三菱UFJ信託銀行は、2018年(平成30年)8月から行員ら千人規模が参加する実証実験を開始し、専用アプリの使い勝手などを検証し、サービス開始に向けたノウハウを蓄積した上で2019年(平成31年)には本格的に事業に乗り出したい意向だ。
2018年(平成30年)9月3日、電通テックは株式会社マイデータ・インテリジェンスを設立し、生活者が預託した個人情報を企業が資産として運用し、使用したデータに基づいた対価・インセンティブを生活者に還元するという、情報銀行に近いビジネスを展開する。2018年(平成30年)11月以降にプロモーションメディア「ベネフィット」を、2019年(平成31年)4月頃にはポータルアプリ「ポケット」の提供開始を予定している。
2018年(平成30年)9月10日、日立製作所は、社員200人から健康情報や収入などのデータを預かり、本人の同意を得た上で企業などに提供する「情報銀行」の実証実験を、東京海上日動火災保険や日本郵便などと6社共同で開始した。2019年度にも事業化するという。
今後の課題として、セキュリティの担保はもちろんだが、情報銀行に個人情報が集まるか――つまり、国民が関心を持つかどうかも重要なポイントである。
2019年(平成31年)5月、政府は情報銀行への参入の動きが広がっていることを受け、円滑にデータが流通する環境を整え、本格的な普及につなげるため、データ仕様を統一する方針だ。2019年(平成31年)夏にまとめる成長戦略に盛り込む予定。
2018年(平成30年)9月3日、電通テックは株式会社マイデータ・インテリジェンスを設立し、生活者が預託した個人情報を企業が資産として運用し、使用したデータに基づいた対価・インセンティブを生活者に還元するという、情報銀行に近いビジネスを展開する。2018年(平成30年)11月以降にプロモーションメディア「ベネフィット」を、2019年(平成31年)4月頃にはポータルアプリ「ポケット」の提供開始を予定している。
2018年(平成30年)9月10日、日立製作所は、社員200人から健康情報や収入などのデータを預かり、本人の同意を得た上で企業などに提供する「情報銀行」の実証実験を、東京海上日動火災保険や日本郵便などと6社共同で開始した。2019年度にも事業化するという。
今後の課題として、セキュリティの担保はもちろんだが、情報銀行に個人情報が集まるか――つまり、国民が関心を持つかどうかも重要なポイントである。
2019年(平成31年)5月、政府は情報銀行への参入の動きが広がっていることを受け、円滑にデータが流通する環境を整え、本格的な普及につなげるため、データ仕様を統一する方針だ。2019年(平成31年)夏にまとめる成長戦略に盛り込む予定。
情報銀行認定事業
一般社団法人IT団体連盟(川邊健太郎・代表理事/会長;Yahoo!基金 理事長)は2018年(平成30年)9月12日、IT団体連盟は、10月19日に都内で情報銀行に参入したい事業者向けの説明会を開き、年内をめどに、情報銀行認定事業を開始する計画だ。
総務省と経済産業省が共同で出したガイドラインによれば、情報銀行への参入には認定は必須ではない。ただし、消費者が安心してサービスを利用する判断基準として、民間ベースで認定制度が運用されることを期待し、認定の基準などを公表している。IT団体連盟はこのガイドラインを踏まえて、認定を受けるための要件をまとめる計画だ。
総務省と経済産業省が共同で出したガイドラインによれば、情報銀行への参入には認定は必須ではない。ただし、消費者が安心してサービスを利用する判断基準として、民間ベースで認定制度が運用されることを期待し、認定の基準などを公表している。IT団体連盟はこのガイドラインを踏まえて、認定を受けるための要件をまとめる計画だ。
事業者認定説明会
2018年(平成30年)10月19日、総務省は情報銀行の事業者認定説明会を実施した。審査・認定基準が発表され、12月から認定申請の受け付けを開始し、2019年(平成31年)3月頃に認定する予定だ。
認定された事業者は、日本IT団体連盟との間で契約を結び、認定証・マークが交付(適合性評価をして2年ごとに更新)されるほか、認定された事業者やサービスが同連盟のウェブサイトなどで公開される。あわせて、認定事業者への苦情相談窓口も2019年(平成31年)3月ごろに設置し、消費者関係団体とも連携するという。
