サポートが終了したOSをネットに繋がない

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ライフサイクル
2024年(令和6年)10月15日に、情報処理推進機構(IPA)は「Windows 10 のサポート終了に伴う注意喚起」を発行しました。2025年(令和7年)10月14日にWindows 10のサポートが終了し、終了後はセキュリティリスクが高まることから、サポートが継続している後継製品、または代替製品への移行などの対応が望まれます。
また、OSだけでなく、稼働中のアプリケーションのサポートも終了することがほとんどです。
このように、OSを中心としたソフトウェア製品のサポート期限を見据え、ハードやソフトの買い換えを計画的に進めていく必要があります。ただ、後継製品がなかったり代替が効かないハードウェアの場合、後述する方法で延命することができるかもしれません。

目次

トピックス

Windows 10
2021年(令和3年)6月24日、Microsoftは、Windows 10 HomeおよびWindows 10 Proのサポートを2025年(令和7年)10月14日に終了することを正式に発表しました。翌日、次期OSとなる Windows 11 を発表しました。
2024年(令和6年)10月31日、Microsoftは、個人向けにWindows 10のアップデート提供期間を延長する「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」を、1年間30ドル(約4500円)で提供することを発表しました。
ESUプログラムに加入すると、ユーザーは1年間、1台のPCでWindows 10の重要なセキュリティ更新プログラムを受け取り続けることができます。ただし、新機能やバグ修正、テクニカルサポートを受けることはできません。
IE11サポート終了
2022年(令和4年)6月14日、Internet Explorer 11サポートが実質的に終了します。Windows 95 とともに1995年(平成7年)にデビューした初代Internet Explorerから数えて約27年の長命ブラウザでした。
これ以降、もしIE互換機能を使いたければ、Edgeブラウザに内蔵されている「IE mode」、MSHTMLとして呼び出される描画エンジン(Trident)を利用することになります。
2021年(令和3年)5月現在、国内のIEシェアは約3%と言われています。計画的に他のブラウザに乗り換えていきましょう。

サポート終了前に対策を

サポートが終了し、セキュリティホールをふさぐことができなくなったOSやアプリケーションを使ってネットに接続するのはやめようということになりますが、新しいWinowsに乗り換えるためにはパソコンごと買い換えなければなりません。予算的に厳しい人はどうすればいいのでしょうか?

ちなみに、2010年(平成22年)3月にトレンドマイロが行った企業や団体の情報システム担当者を対象としたアンケートによると、組織内で使用しているOSのうち、ベンダーのサポートが終了したOS(レガシーOSが1台でも「ある」とした回答者は42.2%。「ない」とする企業も39.3%、さらに18.5%は「不明」と回答しています。
また、未知のウイルスへ感染した経験について尋ねた設問では、レガシーOSを使用していない企業では24.7%が「ある」と回答する一方、レガシーOSをなんらかの形で利用している企業では、50.6%と割合が高くなっています。

マイクロソフトによると、2010年(平成22年)7月中旬にサポート期間が終了したWindows 2000 / Serverを日本国内で継続使用している可能性があるのは、サーバーが約13万台、パソコンが約50万台に及ぶと発表しました。移行が進まないのは、使用中のシステムへの対応に手間取っていることや、経済的に余裕がないことが理由とみられています。

サポート切れのOSを使っているとセキュリティ上の問題が発生するリスクが高まります。
マイクロソフトの担当者は、「この10年でブロードバンドが普及し、想定外のリスクも出ている。製品設計上、限界がある」とコメントしています。

また、サイバークリーンセンター(CCC)が2010年(平成22年)8月のボット検知状況を取りまとめたところ、Windows2000やWindowsXP(SP2)などのサポートが終了したOSではボット検出比率が高まる傾向が顕著だとして、注意を呼びかけています。

マイクロソフト・サポート・ライフサイクル

Microsoft は、2002年(平成14年)10月17日に「マイクロソフト・サポート・ライフサイクル」という概念を導入し、WindowsやOffice製品のサポート期限を明確にしました。サポート期限は、大きく3つに分かれます。

メインストリーム・サポート」はライフサイクルの最初のフェーズで、インシデント・サポート (無償サポート、有償サポート、時間制サポート、その他)、セキュリティ更新プログラム・サポート(無償)、セキュリティ関連以外の修正プログラムの新規作成リクエストを提供します。この期間中は安心してWindowsを使ってもらって構いません。

次に来るのが「延長サポート」で、有償サポート、セキュリティ更新プログラム・サポート (無償)を提供します。最低限のセキュリティ・パッチは、このフェーズでも無償提供されると考えていいでしょう。

最後が「オンライン・セルフ・ヘルプ・サポート」で、サポート技術情報の検索やFAQ 、トラブルシューティング・ツール、その他のリソースのみ提供されます。この段階になると、セキュリティ・パッチのみが提供されている状態と考えた方がいいでしょう。そろそろ次のOSの導入を検討すべき時期です。

