『暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜』

緒里たばさ=著

シリーズ概要

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜
暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜』は、緒里たばさ (いおり たばさ) さんが『月刊!スピリッツ』2021年10月号から連載している後宮を舞台にしたファンタジー漫画。

悪徳文官と呼ばれる王皓 (おうこう) の娘・王花鈴 (おうかりん) が友達をつくるために宮女見習いとして後宮に入り、父親譲りの暗殺術で次々に問題を解決していく。
後宮ものファンタジーのなかでも、中国史の実像に迫っている点が興味深い。

目次

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第1巻

表紙 暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第1巻
著者 緒里 たばさ
出版社 小学館
サイズ コミック
発売日 2022年02月10日
価格 770円(税込)
ISBN 9784098612451
王花鈴「私はめげない! あきらめない!
後宮――そこは皇帝のために集められた数千人の女達が暮らす場所。華やかな女の園である。そこに一人、伝説の宮女見習がいた。出世のために邪魔者は拷問、暗殺が当たり前の極悪非道の悪徳文官・王皓 (おうこう) の娘、ギザ歯で陰気な表情、目の下にはいつもクマをつくっている王花鈴 (おうかりん) である。王皓は後宮での諜報活動を条件に王花鈴の後宮入りを認めたが、彼女は友達がほしいだけだった。だが、彼女の父が王皓と知っている宮女見習達は、王花鈴を怖れて口も開いてくれない。
教育係の陸慧 (りくけい) から、 (ろう) 祭で使う敷物に刺繍をすることを命じられた宮女見習いたち。王花鈴は喜々として刺繍に勤しむが、その笑顔は周囲に誤解を生み‥‥。雨が降る中、一人で泣いていた王花鈴に傘を差し伸べたのは、同年代の暁星 (ぎょうせい) 皇帝陛下だった。
謀略渦巻く宮廷で、皇帝陛下の二人の異母兄は暗殺され、暁星は先帝の遺言によりわずか10歳で即位した。後宮では、先帝の寵姫・蛾太妃 (がたいひ) 、先帝の生母・太皇太后 (たいこうたいごう) 、先帝の一人娘・光姫長公主 (こうきちょうこうしゅ) が三つ巴の争いを続けており、そのことが北祇国の混乱を象徴していた。
臘祭の当日、王花鈴は献上品の羊を連れた宮女をすれ違う。普通に話しかけてくる彼女に疑念を抱いた王花鈴は‥‥。

蛾太妃 (がたいひ) から鳥の世話を任された宮女見習いの張鴻 (ちょうこう) は、誤って鳥を逃がしてしまう。鳥を捕らえようと、王花鈴張鴻は数多くの鳥を飼っている周女官を訪ねるが‥‥。

宮女見習いとして半年、太皇太后蛾太妃光姫長公主が集うお茶会が見習い卒業試験の場となった。お茶会の当日、3人を暗殺する準備万端であることに気付いた王花鈴は、何とか暗殺を阻止する。
宮女になった王花鈴は、後宮を生活に整える仕事をする寝尚に配属になった。同質の宮女達は王花鈴におそれをなしたが、令光 (れいこう) だけが口をきいてくれた。だが、後宮で禁じられている手紙を恋人に出そうとした令光は間者として捕らわれてしまい‥‥。

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第2巻

表紙 暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第2巻
著者 緒里 たばさ
出版社 小学館
サイズ コミック
発売日 2022年07月12日
価格 770円(税込)
ISBN 9784098613298
王雹「力のある人間には勝手に人が集まってくるからな。その中から役に立ちそうな者を選び、金、物におぼれさせ、とどめに弱みを握る。これで一生、友人だ
令光 (れいこう) を助けようとしている王花鈴 (おうかりん) は、偶然出会った皇帝陛下に事情を説明し、得意の暗殺術で陛下を光姫長公主に変装させる。だが、令光の前に本物の光姫長公主が現れ‥‥。

