IPアドレスから個人情報を特定できるか

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匿名掲示板などで、IPアドレスから個人情報を特定したような脅し文句が書かれることがありますが、結論を先に書いておくと、あなたが使っているIPアドレスから個人情報が特定されるようなことはほとんどありません
むしろ、IPアドレスを隠すためにプロキシを使う方が危険なことがあります。

アクセス情報

アドレス帳
下のリンクをクリックしてください。あなたが今利用しているIPアドレス、それに対応するリモートホスト名などが表示されます。

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リモートホスト名を見れば、どのプロバイダを利用しているかが分かりますし、アクセス・ポイントの地域くらいは特定できるかもしれません。しかし、分かるのはそこまでです。
これらの情報は特殊な方法で取得しているわけではありません。普通にインターネットを利用している状態で、あなたはこれらの情報をサイト側に送っているのです。ですから、アクセスログをとっている大部分のサイトでは(ぱふぅ家のホームページを含む)、これらの情報をログとして保管しています。

アクセスログの意味

サイト運営者は、こうしたアクセスログを分析に活用する場合もありますが、われわれ個人サイト運営者としては、不法なアクセスからサイトを守るためにログが必要になります。
たとえば、掲示板へ不法な書き込みや頻繁な嫌がらせをするような利用者は、アクセスログからIPアドレスまたはリモートホスト名を割り出します。Webサーバの機能として、あるIPアドレスの受付を拒否する機能がありますから、それを利用してサイトにアクセスできないようにするのです。

プロバイダ責任制限法と個人情報開示

唯一プロバイダだけが、誰がそのIPアドレスを利用しているのかを記録しています。アクセス時間とIPアドレスをプロバイダに問い合わせれば、誰が利用しているのか特定可能です。

しかし通常、プロバイダはその情報の公開には応じません。開示に応じるのは、プロバイダ責任制限法第4条に該当する場合です。適切な手続きがとられた場合、プロバイダに対して該当IPアドレス利用者の個人情報を開示させることができます。
悪意のある第三者が開示請求を起こす可能性はゼロではないので、念のために注意は必要です。

開示請求が起こされると、プロバイダは開示の是非を判断し、開示の必要性があると認定した場合には、まずあなたに確認をとります。
確認をとる手段については、プロバイダのプライバシーポリシーを参照してください。電子メールを利用するプロバイダが多いと思いますので、万が一に備え、プロバイダからのメールにはすべて目を通すようにしましょう。もし無視してしまうと、最悪の場合、「連絡が取れない」という理由で個人情報が開示されてしまうことがあります。

安易なプロキシ利用はかえって危険

プロキシサーバ
アクセスしているIPアドレスやリモートホスト名を隠すため、[https://wa3.i-3-i.info/word11414.html:titleプロキシサーバ](プロキシ、Proxy、串などとも呼ばれる)を介在させる人がいます。パソコン雑誌などで、その方法を紹介されることも多いようです。
たしかに、匿名化プロキシを使えばIPアドレスを隠匿することは可能なのですが、大きな問題が2つあります。
第一に、プロキシからのアクセスを拒否するサイトが多いこと。プロキシ経由では、サイトの閲覧もできない場合があります。
第二は、これは大きな問題ですが、プロキシを提供している業者にアクセス履歴が筒抜けになることです。悪意のあるプロキシ業者が、あなたのアクセス履歴を追跡し、プロバイダに対して個人情報開示請求を行うことも考えられます。
業者確認できないプロキシを利用してはなりません。怪しげなアダルトサイトに接続するのと同じくらい危険です。

2014年(平成26年)11月、警視庁などが東京都内のプロキシサーバ運営会社2社を摘発しました。約1500人分のネット接続用のIDとパスワードを不正に入手し、中国に販売していることが明らかになりました。
さらに、このサーバには約506万人分(重複分を含むと約785万件)のIDとパスワードなどの個人情報が保存されていました。中には、氏名、生年月日、クレジットカード番号が含まれるものもありました。また、楽天、Amazon、LINEへの接続に成功していたことが分かりました。

参考サイト

参考書籍

表紙 情報セキュリティ読本 五訂版
著者 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
出版社 実教出版
サイズ 単行本
発売日 2018年10月20日頃
価格 660円(税込)
ISBN 9784407347753
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)編による、情報セキュリティを基本から学ぶコンパクトなテキスト。新入社員研修、管理職研修にも最適。五訂版に改訂し、最新の事象や動向を掲載。文章ではわかりにくい内容については図解も用いて解説。巻末に用語集がついており、情報セキュリティ関連の資料を読む際にも役立つ。 [主な改定内容]ランサムウェアWannaCryについて記述。IoT機器やスマートフォンに関する内容をより充実。法規関連を更新(個人情報保護法2016年改訂・サイバーセキュリティ基本法)。「Webアプリケーションのフレームワークに存在する脆弱性」「ランサムウェア」「インターネットバンキングの不正送金」のコラムを新たに掲載。 1章 今日のセキュリティリスク 2章 情報セキュリティの基礎 3章 見えない脅威とその対策 個人レベルのセキュリティ対策 4章 組織の一員としての情報セキュリティ対策 5章 もっと知りたいセキュリティ技術 6章 情報セキュリティ関連の法規と制度 7章 IPAセキュリティセンターの活動 資料1 情報セキュリティ関連URL集 資料2 用語集
 
表紙 超初心者のためのサイバーセキュリティ入門
著者 齋藤ウィリアム浩幸
出版社 文藝春秋
サイズ 新書
発売日 2016年10月
価格 880円(税込)
ISBN 9784166610976
知ればヨイヨイ 知らなきゃ怖い 面白くてタメになる! 内閣府参与が教える「サイバーセキュリティレッスン」開講! あなたの個人情報は毎秒盗まれています。たとえば…… ・LINE乗っ取りで社会的信用は1秒で失われる ・位置情報付きの写真投稿が誘拐事件の引き金になる ・ママ友はあなたのフルネームから過去の汚点を検索する ・クラブのお姉さんにスマートフォンの充電を頼んではいけない ・サイバー戦争は核戦争の次の脅威である 思い当たることはありますでしょうか。ITは使いこなした者勝ちですが、進歩が早すぎてついていけていない人には、実は脅威の対象でもあるのです。 著者は米国生まれの日本人。16歳にしてITプログラマーとして活動を始め、医学部に通いながら生態認証システムの技術で特許を取得。後に技術をマイクロソフトに売却し、現在はベンチャー企業支援や民官に対してITセキュリティの啓発活動を行う……という、本業界の世界的トップランナーです。 スマホ初心者、ITスキルに自信の無いビジネスマンでも「なるほど!」と思えるように解説した、著者初めての一般向け啓発書です。 身近なエピソードから最先端のITセキュリティの知識と対策法が学べます!
 
(この項おわり)
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