『仕事力10倍アップのロジカルシンキング入門』

村沢義久=著
表紙 仕事力10倍アップのロジカルシンキング入門
著者 村沢義久
出版社 毎日新聞出版
サイズ 単行本
発売日 2008年07月
価格 1,047円(税込)
rakuten
ISBN 9784620318974
論理的な思考、コミュニケーションを実現するためには、基本的に帰納法か演繹法のどちらか、あるいは、それらの組み合わせを使うしかない。(35ページ)

概要

著者は、東京大学工学部卒業、同大学院情報工学研究科修了して、米スタンフォード大学でMBA取得後、コンサルティング畑で活躍されている村沢義久さん。MBAでも取り上げられるロジカルシンキングだが、理系人間が書いたものは読みやすい。
冒頭で、「5つのツールを中心に学ぶ」(26ページ)と宣言――
  1. 帰納法と演繹法(経験でものを言うか、法則に頼るか)
  2. ピラミッド構造(論理の積み上げで考える)
  3. MECE(漏れなく、重複せず)
  4. 相関関係と因果関係(鶏が先か、卵が先か)
  5. MODD(パワーポイントの基本)

レビュー

まず、帰納法演繹法だが、これは理系人間には言わずもがなの概念。村沢さんは、「これがしっかりしていない主張や報告は、説得力がない」(35ページ)と言い切る。
ただし、「これらの思考法にも限界があることを理解するべき」(59ページ)と注意喚起している。たとえば、「帰納法による仮説の構築は、あくまでも経験則だから1つの例外の出現で崩れてしまう」「演繹法で、『絶対』と思われた大前提が、実は、帰納法による経験則(個々のデータや経験の積み重ね)であった場合など、状況の変化によりデータが変化し、大前提が狂ってしまうことがある」からだ。
この他にも、「『相関関係』を『因果関係』と混同しないこと」(120ページ)などの注意点がちりばめられており、助かる。

5つめの「MODDとは、Message-Oriented and Data-Drivenの略。私の造語」(137ページ)だそうである。PowerPointスライド作成のテクニックで、「何を言いたいのかはっきりさせろ」「データでものを言え」ということになる。

最後にロジカルシンキングのリスク対策として、「多数派に対してあえて批判や反論をする」「悪魔の代弁者」(152ページ)や、「失敗に備えるための『プランB』」(156ページ)の効用をあげる。

全体的にとてもコンパクトにまとまっていて、明日からでもビジネスに応用できそうだ。
(2011年11月27日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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