殿中侍御史 (でんちゅうじぎょし) 王雹 (おうひょう) が後宮にやって来た。王花鈴が怖れる、12人いる兄の中で一番強い (おに) うえだ。皇帝の陵墓から遺体が盗まれ、犯人を追っている王雹王花鈴を利用しに来たのだ。

王花鈴は、問題を起こしたり、皇帝の寵愛を失った妃達が閉じ込められている冷宮の担当を命じられた。先帝が崩御した事も知らず、わずかな食事で痩せ衰え目も見えなくなった胡玎貴妃 (こちょうきひ) の世話をしながら一人泣く王花鈴。たまたま冷宮の壁の向こうにいた皇帝陛下は、「そなたのクマがなくなるような世界に朕がするから、もう泣くな」と励ます。王花鈴は「陛下が嘆かれるのでしたら、この王花鈴、めげない、あきらめない! 泣き言はもう言いません!」と応じる。

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第3巻

表紙 暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第3巻
著者 緒里 たばさ
出版社 小学館
サイズ コミック
発売日 2023年02月25日
価格 770円(税込)
ISBN 9784098615803
王皓「私には家族しか信じるものがない
先帝に会いたい一心で胡玎貴妃 (こちょうきひ) は冷宮を脱走するが、蛾太妃 (がたいひ) に捕らわれてしまう。得意の暗殺術で胡玎貴妃を救出した王花鈴は、実家に匿う。王皓 (おうこう) 胡玎貴妃に、「一族を滅ぼされた恨み、晴らしたくはありませんか?」を言う。
「父様が信じる人は一人もいないのですか?」と王花鈴が問いかけると、王皓は「私には家族しか信じるものがない」と答えた。父が居眠りをしている間、王花鈴は雨の中、剣をもって寝ずの番をするのだった。翌朝、後宮から迎えに来た馬魅 (ばみ) 王花鈴は「なぜ、王一族はこんな変な家なのかしら」と漏らすと、馬魅は「王皓様は自分のせいであなた (家族) 達が殺されぬためですよ」と答える。

皇帝陛下は民が泣かぬ世をつくろうと、農業の神を祭る籍礼 (せきれい) の祭祀を取り仕切ると言う。これまで仕切ってきた太皇太后は不愉快だった。太皇太后に取り入ってきた宦官の楽端 (がくたん) が陛下に探りを入れると申し出る。皇帝陛下の真っ直ぐな瞳を見た楽端は、「天は間違いを許さない。陛下が間違えば、このように民に不幸が訪れる」と脅す。だが、陛下は弱音ひとつ吐かずに祭祀の鍛錬に励むのだった。
皇帝陛下が籍礼祭を仕切ることを知った王花鈴は、陛下の危険を取り除こうと、祭祀を行う壇の中に潜り込む。壇上では剣舞が始まった。だが、陛下の相手の足運びがおかしい‥‥刺客だ。
刺客は王一族に捕らえられ、王皓呂公 (りょこう) の手の者だろうと推測し、「陛下にもっと強くなっていただかねば。簡単に暗殺されては困る」とつぶやく。

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第4巻

表紙 暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第4巻
著者 緒里 たばさ
出版社 小学館
サイズ コミック
発売日 2023年09月29日
価格 770円(税込)
ISBN 9784098617364
楽端「やつがれはね、顔かいいんですよ。大概のことは許されます
籍礼 (せきれい) の祭祀が終わり、後宮に春がやって来た。皇帝陛下の暗殺に失敗して涸れ井戸に放り込まれた楽端 (がくたん) を救うため、王花鈴が動く。脱出した楽端皇帝陛下太皇太后の企てを語ると、陛下は「大丈夫だよ。朕は皆から疎まれてるの知ってるよ」と言う。そんな皇帝陛下楽端は忠誠を誓う。
王花鈴楽端太皇太后の居城・永寧宮 (えいねいぐう) へ忍び込む。王花鈴は得意の暗殺術で毒の蝶から逃れると、楽端太皇太后のもとへ走ってゆく。

