![]() |
「IT断食」のすすめ | ||
著者 | 遠藤功/山本孝昭 | ||
出版社 | 日経BPM(日本経済新聞出版本部) | ||
サイズ | 新書 |
![]() ![]() |
|
発売日 | 2011年11月 | ||
価格 | 935円(税込) | ||
ISBN | 9784532261405 |
現状のIT予算を10%減らし、それを出張費にまわすことをおすすめする。(187ページ)
概要


山本さんと遠藤さんは、ITが生産性を大幅に下げている現象を ICF と BLT と名付ける。ICFはInformation and Communication Flood(情報とコミュニケーションの洪水)――文字通り、CCで送られてくる大量のメールと、コピペで作成された大量の資料を指す。そして、BCTとは「バカのロングテール」――どうてもいい些末な情報を、さも大事であるかのように報告する動きを指す。このネーミングは面白い。
ICFやBLTにより、「事実を知ったと錯覚し、実際には与えられた事実の断片的情報を、現場感なしに鵜呑みにするだけとなってしまう」(68ページ)と警鐘を鳴らす。
これには同感だ。とくに、現実の社会経験がとぼしい子どもたちが中心の教育現場では、できればITは使わないほうが良い。生の体験を多く積ませるべきだ。その意味では、日本企業が大切にしてきた「三現主義」(現場・現物・現実)は、教育現場でも重要視すべきだ。
これには同感だ。とくに、現実の社会経験がとぼしい子どもたちが中心の教育現場では、できればITは使わないほうが良い。生の体験を多く積ませるべきだ。その意味では、日本企業が大切にしてきた「三現主義」(現場・現物・現実)は、教育現場でも重要視すべきだ。
レビュー
著者たちはまた、ITがツールであると主張する。したがって、「ITを主役の座に押し上げるCIOなどというポストは不要」(117ページ)と断じる。
私もIT業界に25年ほどいるが、先輩から「ITは魔法の杖ではない」と戒められたことがある。この言葉の意味は、ITを導入すれば何でもできるというというのは幻想だということ。もうひとつの意味は、ITプロフェッショナルは魔法使いのような超人的能力を持っているわけではないということ。
ITは所詮はツールに過ぎない。それを使う人次第だということだ。

後半では、職場でメールやPCを使わない「IT断食」の処方箋を示している。
ただ、これは、少なくとも私の職場ではやらない方がいいと思った。営業や技術担当者が全国各地に散らばっているし、そもそもシステム製品を導入する立場にある人間が、IT断食をしたのでは仕事にならないからだ。
Excelは資料作成の頼もしい味方だし、洪水のように押し寄せるCCメールはフィルタリングでかわしていける。
ただ、本書を読む前から、スケジュールは手帳に、会議時のメモ取りはB5ノートにしている。リアルな人と会う約束や会話は、アナログで記録した方が、自分としては整理しやすいと感じているからだ。
「枚数ばかりが多い資料は、作成に手間がかかるうえ、プリントアウト代もばかにならない」(186ページ)と述べられているが、たしかにシステム屋が作る資料はページ数が多くなりがちだ。5年前の私も、PowerPointで膨大なプレゼン資料を作っていた。だが、あるとき、ITコンサルタントが行ったプレゼンに負けた。相手はA3用紙1枚の資料で臨んできた。その資料はプロのデザイナーに作成させたものだったのだ。以来、私はプレゼン資料のページ数減らすことを心に誓った。

最後に、ダイキン工業の取締役副社長である川村群太郎氏の言葉として、「ITは、手段として手助けにはなりますが、重要なのはそこではありません。結局、人は強い思いがあるからこそつながり、力になるんです。その思いが人を成長させ、組織を成長させるのだと思います」(210ページ)と結んでいる。
私もIT業界に25年ほどいるが、先輩から「ITは魔法の杖ではない」と戒められたことがある。この言葉の意味は、ITを導入すれば何でもできるというというのは幻想だということ。もうひとつの意味は、ITプロフェッショナルは魔法使いのような超人的能力を持っているわけではないということ。
ITは所詮はツールに過ぎない。それを使う人次第だということだ。

後半では、職場でメールやPCを使わない「IT断食」の処方箋を示している。
ただ、これは、少なくとも私の職場ではやらない方がいいと思った。営業や技術担当者が全国各地に散らばっているし、そもそもシステム製品を導入する立場にある人間が、IT断食をしたのでは仕事にならないからだ。
Excelは資料作成の頼もしい味方だし、洪水のように押し寄せるCCメールはフィルタリングでかわしていける。
ただ、本書を読む前から、スケジュールは手帳に、会議時のメモ取りはB5ノートにしている。リアルな人と会う約束や会話は、アナログで記録した方が、自分としては整理しやすいと感じているからだ。
「枚数ばかりが多い資料は、作成に手間がかかるうえ、プリントアウト代もばかにならない」(186ページ)と述べられているが、たしかにシステム屋が作る資料はページ数が多くなりがちだ。5年前の私も、PowerPointで膨大なプレゼン資料を作っていた。だが、あるとき、ITコンサルタントが行ったプレゼンに負けた。相手はA3用紙1枚の資料で臨んできた。その資料はプロのデザイナーに作成させたものだったのだ。以来、私はプレゼン資料のページ数減らすことを心に誓った。

最後に、ダイキン工業の取締役副社長である川村群太郎氏の言葉として、「ITは、手段として手助けにはなりますが、重要なのはそこではありません。結局、人は強い思いがあるからこそつながり、力になるんです。その思いが人を成長させ、組織を成長させるのだと思います」(210ページ)と結んでいる。
(2012年6月23日 読了)
参考サイト
- 「IT断食」のすすめ:日本経済新聞出版社
(この項おわり)