版社(千代田区) | ||
サイズ | 単行本 |
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発売日 | 2010年11月 | ||
価格 | 1,760円(税込) | ||
ISBN | 9784634150089 |
このころの私は、強い感動と共に発見の成果を信じ込み、懐疑的に物事を見る冷静な心を失っていたのかもしれない。(73ページ)
概要

レビュー
本書を読んでいくと、考古学の発掘の手順の複雑さがよく分かる。手順が複雑であるがゆえに、発掘担当者に対する性善説で作業が回っていたようだ。このため、単純な捏造も見抜けなかったのだろう。
こうした事故が再発することのないよう、著者は具体的な提言をしている。

本書の終盤で、著者が藤村に再会した様子が記されている。この部分だけは小説めいているが、逆にその書き方がゆえに、著者や藤村が失った10年の歳月の重みを受け取ることができた。
旧石器遺跡の研究については、藤村が捏造を始めた30年前に立ち戻っているという。これは大変な痛手である。歴史の教科書の冒頭は、私が学んだ時のものと、私の子どもが学んでいる内容が大して変わらないということを意味する。
本当の“日本の始まり”はどこにあったのか、何十年かかってもいいから、じっくり入念に調べ上げてほしいと願う。
こうした事故が再発することのないよう、著者は具体的な提言をしている。

本書の終盤で、著者が藤村に再会した様子が記されている。この部分だけは小説めいているが、逆にその書き方がゆえに、著者や藤村が失った10年の歳月の重みを受け取ることができた。
旧石器遺跡の研究については、藤村が捏造を始めた30年前に立ち戻っているという。これは大変な痛手である。歴史の教科書の冒頭は、私が学んだ時のものと、私の子どもが学んでいる内容が大して変わらないということを意味する。
本当の“日本の始まり”はどこにあったのか、何十年かかってもいいから、じっくり入念に調べ上げてほしいと願う。
(2011年2月8日 読了)
参考サイト
- 旧石器遺跡「捏造事件」:山川出版社
- 旧石器発掘ねつ造関係遺跡の検証調査結果とその取扱い:宮城県公式ウェブサイト
(この項おわり)