『世界史をつくった海賊』――海賊はなぜ英雄視されるか

竹田いさみ=著
表紙 世界史をつくった海賊
著者 竹田いさみ
出版社 筑摩書房
サイズ 新書
発売日 2011年02月
価格 880円(税込)
rakuten
ISBN 9784480065940
イギリスは、海賊行為という手法で豊かさを追求し、200年以上にわたる歳月をかけて大英帝国(British Empire)を築いた。(7ページ)

概要

海賊のイラスト
映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」や漫画「ワンピース」の海賊たちは、なぜ英雄として描かれるのだろうか? その疑問を、本書では史実に基づいて紐解いてゆく。

レビュー

歴史で学ぶ「大航海時代」――エリザベス1世統治下のイギリスがスペインの無敵艦隊を破り、インド航路が発見され東インド会社が設立される。が、このいずれにも海賊が関わっている。無敵艦隊を破ったフランシス・ドレーク提督は女王公認の海賊だったし、イギリス東インド会社の執行委員は全員海賊である。

また、「イギリスの金融街ザ・シティは、そもそも海賊出身者が金融を動かしてきた点で『海賊ビジネス』の元祖である」(11ページ)。海賊たちが「コーヒーを飲みながらビジネス・トークをする場所がコーヒーハウスであった。中でも有名だったのがロイズ・コーヒーハウスである。ロイズといえば、世界最大の船舶保険会社として世界中の保険会社を巻き込み、巨大なネットワークを構築しているが、その起源を遡ってみると、もともとは海賊たちが立ち寄る1軒の小さなコーヒーハウスに過ぎなかった」(165ページ)。

産業革命以降のイギリスの発展は、こうした海賊の働きによってもたらされたとしても過言ではないのだ。
(2011年5月7日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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