永寧宮を取り仕切る永寧小府となった楽端は、高級は権力がすべてだから、王花鈴に上級宮女への昇級試験を受けられるようにする。王花鈴は、試験を受けて、陛下をもっとお側で御守りしてみせると誓うのだった。
王一族に恨みのある陸慧 (りくけい) 王花鈴の指導女官役を断るが、一人で昇級試験に挑む彼女の姿を見て心を入れ替え、指導教官となる。そんなとき、流れの商人・王晴 (おうせい) 陸慧の前に現れる。

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第5巻

表紙 暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第5巻
著者 緒里 たばさ
出版社 小学館
サイズ コミック
発売日 2024年03月19日
価格 770円(税込)
ISBN 9784098626328
王皓「悪評など (まつりごと) さえよければどうでもよい
王晴 (おうせい) が連れ去ろうとする陸慧 (りくけい) を助けた王花鈴は、王晴が王家の腕輪をしていることに気付く。王晴とは何者なのか、陸慧との関係は? 一人街に出た王花鈴は、王晴を追って万品商店の地下にある武器庫に閉じ込められてしまう。
陸慧は、16年前に治める地方の役人でしかなかった王一族が、反乱の濡れ衣を着せられた陸家を処罰し成り上がっていったことを思い出していた。そのときも万品商店の店主が裏で糸を引いていた。

万品商店店主は、商人らの宮廷に対する不満を煽って反乱を起こそうとしていた。この時代を動かせる人物は王皓 (おうこう) と言う陸慧に、王花鈴は恐る恐る父が務める度支 (たくし) を訪ねるのだった。だが、王皓は善意などという私情で (まつりごと) を動かしてはならないと言い、「悪評など政さえよければどうでもよい」と王花鈴の申し出を一蹴する。
父の言葉におそれをなし退散した王花鈴だったが、自分の暗殺術を使ってできることに気付く。
16年前、反乱を鎮圧した王皓は長兄・王晴と賭けをした。賭けは続いていた。王晴は万品商店店主の悪事の証拠を探し続けていた。王風 (おうふう) 陸慧に、「この国で反乱を起こした家が、討伐されずに没落だけで許されていたことを」と問いかけた。ついに万品商店店主を捕らえた王花鈴は後宮につれて戻り‥‥。

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第6巻

表紙 暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第6巻
著者 緒里 たばさ
出版社 小学館
サイズ コミック
発売日 2024年07月11日
価格 770円(税込)
ISBN 9784098627882
皇帝陛下「相手のことも考えねば。それが (まつりごと) ということだろう
王花鈴は、昇級試験の課題の品として、太皇太后蛾太妃光姫長公主の前に万品商店店主を突き出した。そこへ王晴陸慧が現れ、過去の悪事の証拠を提出する。
一方、皇帝陛下は商人の不満を知り、帝室御用達を改めようと言う。
王晴陸慧に一緒に暮らそうと誘うが、陸慧の答えは‥‥。

昇級試験に合格した王花鈴を、皇帝陛下と敵対する蛾太妃が召し使うことになった。蛾淑宮 (がしゅくきゅう) に出仕した王花鈴は、藍夏 (らんか) とともに、蛾太妃の息子・昴皇子 (ぼうおうじ) の面倒をみることになる。
王家では年に一度の廟祭 (びょうさい) の時期となり、王晴王花鈴を除く兄弟が集まった。王皓は「さあ、見せてみよ。お前達の母の敵ども、私の宿願の第一の敵。蛾一族を陥れるための成果を」と宣言する。
蛾淑宮で働く王花鈴は、ふとしたことから、昴皇子も暗殺の対象になっていることに気付く。そんなとき、蛾太妃王花鈴に「王倩 (おうせん) はわきまえていたわ。お前を守るために死んだもの」と告げる。昴皇子を暗殺しようとしている者の正体は‥‥。