Windows と Office のライフサイクル

2020年(令和2年)11月現在、WindowsとOffice製品のライフサイクルは下記の通りとなっています。
この一覧にないOSやミドルウェアのサポートは、すでに終了しています。
製品名 製品発売日 メインストリーム終了 延長サポート終了 サービスパック・サポート終了
クライアントOS
Windows 7 Enterprise/Enterprise N/Professional/Professional N 2009-10-22 2015-01-13 2020-01-14 2013-04-09
Windows 7 Starter/Starter N/Home Basic/Home Premium/Home Premium N/Ultimate/Ultimate N 2009-10-22 2015-01-13 2020-01-14 2013-04-09
Windows 7 (SP1) 2011-02-22 2015-01-13 2020-01-14
Windows 8/Enterprise/Enterprise N/N/Pro/Professional N 2012-10-30 2018-01-09 2023-01-10 2016-01-12
Windows 8.1/Enterprise/Enterprise N/N/Pro/Professional N 2013-11-13 2018-01-09 2023-01-10 対象外
Windows 10 2015-07-29 2020-10-13 2025-10-14 対象外
Windows 10, version 1809 2018-11-13 2020-11-10 対象外
Windows 10 Enterprise LTSC 2019 2018-11-13 2024-01-09 対象外 2029-01-09
Windows 10, version 1903 2019-05-21 2020-12-08 対象外
Windows 10, version 2004 2020-05-27 2021-12-14 対象外
Windows 10, version 20H2 2020-10-20 2022-05-10 対象外
Windows 10, version 21H1 2021-05-18 2022-12-13 対象外
Windows 10, version 21H2 2021-11-16 2023-06-13 対象外
Windows 10 Enterprise LTSC 2021 2021-11-16 2027-01-12 対象外
Windows 10, version 22H2 2022-10-18 2025-10-14 対象外
Windows 11, Version 21H2 2021-10-04 2023-10-10
Windows 11, Version 22H2 2022-09-20 2024-10-08
Windows 11, Version 23H2 2023-10-31 2025-11-11
Windows 11, Version 24H2 2024-10-01 2026-10-13
Windows 11 Enterprise LTSC 2024 2024-10-01 2029-10-09
サーバOS
Windows Server 2008 2008-05-06 2015-01-13 2020-01-14
Windows Server 2008 R2 2009-10-22 2015-01-13 2020-01-14
Windows Server 2008 R2 (SP2) 2011-02-22 2020-01-14
Windows Server 2012 2012-10-30 2018-01-09 2023-01-10 対象外
Windows Server 2016 2016-10-15 2022-01-11 2027-01-12 対象外
Windows Server 2019 2018-11-13 2024-01-09 2029-01-09 対象外
Windows Server 2022 2021-08-18 2026-10-13 2031-10-14 対象外
Webブラウザ
IE 11 Windows 10では2022-06-14 対象外
Microsoft Edge レガシ 2015-07-28 2021-03-09 対象外
Microsoft Edge 2020-01-14 対象外
Office製品
Office 2010 2010-07-15 2015-10-13 2020-10-13 対象外
Office 2013 2013-01-09 2018-04-10 2023-04-11 対象外
Office Home and Business 2016 2015-09-22 2020-10-13 2025-10-14 対象外
Office Home and Business 2019 2018-09-24 2023-10-10 2025-10-14 対象外
Office Home and Business 2021 2021-10-05 2026-10-13 対象外
Office Home and Business 2024 2024-10-01 2029-10-09 対象外
Office LTSC 2024 2024-09-18 2029-10-09 対象外
SQL Server
SQL Server 2012 2012-05-20 2017-07-11 2022-07-12 2014-01-14
SQL Server 2014 2014-06-05 2019-07-09 2024-07-09 2016-07-12
SQL Server 2014 (SP2) 2016-07-14 2019-07-09 2024-07-09
SQL Server 2016 2016-06-01 2021-07-13 2026-07-14
SQL Server 2017 2017-09-29 2022-10-11 2027-10-12
SQL Server 2019 2019-11-04 2025-01-07 2030-01-08
SQL Server 2022 2022-11-16 2028-01-11 2033-01-11
.NET Framework
.NET Framework 4.5.2 2014-05-05 2022-04-25 対象外
.NET Framework 4.6 2015-07-29 2022-04-25 対象外
.NET Framework 4.6.1 2015-11-30 2022-04-25 対象外
.NET Framework 4.8.1 2022-08-09 対象外
この表を見れば分かりますが、発売後約5年で「メインストリーム・サポート」は終了し、さらに5年経過すると「延長サポート」が終了します。ただし、Windows XP は例外的に寿命が長く設定されました。

.NET Framework については、当初、OSのバージョンに依存せずに開発するためのプラットフォームという位置づけでしたが、.NET Framework 4.6 以降、そのライフサイクルは「搭載されている親OSにしたがう」という形になっています。

