セキュリティソフトの利用状況

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いままで、セキュリティソフトを使うことを前提として説明を進めてきましたが、実際、私的利用でセキュリティソフトを使っている人はどのくらいいるのでしょうか。また、どのようなソフトを利用しているのでしょうか。
そこで、「はてな」の利用者にアンケートをとってみました。対象は私物のパソコンに限定しました。業務用パソコンですと、当然、市販ソフトの比率が高くなるからです。

Windowsユーザー:利用しているセキュリティソフト製品

まず、「私物のWindowsパソコンをお持ちの方に質問です。※お仕事や学校で利用しているパソコンは除きます。」と断ったうえで、セキュリティソフトの利用状況を訊ねました。複数PCをお持ちの方は最も利用頻度の高いPCについて教えて下さいということで、以下の選択肢から1つだけ選択できるものとしました。
  1. トレンドマイクロ製品(ウイルスバスター・シリーズ)を購入し、利用している。
  2. シマンテック製品(ノートン・シリーズ)を購入し、利用している。
  3. マカフィー製品を購入し、利用している。
  4. カペルスキーを購入し、利用している。
  5. ウイルスセキュリティZEROを購入し、利用している。
  6. ESETまたはNOD32シリーズを購入し、利用している。
  7. その他の市販ソフトを購入し、利用している。
  8. その他のフリーソフトまたはシェアウェアを利用している。
  9. 違法な手段で入手したソフトを利用している。
  10. セキュリティソフトを利用していない。
Windowsユーザー:利用しているセキュリティソフト製品

Windowsユーザー:ランニングコスト

次に、セキュリティソフトの更新や購入、バージョンアップのために、毎年PC1台当たり、いくらぐらいの費用を支払っているか訊ねました。以下の選択肢から1つだけ選択できるものとしました。
  1. 10,000円以上
  2. 5,000円以上~10,000円未満
  3. 3,000円以上~5,000円未満
  4. 1,000円以上~3,000円未満
  5. 1円以上1,000円未満
  6. 0円
  7. セキュリティソフトを利用していない。
Windowsユーザー:ランニングコスト

Windowsユーザー:考察

このアンケートの対象者は200名です。
利用されている製品としては、トレンドマイクロとシマンテックの2社の人気が拮抗しています。マカフィーは三番手です。
予想外にフリーソフトやシェアウェアを使っている方の割合(37%)が高かっため、フリーソフト/シェアウェアをご利用の方に限定して別の質問を行いました。これについては次ページで述べます。

ランニングコスト(購入および更新料)については、上記の影響か、0円の方が38%と最多でした。次いで、3千円以上~5千円未満(18%)、千円以上~3千円未満(13%)、5千円以上~1万円未満(12%)と続きます。1万円以上の方も4%いました。

性別や年齢層とのクロス集計では、とくに目立った差異はあらわれませんでした。

Windowsユーザー:利用しているフリーソフト/シェアウェア

前述の通り、Windowsユーザーはフリーソフトやシェアウェアを多く使っていることが分かりました。そこで、どのようなソフトを使っているのか別にアンケート調査を行いました。
私物のWindowsパソコンで、フリーソフトまたはシェアウェアのセキュリティソフトを利用している方に質問です。※お仕事や学校で利用しているパソコンは除きます。」と断ったうえで、ソフトウェア名を訊ねました。
フリーソフトやシェアウェアは単機能のものが多いので、以下の項目を複数選択できることとしました。
  1. COMODO InternetSecurity を利用している。
  2. キングストン InternetSecurity を利用している。
  3. avast! を利用している。
  4. AVG Anti-Virus Free を利用している。
  5. Avira AntiVir Personal Edition を利用している。
  6. Ad-Aware SE Personal を利用している。
  7. Spybot を利用している。
  8. Windows Defender を利用している。
  9. PC Tools Firewall Plus を利用している。
  10. ZoneAlarm を利用している。
  11. オンライン・サービスを利用している。
  12. その他のソフトを利用している。
Windowsユーザー:利用しているフリーソフト/シェアウェア

Windowsユーザー:フリーソフト/シェアウェア入手方法

次に、フリーソフトやシェアウェアの入手方法を訊ねました。以下の選択肢から1つだけ選択できるものとしました。
  1. PCに最初からインストールされていた。
  2. 雑誌や書籍の付録に入っていた。
  3. インターネット・サイトからダウンロードした。
  4. その他
Windowsユーザー:フリーソフト/シェアウェア入手方法

Windowsユーザー:考察(フリーソフト/シェアウェア編)

このアンケートの対象者は100名です。
利用されているソフトとしては、avast!(18%)とSpybot(17%)が目立ちます。三番手として、キングストン InternetSecurity、AVG Anti-Virus Free、Avira AntiVir Personal Editionがいずれも7%で並びます。
意外だったのは、ファイアウォール・ソフトとして有名なZoneAlarmの利用者が1%と少なかったことです。ファイアウォールはWindows標準のものを利用しているのでしょうか。これについては、機会があればまたアンケートをとってみようと思います。

ソフトの入手経路については、「インターネットからダウンロードした」が74%と圧倒的多数ですが、「PCに最初からインストールされていた」という方も9%いました。

性別や年齢層とのクロス集計を行ったところ、女性では「PCに最初からインストールされていた」方が19.2%に対し、男性は5.4%でした。逆に、「インターネットからダウンロードした」が女性では50%でしたが、男性では82%に達しました。また、「雑誌や書籍の付録に入っていた」ソフトを使っている女性は11%に対し、男性は一人もいませんでした。