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第7巻

表紙 暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第7巻
著者 緒里 たばさ
出版社 小学館
サイズ コミック
発売日 2024年12月19日
価格 770円(税込)
ISBN 9784098630806
皇甫伯姫「後宮の中で利己的な人しか見てなかったから、王倩様の考えはとても不思議で、でも自然で。とても格好いい悪女だった
皇甫伯姫 (こうほはくき) と娘・ (しん) がやって来る。伯姫の恩に報いるため、昴皇子 (ぼうおうじ) の暗殺を目論む藍夏 (らんか) だったが、企ては露見し、王花鈴 (おうかりん) は牢に閉じ込められてしまう。
蛾太妃 (がたいひ) の咎めを逃れた王花鈴は、伯姫から母・王倩 (おうせん) のことを聞かされ、皇帝陛下の母・玉美人 (ぎょくびじん) との関係を知る。

藍夏は伯姫とともに去り、王花鈴昴皇子の遊び相手として一人残る。そこへ皇帝陛下が通りかかり、王花鈴が敵対する光姫長公主 (こうきちょうこうしゅ) の配下だという誤解を与えてしまう。皇帝陛下の誤解を解くため、決死の覚悟で皇帝の居城・永寿宮 (えいじゅきゅう) へ忍び込む王花鈴だったが‥‥。

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第8巻

表紙 暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第8巻
著者 緒里 たばさ
出版社 小学館
サイズ コミック
発売日 2025年05月19日
価格 770円(税込)
ISBN 9784098634156
王雨「お金の話の何が悪いのですが? 認めていただけた (あかし) だから、お金はすごく嬉しい。
皇帝陛下は都を離れ、太皇太后 (たいこうたいごう) が政の実権を握った。そんなとき、昴皇子 (ぼうおうじ) が茶会で使う扇に落書きをしてしまう。王花鈴は自ら刺繍をして直すという――。
一方、太皇太后のために自らが仕立て、大金を受け取っている11番目の兄・王雨 (おうう) は、その金で自分の店を持ちたいという。その言葉を聞いた王花鈴は、王雨に対する誤解を解いてゆく。

梧桐宴 (あおぎりえん) の開催が正式に決まった。国の織物を顕示しながら、周辺国や西域との親善を目的とするもので、大急ぎで各所に使者が送られたのだが、離宮にいる皇帝陛下へ報告したのは王皓 (おうこう) だった。
王雨が仕立てた太皇太后の衣装に、何者かが細工をした。王花鈴王雨を助けるため、宮女の衣を着て壇上に上がる‥‥。

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第9巻

表紙 暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第9巻
著者 緒里 たばさ
出版社 小学館
サイズ コミック
発売日 2025年11月12日
価格 770円(税込)
ISBN 9784098636396
王花鈴「不思議な気持ちがする。体は燃えるように熱いのに、頭はしんと冷えていて。
梧桐宴 (あおぎりえん) の場で、太皇太后 (たいこうたいごう) が急に目眩を起こす。原因を探ろうと、王花鈴 (おうかりん) は飾りをすり替えるが‥‥花鈴は怒っていた。危機を知らせる一族の暗号を発し、兄たちに助力を乞う。
そこへ王皓 (おうこう) 暁星 (ぎょうせい) 皇帝陛下を乗せた輿とともに現れる。王皓北祇 (ほくぎ) 国の絹織物を披露し、自分の部署で交易を取り仕切ると言う。太皇太后は怒りを露わにするが、皇帝陛下は「彼に任せてもよいかと」と言葉を発する。大学の祭酒も同意し、太皇太后は怒りの矛を収めるしかなかった。
緊張状態から解放された花鈴は、王雨 (おうう) に迷惑をかけたことを謝るが、王雨は「皆を変えているのは、いつだって、花鈴、お前なんだよ」と言う。そして、王皓花鈴とすれ違いざまに、「よくやった」と褒めた。

