『徹底抗戦』――ホリエモンか語る事件の真相

堀江貴文=著
表紙 徹底抗戦
著者 堀江貴文
出版社 集英社
サイズ 単行本
発売日 2009年03月
価格 1,047円(税込)
rakuten
ISBN 9784087805185
まさかラジオ中継で自分の保釈を知るとは思わなかったよ‥‥(122ページ)

概要

サイバー戦争のイラスト
2006年に逮捕・起訴され、現在、上告中のホリエモンこと堀江貴文氏が、逮捕後初めて語るニッポン放送買収、総選挙出馬、逮捕、拘置所暮らし、裁判の経緯を綴ったものである。
マスコミでは「ライブドア事件」として大々的に報道されたが、あれから4年以上が経過している。あらためて本書を読むと、メディアの報道が一方的ではなかったのかという疑問を感じた。

レビュー

前半では拘留中の生活について細かく記されている。
「とにかく独房にいてつらいのは、人と話せないことだ」(90ページ)という。「勾留期間も40日を超えると、精神安定剤や睡眠薬のお世話になる日が増えてきた」(114ページ)とも書いている。
それでも無罪を主張する背景には、「私はすでに社長を辞任して『経営責任』をとったつもりだ。ただ、断じて、刑事責任をとるつもりはない。『経営責任があるから刑事責任をとれ!』という論理に屈することはできないし、このようなことが続くようなら、日本には『起業家』という人は出てこなくなる」(141ページ)という思いがあるからだ。「そんなことで私は『徹底抗戦』を決めた」という。

ホリエモンは「業績も好調で将来も有望なライブドアを突然攻撃するような今回の捜査が異常であったことを理解してほしい」(173ページ)と語り、検察の強制捜査でライブドア株主が受けたダメージは計り知れないものがあり、さらには東証のシステムダウンまで引き起こした責任が捜査側にあると主張する。

本書の内容が「真実」なのかどうかは神のみぞ知る、である。
だが、前々から疑問に感じていたのだが、公判中には被告への映像によるインタビューはなぜ行われない(できない?)のだろうか。一方で、本書のような手記の形での公表は行われている。これは読者の疑問を解決しない一方通行のコミュニケーションである。だが、マスメディアの報道も一方通行であることを考えると、割を食っているのは読者/視聴者の方ではないだろうか。
わたしたちが知りたいのは「事実」であって、メディアや容疑者の「主張」ではない
(2011年2月15日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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