個人情報漏洩に対する消費者の意識

(1/1)

漏洩後の対応次第で変わる消費者の態度

NRIセキュアテクノロジーズが、2005年(平成17年)9月にWebでのアンケート調査「個人情報保護に関する消費者意識調査2005」の結果を公表しました。インターネットを利用する16歳以上の個人ユーザ2000人から回答を得たということです。
企業としては、消費者の個人情報に対する意識は常に把握しておきましょう。

個人情報を漏洩するとサービス利用停止される可能性が高い

個人情報漏洩後、その「サービスの利用を停止した」人は全体の39.3%におよび、2004年(平成16年)調査の28.8%と比較して10%あまり増加しています。個人情報漏洩事故は、そのサービスにとって致命的なダメージを与えるということを認識する必要があります。

「サービスの利用を中止した理由」として最も多いのは「再び個人情報を漏洩されることが懸念されるから」(58.5%)でした。2004年(平成16年)の調査の49.1%に比べ、10%近く増加しています。同じ企業が何度も事件を起こしているケースが増えており、ユーザーの不信感が増しているものと考えられます。
「サービス提供者に対する抗議の手段として」(34.0%)や「漏洩後のサービス提供者の対応が悪かったから」(14.9%)という回答が多かったことにも留意しなければなりません。
また、「もともとあまり利用していないサービスであったから」(40.4%)は2番目に多く、「他にも同様のサービスがあるから」(20.2%)という回答も多くなっています。個人情報漏洩事件を起こしてしまうと、他社のサービスにユーザーが奪われてしまう可能性が高いと言えます。

漏洩後の対応次第で変わる消費者の態度

一方、個人情報が漏洩されたにもかかわらず、そのサービスを使い続けた理由としては、「漏洩された個人情報は気にならない程度のものだったから」(38.6%)が一番多くなっています。

どのような情報が個人情報に該当するのかたずねた結果では、「クレジットカード番号」(88.7%)と「銀行の口座番号」(86.7%)の割合が圧倒的でした。これらの情報を漏らすと致命的なダメージを受けるでしょう。
以下、住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号などの情報の組み合わせを「個人情報」と考えている方が多いようです。
「サービス会員のID」(37.1%)や「氏名のみ」(27.2%)を個人情報とする方は、比較的少ないという結果になっています。
また、サービスを使い続けた理由として、「漏洩後のサービス提供者の対応がよかったから」(27.6%)が多かったことも見逃せません。

もし個人情報が漏洩したら、「対応が不誠実な場合、会員をやめる」(81.3%)という回答が圧倒的に多いという結果になっています。また、「対応が不誠実な場合、以後その企業の製品は買わないように心がける」(62.6%)という回答も多く、個人情報漏洩事故がサービスの問題だけでなく、不買運動にまで発展する可能性が見えます。
一方で、「対応が誠実な場合、会員をやめる」(34.0%)という結果も出ており、いかに漏洩後の対応が重要か分かります。

消費者が望む対応

では、消費者が対応策として望んでいることが何かというと、「わかった時点で隠さずに通知すること」(78.1%)、「漏洩後に発生する可能性のある事態(ダイレクトメールや不正請求の通知など)への対応策を示すこと」(60.1%)、「漏洩された本人に経緯の詳細をメールで通知すること」(56.0%)、「調査経緯など、頻繁に情報を開示すること」(53.7%)が上位となっています。これらの項目は、「お詫びとして商品券などの金券を配布すること」(36.4%)よりも多くの支持を集めています。
お詫びの金券を配るより、情報開示が大切なことを如実に表しています。

また、消費者が情報開示として望んでいる項目としては、「漏洩した個人情報の内容」(77.4%)、「再発防止策としてどのような対策を行うのか」(66.2%)、「どこに漏洩したか」(62.9%)、「漏洩した原因」(61.9%)、「漏洩した経緯」(51.9%)となっています。

損害賠償や慰謝料の相場は?

ちなみに、個人情報が漏洩された場合に、損害賠償あるいは慰謝料として企業に請求を行う場合の金額の平均は、「クレジットカード番号」(187万円)、「銀行の口座番号」(177万円)がダントツで、以下、「顔写真」(119万円)
「有料サイトの会員ID」(80万円)、「収入」(72万円)、「病歴、既往症(67万円)」と続きます。「氏名」単独での請求額は意外と低く24万円でした。

個人情報漏洩と損害賠償 -損害賠償額算出式-」も参考にしてください。

参考URL

(この項おわり)
header