また、情報銀行について「個人と企業間のデータ売買を目的としたもの」と一部で報じられている件については強く否定した。生活者自身が個人情報マネジメントレベルと意識を高めることや、より個々人に最適化されたサービスや製品を届けやすくするための仕組みであり、「お金につられてデータを提供するのでは本末転倒」だと説明した。
認定された事業者は、日本IT団体連盟との間で契約を結び、認定証・マークが交付(適合性評価をして2年ごとに更新)されるほか、認定された事業者やサービスが同連盟のウェブサイトなどで公開される。あわせて、認定事業者への苦情相談窓口も2019年(平成31年)3月ごろに設置し、消費者関係団体とも連携するという。
また、情報銀行について「個人と企業間のデータ売買を目的としたもの」と一部で報じられている件については強く否定した。生活者自身が個人情報マネジメントレベルと意識を高めることや、より個々人に最適化されたサービスや製品を届けやすくするための仕組みであり、「お金につられてデータを提供するのでは本末転倒」だと説明した。
情報銀行が初認定
2019年(令和元年)6月26日、日本IT団体連盟が、情報銀行サービスを初めて認定しました。
三井住友信託銀行の「『データ信託』サービス」は、銀行が預かった個人情報を管理し、必要に応じてデータを利用したい業者に提供する。情報を信託した個人は、業者からパーソナライズされたサービスを受けたり、銀行からの対価を受け取ったりできるという。
フェリカポケットマーケティングの「地域振興プラットフォーム」は、地域振興のための情報銀行として個人情報を預かり、運用管理するサービスです。利用する個人は情報を信託する対価として、銀行や地元店舗などからクーポンやポイントなどを受け取れとしています。
三井住友信託銀行の「『データ信託』サービス」は、銀行が預かった個人情報を管理し、必要に応じてデータを利用したい業者に提供する。情報を信託した個人は、業者からパーソナライズされたサービスを受けたり、銀行からの対価を受け取ったりできるという。
フェリカポケットマーケティングの「地域振興プラットフォーム」は、地域振興のための情報銀行として個人情報を預かり、運用管理するサービスです。利用する個人は情報を信託する対価として、銀行や地元店舗などからクーポンやポイントなどを受け取れとしています。
3人に1人が「情報銀行」を認知
2019年(令和元年)12月、ジャストシステムがネットリサーチサービス「Fastask」を利用して実施した「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2019年11月度)」によると、情報銀行について、「知っている」と回答した人は31.5%、既に「利用(登録)している」人は7.2%だった。
「利用(登録)している」人を年代別に見てみると、10代(17.8%)、20代(12.5%)、30代(10.2%)、40代(4.9%)、50代(1.1%)、60代(2.6%)だった。10代は2割弱、20代と30代は1割強が利用していることがわかった。
また、情報銀行を「知っている」人のうち、43.2%が「情報銀行への個人情報提供に抵抗感がある」と答えた。年代別に見てみると、10代(21.6%)、20代(21.0%)、30代(48.5%)、40代(39.5%)、50代(62.0%)、60代(70.8%)だった。60代は7割以上が抵抗感を持っていた。
「利用(登録)している」人を年代別に見てみると、10代(17.8%)、20代(12.5%)、30代(10.2%)、40代(4.9%)、50代(1.1%)、60代(2.6%)だった。10代は2割弱、20代と30代は1割強が利用していることがわかった。
また、情報銀行を「知っている」人のうち、43.2%が「情報銀行への個人情報提供に抵抗感がある」と答えた。年代別に見てみると、10代(21.6%)、20代(21.0%)、30代(48.5%)、40代(39.5%)、50代(62.0%)、60代(70.8%)だった。60代は7割以上が抵抗感を持っていた。
MarkeZineニュース,2019年12月16日
個人情報の追跡・安全性確認に高いニーズ
2020年(令和2年)4月、NTTデータ経営研究所が「情報銀行の利用に関する一般消費者の意識調査」の結果を発表した。
