![]() |
海はどうしてできたのか | ||
著者 | 藤岡 換太郎 | ||
出版社 | 講談社 | ||
サイズ | 新書 |
![]() ![]() |
|
発売日 | 2013年02月21日頃 | ||
価格 | 902円(税込) | ||
ISBN | 9784062578042 |
実は、水は宇宙からやってきたのです。(48ページ)
概要
著者は、地球科学が専門の藤岡換太郎さん。しんかい6500に51回乗船し、太平洋、大西洋、インド洋の三大洋初潜航を達成した方だ。
藤岡さんは私と同世代だが、「私が小学校のころには、地球は約20億年前にできたとされていました」(25ページ)という。子どもの頃の地学の知識は、どんどん変わってゆくのだ。
藤岡さんは私と同世代だが、「私が小学校のころには、地球は約20億年前にできたとされていました」(25ページ)という。子どもの頃の地学の知識は、どんどん変わってゆくのだ。
レビュー
第1部と第2部では、地球が誕生してからの46億年を1年に換算し、カレンダー上で地球史氏を分かりやすく説明してゆく。
1月12日に月が誕生し、原始の海マグマオーシャンから海洋が誕生したのは2月9日のこと。海の「水は宇宙からやってきた」(48ページ)という。マグマオーシャンが冷えるとき、「1時間に100mmの雨が6年間」(53ページ)降り続いたという。
海ができて間もなく、2月25日に最初の生命が誕生する。だが、当時の「海底には、酸素がなかった」(66ページ)という。強力な酸化作用のある酸素は、原始の生命にとって有毒物質であり、むしろ酸素がない環境の方が生命の誕生に適していたわけだ。
酸素が発生するのは、それから3ヶ月後の5月31日のことだ。「光合成をする生物であるシアノバクテリア」(71ページ)が登場したためである。
「現在知られているもっとも古い超大陸ができたのは、約19億年前、地球カレンダー上では『8月3日』のこと」(85ページ)だった
その後、地球は海底1000メートルまでが凍結するという2度にわたる「スノーボールアース」を経験し、「約7億年前のスノーボールアースを境とする酸素の急激な増大をもって、長かった先カンブリア時代は終わりを告げ、現在へと続く顕生代の扉が開かれます」(94ページ)。
現在の大陸の祖先である超大陸「パンゲア」の形成から「(地球カレンダーで)1日後の『12月12日』、地球上に生命が誕生して以来、最大の絶滅」(104ページ)が起きた。「なかでも、ベルム紀末の場合は規模が桁ちがいでした。なんと、種の96%が絶滅した」(104ページ)という。
同時に「海洋の酸素がきわめて乏しくなる『海洋無酸素事件』」(106ページ)が起きた。
12月13日に恐竜が出現するが、12月26日に「直径10kmにも達する巨大な隕石が、現在のメキシコ・ユカタン半島に衝突」(111ページ)したことで絶滅する。
ホモ・サピエンスが登場したのは、12月31日の午後11時37分だ。

第3部では海水の進化を解説する。
現在の海水の成分である塩化ナトリウムは、「長石という鉱物は、風化や雨水などによる化学的な侵食などで分解すると、粘土鉱物に変化します。その際にナトリウムを放出し、それがイオンとなって川の水に溶け込みます。それが海に注がれ」(145ページ)ることによってナトリウムが、「火山活動によってたえず塩酸が供給」されることによって塩素が供給されている。

第4部では未来の海の様子を予測する。
現在、「大量の水を含んだプレートが海前から地球の内部へと引きずり込まれ、地下深くのマントルへ、そしてさらに深部へと沈み込んでいく」(184ページ)が、ローソン石という含水鉱物になり再び地表に戻ることで、水は循環している。
ところが、このまま地球が冷えていくと、10億年後には「ローソン石はその中に水を含んだまま、分解しなくなってしまう」(187ページ)ため、海が干上がってしまうという。火星がそのような状態ではないかという。

