『困った隣人 韓国の急所』――過去を反省しない国民性

井沢元彦・呉善花=著
表紙 困った隣人 韓国の急所
著者 井沢元彦/呉善花
出版社 祥伝社
サイズ 新書
発売日 2013年03月
価格 902円(税込)
rakuten
ISBN 9784396113131
日本と朝鮮の国民性が決定的に違ってしまった最大の要因が朱子学にあると思います。(133ページ)

概要

太極旗
本書は、独特の史観を展開する小説家の井沢元彦さんと、韓国生まれの評論家・呉善花 (オ ソンファ) さんの対談形式をとっている。
いろいろな国の人とビジネスをしてきたが、なぜか韓国人に限って日本に対する理解度が低いと感じてきた。本書を読んで、その理由の一端が分かったと共に、自らの反省点も浮かび上がってきた。

レビュー

孔子
冒頭、なぜ韓国大統領はまともに余生を全うした人がいないのか、という疑問からスタートする。
呉さんは、「朝鮮半島ではひっきりなしに外国からの侵略を受けてきましたので、朝鮮半島の者たちにも中国人と同じように、国家というものは信じられない、信用できるのは家族だけという意識が根強くあります」(46ページ)という歴史的背景をあげ、大統領一族が腐敗にまみれるのは、「身内で固めるのではなくて、身内しか信用できない社会が先にある」(39ページ)と指摘する。これを井沢さんは「要するに韓国の大統領ファミリーはマフィアなのですね」(27ページ)という。
呉さんは、韓国で血縁者の利益を第一義とするのは、外国からの侵略だけでなく儒教の影響が大きいと説く。同じ儒教の国である日本は、「忠か孝かとなれば私を捨てて大義に就く、血縁を超えて忠を優先する、という流れが大勢」(83ページ)だったとする。
井沢さんは「儒教のよくない考えの一つに労働蔑視があります」(98ページ)と指摘する。
儒教時代の武士は食わねど高楊枝であったが、身体の鍛錬は怠らなかった。韓国の場合、そういうこともなかったため、自転車に乗る人が極端に少ないという。
日本統治時代に労働やスポーツが奨励されたが、それが逆に日本への根強い反感の原因になっているのかもしれない。

韓国では詐欺や凶悪犯罪も多く、井沢さんは「韓国の人口は日本の38%ほどしかないのに、すべての犯罪について件数が日本よりも多いのは驚き」(57ページ)と述べている。
輸出で稼いだ富が財閥に集中し、貧富の差が拡大している点も問題だ。
道徳を重んじる儒教の国で、なぜこれほど犯罪が多いかというと、呉さんによれば「普遍主義というか原理主義というか、そういう道徳絶対主義なんです。そうなりますと、どうしても人間の内面の心の動きが封じ込められてしまいます」と指摘する。ガス抜きができないから、犯罪となって噴出しているのである。自殺者が多いのも、根っこは同じだと思う。

呉さんは、戦後、韓国の反日民族主義が最も頼りにしていたのは「反日の当事国である日本国内の左翼勢力」(149ページ)だったと指摘する。「東京裁判が終了すると、アメリカをはじめとする連合国はいずれも反日思想などふりかざしはしませんでしたから」だ。
現代日本において左翼勢力は弱体化しているが、それに代わって進歩主義者が韓国の反日民族主義と連携していることは明らかだ。

井沢さんは、「日本人には『人類みな同じ』という日本人特有の一方的な考えがあります」と指摘した上で、それを韓国に強要したために反日民族主義につながったと説きます。
これは真理だろう。私は他国の歴史・文化を学ぶ努力はしているつもりだが、「人類皆兄弟」と考えているし、宗教を軽く見ているから、本音の部分で相手を理解できていないかもしれない。反省点である。
ただ、井沢さんが言うように「韓国が戦後70年近く経つでもなお反日キャンペーンを止めないのは、何よりも日本という攻撃ターゲットがなくなると、韓国は民族が解体してバラバラになってしまうから」(182ページ)が事実だとすると、わが国がいくら韓国に譲歩したとしても、反日運動はなくならないだろう。これは、仮想敵国を求めてやまないアメリカに被る。世界にとって迷惑なことである。
日本人として、相手国の歴史・文化・宗教を理解した上で、「人類みな同じ」として恒久平和を願いたい。

最後に呉さんは日本人について、「日本人は何かといえば衝突を避けようとして、言いたいことをあまり言わない。それで場をとりつくろおうとして謝ったり、相手の下手に出ようと謙虚な姿勢をとろうとしたりする」(256ページ)と指摘する。つまり、日本人は相手の話を本当に聞こうとしないというのである。
「話し上手は聞き上手」と言われるように、私も聞き上手でありたいと願っている。これは、同じ日本語を話す日本人相手だけでなく、日本語によるコミュケーションが不得意な外国人へも広げなければならないと感じさせられた。
(2013年7月7日 読了)

参考サイト

(この項おわり)
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