『ドラゴンフライエフェクト』――医療・教育分野に応用しよう

ジェニファー・アーカー,アンディ・スミス=著
表紙 ドラゴンフライエフェクト
著者 ジェニファー・アーカー/アンディ・スミス
出版社 翔泳社
サイズ 単行本
発売日 2011年08月
価格 2,200円(税込)
rakuten
ISBN 9784798123622
社会利益とお金儲けは両立しないという誤った思い込みのせいで、多くの人が苦労している。そんな誤った考えはもう捨てよう。(209ページ)

概要

オニヤンマのイラスト
ドラゴンフライ効果とは、トンボ(ドラゴンフライ)のように4つの羽根が強調して羽ばたくことで、自由に空を舞い、どこまでも飛んで行けるという意味を持たせた言葉だ。4つの羽根を、焦点、注目、魅了、行動という4つの要素に対応させており、以降の章で4つの内容を具体的に、実例を見せながら解説する。また、FacebookやTwitterの使い方についても触れられている。
ドラゴンフライ効果の真の目的は、社会利益と営利活動が結びつけることにあるという。ジェニファーさんは、利潤を得ることと、社会に貢献することとは、同じ座標軸の両極にあるのではないとしたうえで、それらは別々の次元にあるものであり、共存できるもの、共存すべきもの、同時に追求されるべきものだと説く。

レビュー

チーム・サミール、オバマの大統領選挙、アレックス・レモネードスタンド基金といった豊富な成功事例を引き合いに出し、シャルネットワークの背後で人々を動かしているものは何かと考えたとき、ドラゴンフライ効果が生まれているという。
著者は、心理学やマーケティング分野の専門家ジェニファー・アーカーと、テクノロジー分野のマーケティング専門家アンディ・スミスの夫婦。

ドラゴンフライ効果のそれぞれの要素に対し次のようにデザイン原則という概念を使って整理されており、じつに読みやすい。

1.焦点
 (1)人間的
 (2)実行可能
 (3)検証可能
 (4)明確
 (5)幸福
2.注目
 (1)私的さ
 (2)意外性
 (3)視覚
 (4)感覚
3.魅了
 (1)ストーリーを語る
 (2)共感する
 (3)信頼を得る
 (4)適切なメディアを使う
4.行動
 (1)簡単に
 (2)楽しく
 (3)相手に合わせる
 (4)オープンに

ドラゴンフライ効果は、個人のSNSを活性化させることやマーケティングビジネスを成功させる効果を発揮することもできるが、真なる目的は「社会利益と営利活動が結び」(209ページ)つけることにあるという。ジェニファーさんは、「利潤を得ることと、社会に貢献することとは、同じ座標軸の両極にあるのではない。それらは別々の次元にあるものであり、共存できるもの、共存すべきもの、同時に追求されるべきものだ」と主張する。

医療や教育といった、今までビジネスと相容れないと考えられてきた分野にSNSを導入し、ドラゴンフライ効果を適用することで、ビジネスとして持続可能な社会貢献活動ができるかもしれないと感じた。最近読んだ『新IT医療革命』で、孫正義ソフトバンク社長が、まさにこの分野に進出すると豪語していたが、その際には是非ドラゴンフライ効果を応用してもらいたい。
(2012年1月30日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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