セキュリティ・ベンダーの対応

マイクロソフト・サポート・ライフサイクル」に対するベンダーの対応は一定していません。
2007年(平成19年)時点では、ウイルス/スパイウェア対策やファイアウォールといったソフトウェアについては、マイクロソフト以外の製品を使っている方が多いでしょう。これらのサポート状況はどうなるのでしょうか。

たとえばシマンテックのアンチウイルスソフト「Norton AntiVirus」の場合、2006年(平成18年)版では Windows 2000 をサポートしていたが、2007年(平成19年)版ではサポートしなくなりました。
一方、トレンドマイクロの「ウイルスバスター」は、2007年(平成19年)版でも Windows 2000 をサポートしています。

これは目安に過ぎないのですが、「メインストリーム・サポート」が終了したら、セキュリティ・ベンダーが提供するソフトは使えなくなると考えておいた方がいいでしょう。それより長くサポートする製品も出てくるかもしれませんが、こういう問題は最悪のケースを想定しておいた方がよいでしょう。
となると、5年に一度、OSやセキュリティ・ソフト一式を買い換えなければならないわけです。これはかなりの出費ですね。

そもそも、Windows 98/Me がプリインストールされているようなPCは非力で、Windows Vista はもちろんのこと、Windows XP すら動かないでしょう。
要するに、インターネットしたかったら、5年に一度、PC を丸ごと買い換えなければならないのです。
PC を趣味としている人間はともかく、一般ユーザーに「インターネットに接続したかったら 5 年に一度PCを買い換えなさい」とアドバイスするのは現実的ではありません。

Linux への転換

Linux
では、どうしたらいいでしょうか――コストを優先するなら、一番安くあげる方法は Linux に乗り換えることです。Windows 7 / 8.x / 10 時代のハードウェアであっても、いまの Linux であれば実用的なスピードで動作します。OpenOffice といった Microsoft Office 互換ソフトも出ており、完全互換とまではいきませんが、書類づくり程度なら会社の仕事もできるでしょう。
下記のディストリビューションは日本語が利用できます。
Linuxは基本的にはオープンソースで利用は自己責任になりますが、有償サポートが付いている製品もあります。たとえば Ubuntu Pro は、日本語が利用できる Linux として人気が高い Ubuntu に、24時間の電話・オンライン窓口、FAQコーナーの提供、5年間の延長サポートといったサービスが付いてきます。LinuxはWindowsと操作性も機能も異なるので、最初は有償サービスを利用することもご検討ください。

もちろん Linux のセキュリティは万全なわけではありません。原則として自己責任で使うソフトなので、万が一ウイルスに感染して重要情報が漏れてしまったとしても、自分で責任を負うことになります。
しかし、Windows に比べて圧倒的にユーザー数が少ないことが幸いし、積極的に Linux を狙うような悪意のあるソフトはまだ少ない状況です。

千葉県松戸市教育委員会では、保有する1,000台の Windows98 マシンを再活用するため、松戸市教育情報センターやアルファシステムズとともにKNOPPIX(Linuxの1つ)を中心としたOSS(OpenSourceSoftware)にてシステムを構築。サーバからクライアントへ画面を転送するシンクライアント型で、CPU 146MHz、メモリ32Mバイト、HDD 2GBの非力なマシンを再び教育へ利用できる環境を整えました。
シンクライアント化することによってサーバからの一括管理も可能となり、構築作業の手順化と講習とあわせて、導入・運用の予算も軽減されるといいます。

それでも Windows を使い続けなければならない方のために

それでも Windows を使い続けなければならない事情をお持ちの方は、5年で買い換えができるように、PC貯金することをお勧めします。毎月5,000円ずつ貯金していけば、5年で30万円貯まる計算になります。さらに余裕のある方は、2~3年の長期レンタルはいかがでしょうか。
廉価版デスクトップなら、3年レンタルで月額2,000円程度で借りることができます。3年ごとに最新のOSに乗り換えられるますし、故障に対するサポートもあるので安心です。

ICT教育推進プログラム協議会が、「学校向けWindows 98/Meインフォメーションセンター」を設置しました。学校関係者に限り、2007年(平成19年)6月8日から2007年(平成19年)12月末まで、Windows 98/Me に関するセキュリティ関連情報を無償で提供されるというものです。

参考書籍

表紙 Windows7パソコンをLinuxで復活させる本
著者 日経Linux
出版社 日経BP
サイズ ムックその他
発売日 2020年01月16日
価格 2,178円(税込)
ISBN 9784296105038
 
表紙 Windowsユーザーのための これから始めるLinuxの本
著者 日経Linux
出版社 日経BP
サイズ ムックその他
発売日 2023年07月11日頃
価格 2,420円(税込)
ISBN 9784296202799
 
表紙 新しいLinuxの教科書 第2版
著者 三宅 英明/大角 祐介
出版社 SBクリエイティブ
サイズ 単行本
発売日 2024年04月21日頃
価格 3,300円(税込)
ISBN 9784815624316
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参考サイト

(この項おわり)
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