次のページでは、Macintoshユーザーに対して行ったアンケート調査結果を示します。

Macintoshユーザー:利用しているセキュリティソフト製品

Macintoshユーザーに対してもWindowsユーザーと同じ質問を行った。
私物のMacintoshをお持ちの方に質問です。※お仕事や学校で利用しているパソコンは除きます。」と断ったうえで、セキュリティソフトの利用状況を訊ねました。複数PCをお持ちの方は最も利用頻度の高いPCについて教えて下さいということで、以下の選択肢から1つだけ選択できるものとしました。
  1. シマンテック製品(ノートン・シリーズ)を購入し、利用している。
  2. ソフォス製品を購入し、利用している。
  3. ウイルスバリアを購入し、利用している。
  4. その他の市販ソフトを購入し、利用している。
  5. その他のフリーソフトまたはシェアウェアを利用している。
  6. 違法な手段で入手したソフトを利用している。
  7. セキュリティソフトを利用していない。
Macintoshユーザー:利用しているセキュリティソフト製品

Macintoshユーザー:ランニングコスト

次に、セキュリティソフトの更新や購入、バージョンアップのために、毎年Mac1台当たり、いくらぐらいの費用を支払っているか訊ねました。以下の選択肢から1つだけ選択できるものとしました。
  1. 10,000円以上
  2. 5,000円以上~10,000円未満
  3. 3,000円以上~5,000円未満
  4. 1,000円以上~3,000円未満
  5. 1円以上1,000円未満
  6. 0円
  7. セキュリティソフトを利用していない。
Macintoshユーザー:ランニングコスト

Macintoshユーザー:考察

このアンケートの対象者は50名です。
利用されている製品としては、シマンテックが圧倒的多数(24%)でした。これは、2009年(平成21年)7月時点で、MacOS X 用市販セキュリティソフト市場にトレンドマイクロやマカフィーが参入していないためと考えられます。
そのためか、「利用していない」という方が40%にも達しました。これについては、次のページで論じます。

性別や年齢層とのクロス集計では、とくに目立った差異はあらわれませんでした。
これまでのアンケート調査の結果を整理します。

Windowsユーザー:フリーソフト/シェアウェアが多い

ダウンロード
Windowsユーザーでは、シマンテックやトレンドマイクロの市販製品を使う方もいましたが、フリーソフトやシェアウェアを使っている方が全体の37%に及びました。その内訳を見てみると、avast!(18%)とSpybot(17%)が目立ちます。
フリーソフトやシェアウェアの性能が悪いということはありません。とくにウイルス検出率が劣っているという話も耳にしません。
しかし、一般論として、フリーソフトやシェアウェアでトラブルを起こしたときには製作者は責任を負いません。インストールした利用者自身の責任に帰します。
また、製作者の都合で更新を終了したら、途端にそのソフトは使い物にならなくなります。パターンファイルの更新は頻繁に行う必要があるので、それが止まった途端に機能的に不十分になってしまうからです。
avast!は市販製品のフリー版、Spybotはチーム開発されているのでこうした心配はないと思いますが、絶対大丈夫という保証はありません。
2009年(平成21年)7月にPDFを作成できるフリーソフト「クセロPDF」が、ベンダの都合で一方的に配布を打ち切りました。フリーソフトやシェアウェアでは、こうしたことは日常茶飯に行われます。

フリーソフト/シェアウェア製作者へのお願い

セキュリティソフトは、システムの根幹に関わるものなので技術的にも難しく、パターンファイルを頻繁に更新しなければならないという、二重の苦労があると思います。にもかかわらず配布を続けている製作者の皆さんには敬意を表します。
さらに信用のあるソフトにするために、たいへんお手数ではあるのですが、以下の事項をお願いいたしたく、よろしくご検討ください。
  1. 当該ソフトによってシステムに支障を来したり、ウイルスに感染してしまった場合は製作者は免責で構わないと思いますが、その条件をダウンロード前に利用者に知らせ、同意をとるようにしてください。
  2. 同様に、突然配布を中止する場合が予想されるのであれば、ダウンロード前に同意を得るようにしてください。
  3. ユーザー登録を求めるような場合は、その理由を明示してください。単にダウンロードして利用するだけであれば、ユーザー情報は不要だと思いますので。
  4. 海外版を日本語化する場合は、言語だけでなく法律の違いがあります。この違いについて、注意書きなどに明記するようにお願いします。

Macintoshユーザー:利用していない方が多い

Macintoshユーザーでは、シマンテック製品利用者が24%いましたが、セキュリティソフトを利用していないという方が40%に達しました。MacOS X用の市販セキュリティソフトが少ないとはいえ、これはとても危険な状態です。

Windowsに比べてMacのセキュリティが強いというのは都市伝説に過ぎません。
Windowsユーザーの人口は多く、商用システムとして用いられるため、これを攻略することで金儲けができるというのが、ウイルス製作者の目論見です。
いままで攻撃対象として軽視されてきたMacも、MacOS Xを利用する企業が増えてきた今日、けっして安全ではありません。

実際、ロシアの犯罪組織がMacをマルウェアに感染させたアフィリエイトに1件当たり43セントの報酬を持ち掛けているといいます。(ITmedia,2009/09/28より)

フリーソフトやシェアでも構いませんので、導入を検討してください。

アンケート結果データ

アンケート結果のデータとグラフをExcelに入力したデータをダウンロードできます。

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参考サイト

(この項おわり)
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