「自身の個人情報の追跡・安全性確認」ができるサービスが最もニーズが高く、「ぜひ利用したい」「どちらかと言えば利用したい」という回答が計54.7%あった。次いで「医療機関間などで検査結果データ共有」(同47.8%)、「信用力評価」(同36.8%)など。
一方、自らの個人データのうち「どのような条件であっても企業に提供したくない」という回答が最も多かったのは「位置情報」で、全体の70.7%を占めた。次いで「住所、電話番号」(67.5%)、「株式や債券、口座残高などの金融資産情報(ストック面)」(同64.8%)など。
調査期間は2020年(令和2年)2月12日~13日に非公開型インターネットアンケートで行われ、調査対象は10~60代の男女、有効回答者数は1,093人。
「自身の個人情報の追跡・安全性確認」ができるサービスが最もニーズが高く、「ぜひ利用したい」「どちらかと言えば利用したい」という回答が計54.7%あった。次いで「医療機関間などで検査結果データ共有」(同47.8%)、「信用力評価」(同36.8%)など。
一方、自らの個人データのうち「どのような条件であっても企業に提供したくない」という回答が最も多かったのは「位置情報」で、全体の70.7%を占めた。次いで「住所、電話番号」(67.5%)、「株式や債券、口座残高などの金融資産情報(ストック面)」(同64.8%)など。
調査期間は2020年(令和2年)2月12日~13日に非公開型インターネットアンケートで行われ、調査対象は10~60代の男女、有効回答者数は1,093人。
三菱UFJ信託銀行「情報銀行」終了へ
2024年(令和6年)2月19日、三菱UFJ信託銀行は情報銀行サービス「Dprime」について、5月20日をもってサービスを終了することを発表した。
Dprimeは2021年(令和3年)7月にサービス開始したが、個人ユーザーの情報管理不安を起因とする積極的な活用が進まず、企業・団体等に対する既存のリサーチ業界との差別化も難しい中、長期にわたる事業の継続は困難と判断したという。
2月19日から新規会員登録・登録済会員の本人確認申請を停止。2月29日にはアプリ内でのポイント獲得を終了し、5月21日にDprimeアプリへのログインはできなくなる。また、5月20日までにDprimeポイントを交換するよう呼びかけている。サービス終了に伴い、Dprime会員の権利保全のため、法令等で必要な情報を除くデータを削除するほか、追加ポイント付与実施とポイント交換条件を緩和するとしている。
Dprimeは2021年(令和3年)7月にサービス開始したが、個人ユーザーの情報管理不安を起因とする積極的な活用が進まず、企業・団体等に対する既存のリサーチ業界との差別化も難しい中、長期にわたる事業の継続は困難と判断したという。
2月19日から新規会員登録・登録済会員の本人確認申請を停止。2月29日にはアプリ内でのポイント獲得を終了し、5月21日にDprimeアプリへのログインはできなくなる。また、5月20日までにDprimeポイントを交換するよう呼びかけている。サービス終了に伴い、Dprime会員の権利保全のため、法令等で必要な情報を除くデータを削除するほか、追加ポイント付与実施とポイント交換条件を緩和するとしている。
参考サイト
- 日本IT団体連盟
- 「もうひとりの私」を預ける 情報銀行が守るパーソナルデータとは:ITmedia,2020年9月28日
- 情報銀行の利用に関する一般消費者の意識調査:NTTデータ経営研究所,2020年4月7日
- 新たなデータ管理サービス提供に向けた実証実験の開始について:三菱UFJ信託銀行,2018年7月18日
- プレスリリース:電通テック,2018年9月3日
- 個人データの活用の新しい仕組み「情報銀行」の実現に向けた実証実験を開始:日立製作所,2018年9月10日
- 情報銀行認定事業開始について:IT団体連盟
- 個人が自ら“データ”を預ける「情報銀行」、2019年(平成31年)3月に事業者認定へ:CNET Japan,2018年10月19日
- 情報銀行サービス「Dprime」の終了について:三菱UFJ信託銀行,2024年2月19日
(この項おわり)
情報銀行とは、個人から本人に関するデータを預かり、預かったデータを本人に代わって管理・運用し、その結果得られた利益を本人に還元する事業および事業者を指す。
三菱UFJ信託銀行は「Dprime(仮称)」と呼ばれるプラットフォームを用意する。これは、政府が検討を進めているデータ流通環境整備の方向性に沿ったものとなっている。