花鈴王皓の娘であることを知った太皇太后は、花鈴を不kぅむすう人の宮女を離宮へ派遣する。だが、花鈴を待っていたのは労役の刑だった。離宮の修繕現場に放り込まれた花鈴は、班長の (こん) に睨まれる。花鈴は足場に使う竹に痛んだものが混じっていることに気づき、同じ労役を負わされている男たちが怪我をしないよう、その見分け方を教える。花鈴王皓の娘であることを知った男たちから「かっけぇ (わる) はオレの憧れ」と言われる。
花鈴の身の上を聞かされたは、花鈴の兄になるという。一方、ひょんなことでに助けられた光姫長公主 (こうきちょうこうしゅ) は、に兄になれと命令する。

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第10巻

表紙 暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜 第10巻
著者 緒里 たばさ
出版社 小学館
サイズ コミック
発売日 2026年04月10日
価格 770円(税込)
ISBN 9784098638130
張平「間違ったことには正しいことをぶつけてみよ。
暁星 (ぎょうせい) 皇帝陛下が離宮に学舎を作ることを聞き、太学 (たいがく) の祭酒、張平 (ちょうへい) が参じる。学舎の改修現場には、王花鈴 (おうかりん) たちが不当な労役を課せられていた。張平暁星に、「わしの始動を受けたいのであれば、不当に労役させられるものを解放する方法を答えよ」と入門試験を課す。
一方、光姫長公主 (こうきちょうこうしゅ) に追いかけ回されていたは、偶然、暁星に出会い、労役を課せられている人々の罪と実際の刑に隔たりがあるのか調べてきてほしいと命じられる。

杖刑 (じょうけい) 30回を受ける覚悟を決めた@花鈴@の覚悟を知ったは、光姫長公主の兄になり権力側に付くことを決断する。
花鈴の刑の執行人として王雹 (おうひょう) がやって来た。王雹は、一発でも杖に当たるようならば、家に連れ帰るという。花鈴は精一杯の抵抗を試みるが‥‥。

花鈴は、張平を殺そうとした宮女を傷つけてしまうが、その現場を暁星に目撃されてしまう。花鈴は自らの出自を暁星に告げる。それを聞いた暁星は覚悟を決め、直属の臣として後宮に戻り、 (はかりごと) を防ぐよう明示する。

レビュー

暗殺後宮〜暗殺女官・花鈴はゆったり生きたい〜
後宮ものというと、まず、ファンタジーノベル大賞を受賞しアニメ化もされた『後宮小説』(酒見賢一,1989年)を思い出す。選考委員の井上ひさしさんは、「シンデレラと三国志と金瓶梅とラストエンペラーの魅力を併せ有す、奇想天外な小説」と評価したという。
最近では、「小説家になろう」サイトに投稿され、これもアニメ化されて人気の『薬屋のひとりごと』(日向夏, 2011年~)がある。シンデレラ・三国志・金瓶梅の要素が盛り込まれ、そこにシャーロック・ホームズが加わる。
後宮ものというジャンルは、どうやら単なるファンタジーの枠に収まるものではなく、オタクが好む緻密な背景設定と、老若男女を巻き込むロマンチシズムがてんこ盛りになっているようだ。

で、本作品であるが、『後宮小説』以来の名作だと思う。加えて、中国史が精密に描かれている。日中交流が深まっている証左であろう。
たとえば、第3巻で、悪逆非道の王皓が王花鈴に「私には家族しか信じるものがない」と語るのだが、中国では日本と違って極端な政権交代が繰り返され、結果として、安定した社会で時間をかけてサプライチェーンを築く必要がある製造業が少なく、家族や同族が中心となって経営できる商業が盛んになっていった史実がある。安っぽいロマンチシズムではなく、力によって家族を守る王皓が中国的な家父長主義を体現してみせる。
第8・9巻で話題になる絹織物も、唐から明の時代にかけて、北方の洛陽で絹織物が盛んであり、シルクロードを通じて西アジアや中東に輸出されていた。

参考サイト

(この項おわり)
header