特殊詐欺と名簿業者
2014年(平成26年)は過去最悪のペースで特殊詐欺(いわゆる「オレオレ詐欺」)の被害が増えています。詐欺グループは、被害者を見つけるために社員名簿や同窓会名簿などを悪用しています。ところが、これらの名簿を販売している業者を取り締まる法律がありません。
個人情報保護法では、5千件以上の個人情報を有する事業者を「個人情報取扱事業者」と定義しています。消費者庁によれば、たとえばホームページにどんな内容が掲載された名簿を販売しているのか明示すれば、販売が可能になると言います。
個人情報保護法では、5千件以上の個人情報を有する事業者を「個人情報取扱事業者」と定義しています。消費者庁によれば、たとえばホームページにどんな内容が掲載された名簿を販売しているのか明示すれば、販売が可能になると言います。
警察当局は、名簿業者が詐欺事件の一翼を担っているとみていますが、「名簿が詐欺に悪用されると知らなかった」などと強弁されると犯罪の立証は難しくなると言います。
2014年(平成26年)7月、ベネッセコーポレーションから700万~2000万件に及ぶ顧客情報を盗み出し名簿業者に売却した男が逮捕されましたが、容疑は不正競争防止法によるものでした。盗んだ顧客情報は営業秘密に当たるとして、不正競争防止法を適用したのです。
名簿業者に対しては法的責任を追求できないとされています。
名簿業者に対しては法的責任を追求できないとされています。
個人情報保護法の適用除外
(適用除外)
第五十条 個人情報取扱事業者のうち次の各号に掲げる者については、その個人情報を取り扱う目的の全部又は一部がそれぞれ当該各号に規定する目的であるときは、前章の規定は、適用しない。
一 放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。) 報道の用に供する目的
二 著述を業として行う者著述の用に供する目的
三 大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者学術研究の用に供する目的
四 宗教団体 宗教活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的
五 政治団体 政治活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的
2 前項第一号に規定する「報道」とは、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)をいう。
3 第一項各号に掲げる個人情報取扱事業者は、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置、個人情報の取扱いに関する苦情の処理その他の個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な措置を自ら講じ、かつ、当該措置の内容を公表するよう努めなければならない。
第五十条 個人情報取扱事業者のうち次の各号に掲げる者については、その個人情報を取り扱う目的の全部又は一部がそれぞれ当該各号に規定する目的であるときは、前章の規定は、適用しない。
一 放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。) 報道の用に供する目的
二 著述を業として行う者著述の用に供する目的
三 大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者学術研究の用に供する目的
四 宗教団体 宗教活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的
五 政治団体 政治活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的
2 前項第一号に規定する「報道」とは、不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)をいう。
3 第一項各号に掲げる個人情報取扱事業者は、個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置、個人情報の取扱いに関する苦情の処理その他の個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な措置を自ら講じ、かつ、当該措置の内容を公表するよう努めなければならない。
適用除外を悪用する業者
適用除外の中で、宗教活動と政治活動が要注意です。悪徳業者は、これらの活動を行っていると称し、個人情報の収集活動を継続するにちがいありません。
ほとんどの宗教団体、政治団体は真面目に活動していることと思いますが、私たちには、その活動内容を判断する基準がありません。第50条3項に述べられているように、はたして本当に個人情報を守るための努力目標を立てているのかどうか判断できないのです。
真面目に活動している団体には申し訳ないのですが、こういうご時世ですので、まずは疑ってかかることが必要です。
ほとんどの宗教団体、政治団体は真面目に活動していることと思いますが、私たちには、その活動内容を判断する基準がありません。第50条3項に述べられているように、はたして本当に個人情報を守るための努力目標を立てているのかどうか判断できないのです。
真面目に活動している団体には申し訳ないのですが、こういうご時世ですので、まずは疑ってかかることが必要です。
5千件に満たない業者
個人情報保護法では、5千件以上の個人情報を有する事業者を「個人情報取扱事業者」と定義しています。5千件に満たない場合は、個人情報保護法が適用されません。
したがって、ヤミ金業者などは、事業者単位では5千件未満の個人情報しか持たないけれど、ネットワークで数多くの個人情報を共有することで個人情報保護法を回避しようとするでしょう。事実、そのような体制を持っているとしか思えない事件が相次いでいます。
このように、個人情報保護法には限界があります。
私たちの個人情報が一定以上の価格で取引される以上、悪徳業者は、今後も法の網の目をかいくぐって、私たちの個人情報を狙ってくるに違いありません。
したがって、ヤミ金業者などは、事業者単位では5千件未満の個人情報しか持たないけれど、ネットワークで数多くの個人情報を共有することで個人情報保護法を回避しようとするでしょう。事実、そのような体制を持っているとしか思えない事件が相次いでいます。
このように、個人情報保護法には限界があります。
私たちの個人情報が一定以上の価格で取引される以上、悪徳業者は、今後も法の網の目をかいくぐって、私たちの個人情報を狙ってくるに違いありません。
パーソナルデータ関連制度担当室
個人情報保護法改正へ向け、内閣官房は「パーソナルデータ関連制度担当室」を2014年(平成26年)3月1日に設置しました。
2014年(平成26年)6月までに個人情報保護法改正案の大綱をまとめる。パブリックコメントを経て、2015年(平成27年)初頭に通常国会へ改正案を提出する計画です。
改正案では、データを第三者提供する際の本人同意原則の例外規定や、行政処分権限を持つ第三者機関の設置、データの保護水準が十分でない他国へのデータ移転制限などが盛り込まれる見通しです。
2014年(平成26年)6月までに個人情報保護法改正案の大綱をまとめる。パブリックコメントを経て、2015年(平成27年)初頭に通常国会へ改正案を提出する計画です。
改正案では、データを第三者提供する際の本人同意原則の例外規定や、行政処分権限を持つ第三者機関の設置、データの保護水準が十分でない他国へのデータ移転制限などが盛り込まれる見通しです。
(この項おわり)
そもそも個人情報保護法は、企業が個人情報を保有することを制限するのが目的ではなく、個人情報をビジネスに利用するときのルールを定めた法律です。