藤岡さんは最後に、「いくつもの奇跡によって誕生し、進化をとげてきた太陽系唯一の『水の惑星』、海の恵みによって無数の命が生を植歌するこの星を、地球カレンダーの『最後の23分』に現れたにすぎないわたしたちが破壊してしまう――そのことのほうが、さきにあげた海や地球の終駕のシナリオよりも、よほどおそろしいことに私には思えます」(194ページ)と警鐘を鳴らす。
1月12日に月が誕生し、原始の海マグマオーシャンから海洋が誕生したのは2月9日のこと。海の「水は宇宙からやってきた」(48ページ)という。マグマオーシャンが冷えるとき、「1時間に100mmの雨が6年間」(53ページ)降り続いたという。
海ができて間もなく、2月25日に最初の生命が誕生する。だが、当時の「海底には、酸素がなかった」(66ページ)という。強力な酸化作用のある酸素は、原始の生命にとって有毒物質であり、むしろ酸素がない環境の方が生命の誕生に適していたわけだ。
酸素が発生するのは、それから3ヶ月後の5月31日のことだ。「光合成をする生物であるシアノバクテリア」(71ページ)が登場したためである。
「現在知られているもっとも古い超大陸ができたのは、約19億年前、地球カレンダー上では『8月3日』のこと」(85ページ)だった
その後、地球は海底1000メートルまでが凍結するという2度にわたる「スノーボールアース」を経験し、「約7億年前のスノーボールアースを境とする酸素の急激な増大をもって、長かった先カンブリア時代は終わりを告げ、現在へと続く顕生代の扉が開かれます」(94ページ)。
現在の大陸の祖先である超大陸「パンゲア」の形成から「(地球カレンダーで)1日後の『12月12日』、地球上に生命が誕生して以来、最大の絶滅」(104ページ)が起きた。「なかでも、ベルム紀末の場合は規模が桁ちがいでした。なんと、種の96%が絶滅した」(104ページ)という。
同時に「海洋の酸素がきわめて乏しくなる『海洋無酸素事件』」(106ページ)が起きた。
12月13日に恐竜が出現するが、12月26日に「直径10kmにも達する巨大な隕石が、現在のメキシコ・ユカタン半島に衝突」(111ページ)したことで絶滅する。
ホモ・サピエンスが登場したのは、12月31日の午後11時37分だ。

第3部では海水の進化を解説する。
現在の海水の成分である塩化ナトリウムは、「長石という鉱物は、風化や雨水などによる化学的な侵食などで分解すると、粘土鉱物に変化します。その際にナトリウムを放出し、それがイオンとなって川の水に溶け込みます。それが海に注がれ」(145ページ)ることによってナトリウムが、「火山活動によってたえず塩酸が供給」されることによって塩素が供給されている。

第4部では未来の海の様子を予測する。
現在、「大量の水を含んだプレートが海前から地球の内部へと引きずり込まれ、地下深くのマントルへ、そしてさらに深部へと沈み込んでいく」(184ページ)が、ローソン石という含水鉱物になり再び地表に戻ることで、水は循環している。
ところが、このまま地球が冷えていくと、10億年後には「ローソン石はその中に水を含んだまま、分解しなくなってしまう」(187ページ)ため、海が干上がってしまうという。火星がそのような状態ではないかという。

藤岡さんは最後に、「いくつもの奇跡によって誕生し、進化をとげてきた太陽系唯一の『水の惑星』、海の恵みによって無数の命が生を植歌するこの星を、地球カレンダーの『最後の23分』に現れたにすぎないわたしたちが破壊してしまう――そのことのほうが、さきにあげた海や地球の終駕のシナリオよりも、よほどおそろしいことに私には思えます」(194ページ)と警鐘を鳴らす。
(2013年6月19日 読了)
参考サイト
- 海はどうしてできたのか:講談社
(この項おわり)