スマホ競争促進法と個人情報

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スマホに不正アプリをインストールして困っている女性
2024年(令和6年)6月19日に交付された「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(スマホ競争促進法)が 2025年(令和7年)12月18日から施行されると、App StoreGoogle Play 以外でもアプリを配布・販売できるようになります。利用者にとってはアプリの選択の幅が広がる一方、不正アプリを入手し、個人情報が漏洩するリスクもあります。

スマホ競争促進法成立の背景

世界的に見て、Apple(iOS)と Google(Android)の2社がスマートフォンOS市場をほぼ独占しています。その上で、アプリストア(App Store/Google Play)、ブラウザ(Safari/Chrome)、検索エンジン(Google検索)など、周辺ソフトウェアも寡占状態になっています。この結果、ユーザーやアプリ事業者が実質的に2社に依存せざるを得ない構造になっていました。

このような状況では、次のように公正な競争が阻害されています。
  1. アプリ配信・課金システムの制約‥‥例:App StoreではAppleの決済システム(30%手数料)以外が基本的に使えない。
  2. 自社サービス優遇‥‥例:検索やブラウザで自社サービスを優先表示、競合サービスの利用を不便にする。
  3. 参入障壁の高さ‥‥他のアプリストアやブラウザを使おうとしても、OSの仕様制限によって妨げられることが多い。
こうした阻害により、利用者の選択肢を狭め、イノベーションを阻害していると批判されました。

国際的に見ると、EUでは2022年(令和4年)にデジタル市場法(DMA)が施行され、Appleや Googleなどの「ゲートキーパー企業」に対し、アプリストアの開放、サイドローディング、外部決済利用の容認などを義務化しました。アメリカでも同様の議論が進んでいます。
わが国も、こうした国際的ルール整備の流れに歩調を合わせる形で立法化を進め、消費者にとっても事業者にとっても自由度を確保する制度として「スマホ競争促進法」を交付しました。

スマホ競争促進法のメリット

スマホ競争促進法により、新規参入や多様なサービスの提供が可能になり、市場のイノベーションが促進される期待があります。
また、消費者にとっては、アプリストアやブラウザ、検索エンジン、決済方法などをより自由に選べる環境が整う可能性があります。

スマホ競争促進法のデメリット

一方で、セキュリティやプライバシーの確保が十分になされるかという懸念があります。また、プラットフォームごとにビジネスモデルが異なる中で、施行後の影響がAppleとGoogleで異なる可能性が指摘されています。

利用者としての自衛策

あらたに算入するアプリ配布サイトが、アプリの安全性を保証する義務はありません。
現状、そのアプリが不正なものかどうかを判別できる信用のおけるツールやクラウドサービスは存在しません。
そこで利用者の自衛策としては、従来通り、App Store や Google Play を利用するのが無難でしょう。
もちろん、スキルのある方は新しい配布サイトを利用し、安価で望む機能を備えたアプリを入手すればいいでしょう。ただし、利用は自己責任になります。

参考サイト

(この項おわり)
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